個人が支払う税金を計算するうえで、収入金額から差し引かれる「控除」というものがあることはご存じでしょう。でもこの控除、実際はどうやって計算されるものかご存知ですか?

種類が多くてなかなか理解するのは難しいかもしれませんが、見逃していたものがないか再確認してみるのもいいかもしれませんね。

課税の仕組みを知りましょう

私たちの税金はどのような仕組みで課税されるのでしょうか。まず課税の仕組みを知ることで、たくさんある控除がどのタイミングでなされるのか確認してみましょう。

図1 課税の仕組み

モデルケースで理解する、税金の仕組み

なかなか難しい仕組みを次のご家庭を例に税金がどうやって計算されるかみてみます。

まず計算されるのは「所得金額」

だいたいの自分の収入がいくらぐらいかは把握されていると思いますが、正確には源泉徴収票の「支払金額」を確認してみましょう。これが「収入金額」になります。

給与収入がある方には「給与所得控除」があり、これは収入金額に応じて計算式が定められています。Aさんの場合収入金額が600万円あるので、
給与所得控除:600万円×20%+54万円=174万円
所得金額:収入金額600万円-給与所得控除174万円=426万円

種類が一番多いのは「所得控除」

所得金額が計算されたら、次に行うのが所得金額のうち課税される金額(課税所得)を計算することです。平成29年度では14種類の所得控除が設けられています。

Aさんの場合、所得控除にあたるのは何になるでしょうか。

(1)本人や扶養など家族に関する控除

本人は常に38万円の控除を受けることができます。

妻は152万円のパート収入があるので配偶者控除を受けることはできず、配偶者特別控除の36万円になります。

子どもについては教育費がかさむ16歳以上から扶養控除の38万円、19歳以上は63万円の控除を受けることができます。逆に16歳未満は控除の対象にはなりません。

(2)その他の控除

社会保険料は支払った金額がそのまま控除ができます。生命保険料や地震保険については加入時期や保険の種類に応じた計算が必要になります。

年々支払う方が増加傾向にある「iDeCo」や「ふるさと納税」はどちらも所得控除の対象となります。

iDeCo は支払った全額が控除になり、ふるさと納税については納税額から2,000円を引いた額が対象(上限あり)です。

Aさんの所得控除は、本人や扶養など家族に関する控除175万円とその他の控除104.8万円をあわせた279.8万円となります。
課税所得:所得金額426万円-所得控除279.8万円=146.2万円

税率を掛けて所得税の額を知ろう

課税所得の金額に応じた一定の税率をかけたものがその年の「所得税額」になります。Aさんの場合、課税所得が146.2万円なので所得税率は5%です。
所得税額:146.2万円×5%=7.31万円

計算の最後にされる控除は税額控除

所得税額からも直接引くことができる「税額控除」があります。

Aさんの場合、今年新たに住宅を手に入れました。その場合は住宅借入金等特別控除、いわゆる「住宅ローン控除」を受けることができます。年末借入残高が3,500万円の1%(40万円限度)の35万円を所得税額から直接引くことができます。

Aさんが今年納める所得税は7.31万円-35万円=0円(マイナスの場合は0円)となり、毎月の給与で引かれていた所得税が年末調整で還付されます。

それぞれの控除される方法を確認

設けられた控除を全部覚えるのは大変ですね。しかし、これらの控除をどのようにすれば受けられるか知ることで控除忘れがなくなりますので確認してみましょう。

(1)年末調整で受けられる所得控除

所得控除のほとんどは年末調整の際に提出する「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に漏れなく記載することで受けることができます。

(2)確定申告をしないと受けられない所得控除

医療費控除もしくはセルフメディケーション税制(平成33年分で終了)や寄付金控除、雑損控除は確定申告を行わないと受けることができません。該当する方はしっかりと申告をして控除を受けましょう。

今後の税制改正に注意

税金に関する法律は変わることがあるので、毎年注意が必要です。また、多岐にわたる控除を受け忘れた場合は、控除を受けたかった年の翌年から5年間は還付請求することが可能ですので諦めずに申告することをおすすめします。

ライタープロフィール

世良亜由美 (せらあゆみ)
世良亜由美 (せらあゆみ)
つなぐFPオフィス代表
会計事務所にて経理のプロとして実務と記帳の指導や経営者の相談業務などを行う。その中で、家庭にも相談できる相手が必要ではないかと考えファイナンシャルプランナーの資格を取得。現在は家計のプロとして主婦目線で家計バランスのアドバイスや起業女性の相談を行う。HP(http://tunagu-fp-office.com/)
宅地建物取引士/AFP/終活アドバイザー/マイライフエフピー認定講師