「株を始めたいけどなんとなくこわいイメージがある」「株はギャンブルだって聞いたことがある」こういった話はよく聞きます。実際、株に手を出してやり方が悪かったがために資産をなくしてしまう人も確かにいます。 しかし株とは資本主義の根幹をなすものであり、世の中になくてはならないもののはず。そういったものが果たしてギャンブルなのでしょうか。本来、株とは企業の活動とともに膨らんでいくものです。 適切な投資を行っていれば資産が全てなくなるようなことにはならないのですが、それでも資産をなくしてしまう人がいるのはどうしてでしょうか。 ここでは株が持つ二つの側面である投資と投機の説明をすると同時に、株がギャンブルだと思われてしまう理由を探っていきましょう。きっと株はこわいものではないとわかるはずです。

投資と投機 株が持つ2つの側面

株投資の2つの側面を理解するためにまずは図を見てみましょう。

上記の図を見ると、点線の直線に赤い線が絡みつくように描かれていることがわかります。少々おおざっぱではありますが、この2つの線が投資の流れと投機の流れを形作るものとして考えます。

まず、点線の説明です。

大きな流れを捉えて将来的な株価の値上がりを期待して企業へと投資する「投資の流れ」があります。

投資の流れは企業の手助けをするものであり、長期的に企業を応援するので短期的な値動きは気にしません。いわゆる株式投資における長期投資がこちらにあたります。

次に赤い線の説明です。

株価は短期的には上下に大きくブレながら進みます。最終的には点線の大きな流れになるとしても、その流れを作る間に株価は小さな上下を繰り返します。

これが「投機の流れ」です。こちらの流れにおいては上下の動きを利用して「差益」を狙う取引が行われることになります。

いわゆるデイトレードやスイングトレードといった短期取引がこちらにあたります。

まとめると、

  • 点線・・・投資の流れ(企業の長期的な成功への手助けとして資金を投じる)
  • 赤線・・・投機の流れ(株の短期的な値段の変動を利用して差益を狙う)

この2つの流れが混ざり合って株価の流れは作られていくのです。

ギャンブルとみなされがちな投機的な取引とは

さきほど投機的な取引では株価の上下を利用して差益を狙うと申しました。

いわゆる日中株の売買を行うday trader(デイトレーダー)や数日間で株の売買をするswing trader(スイングトレーダー)はまさしく投機を行う人たちであり、値幅のでる株式を頻繁に売買することで差益を狙うのです。

彼ら投機家にとっては重要なことは株が動くことであり、企業の成長というものにはあまり関心を払いません。

差益を狙うことが目的なので、とくに株式の中でも急激に上昇する株式を好みます。急激に上昇する株式というのは比較的短期間で値幅がでるので投機家が売買するのに向いているのです。

またそういった投機家の中には手持ちの資金を担保にして、証券会社から資金を借りて株の売買を行う人がいます。手持ちの資金の3倍で取引すれば利益も3倍になります。

一方で3倍の資金で取引を行うと、株の動きが思惑に反した場合には損失も3倍にもなります。こうして損した分を取り返そうと無理な取引、冷静さを欠いた取引が始まります。

こうして投機的な株取引はギャンブル的な取引へと姿を変えていくのです。世の中の人が「株=ギャンブル」「株=こわい」と思う背景にはそういった投機的な取引を行う人の姿が見え隠れしているようです。

言い換えれば、株そのものにはギャンブル的な要素はなく、株をする人間の側に株をギャンブルに変えてしまう要素があるということです。決して「株=ギャンブル」ではないのです。

企業をみる投資 こちらが株式投資の本質

企業を見て資金を投じる投資は株式投資の本質と言えます(さきほどの点線)。

企業を見るということは言い換えれば、「その企業が何をし、これから何をするのか、そして将来社会においてどれくらい必要とされるかなどを想像すること」です。

株式投資は企業を見てその企業の将来性に資金を投じて、その資金が大きく成長していく様を見守ることを指すのです。

これから株投資を始めたいという人はぜひ、自分が投資したいのか、それとも投機を行いたいのか、立場を明確にしてから始めることをお勧めします。

ご参考になれば幸いです。

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早稲田大学法学部を卒業後、証券ディーラーを経て独立。Yahoo!ファイナンス『投資の達人』2015年のベストパフォーマー賞を受賞。マネーの専門家かつ個人投資家として活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。日経BP社「日本の億万投資家名鑑」などメディア掲載多数。