企業業績の5つの利益
企業業績には以下の5つが存在します。
- 売上高（うりあげだか）
- 営業利益（えいぎょうりえき）
- 経常利益（けいじょうりえき）
- 純利益（じゅんりえき）
- 一株あたり純利益（ひとかぶあたりじゅんりえき）
1の売上高を基準として順番に、かかった経費なり特別な利益や損失なり税金なりを足したり引いたりすることで2〜4の利益が順に出ていきます。
最後の5だけはちょっと特別ですが、投資判断に使うことも多い重要な数値です。それでは一つずつ確認していきましょう。
1.売上高（うりあげだか）
企業がサービスやものを販売した後には、売却した分のお金が残ります。そのお金を全部あわせたものが売上になります。一般的には収益とも呼ばれます。
この売上高からいろいろな勘定を引いたり、足したりすると営業利益、経常利益、純利益が出てくるのです。
つまり、利益が残るためには売上高があることがまずは必須であり、売上高が増加させることは企業の目標の一つなのです。
例）あるパン屋さんで100円のパンが100個売れた。
100円×100個＝売上高10,000円
※実際には売上高から商品原価を引いた売上粗利益を出す必要があります。
2.営業利益（えいぎょうりえき）
企業はサービスやものを売るために、人を雇ったり管理したりします。
この人やサービスにかかる経費（販管費という）を売上高から引いたものが営業利益です。
収益から直接的な費用を引いた数字ということもあり「本業で得た利益」とも言われています。
本業とは例えば商品を売ることやサービスを提供することなどがそれにあたります。利益の中ではこの営業利益が重視されています。
例）パン屋さんで店員さんを2人雇っている。雇うための費用は5,000円。また光熱費1,000円。
売上高10,000円ー販管費6,000円（5,000円＋1,000円）＝営業利益4,000円。
3.経常利益（けいじょうりえき）
営業利益に本業以外の収益や損失を考慮したものを経常利益といいます。
本業以外とは、例えば持っている有価証券などの含み利益や損失、配当収入などがそれにあたります。企業はものを売ったり、サービスを提供するだけでなく、金融資産を保有していることもあり、その金融資産の値段の変動なども企業の業績に影響することになります。
例）パン屋さんに株の配当200円が入る。
営業利益4,000円＋株の配当200円＝経常利益4,200円
4.純利益（じゅんりえき）
経常利益にその時だけ特別な利益や損失、税金を考慮した数字が純利益（税引後最終利益）です。ここまで売上からいろいろな数字を足したり引いたりしてきましたが、ここが最終地点となります。
特別利益と損失に関してはその時だけ得られる、もしくはなくなるものということもあり株式投資においてはあまり重要視されません。
また企業の場合には、いろいろな経費を引いた後で最後に税金がかかります。
こうして出た利益が純利益。原則的には投資家の利益となります。
例）パン屋さんに窓ガラスの割れなど特別損失500円発生。税金を1,000円支払う。
経常利益4,200円ー特損500円ー税金1,000円＝純利益2,700円。
5.一株あたり純利益（ひとかぶあたりじゅんりえき）
さて最終的な純利益が出た後は、純利益を企業がすでに発行している全ての株式数で割った一株あたりの利益を算出します。
これは単純に純利益を株の総数で割ったもので、PERなどの株の指標の計算に利用されます。
例）パン屋さんにはすでに100株の株式を発行済みと仮定。
純利益2,700円÷100株＝一株あたり純利益27円
業績は推移と経過を見るためのもの
上記パン屋の事例は実際とは少々異なりますが、漠然としたイメージはつかんでいただけたのではないでしょうか。
下記は実際に株式会社フィットという企業が発表した業績（決算短信）の一部です。
引用：株式会社フィット 平成30年４月期 第３四半期決算短信
少し知識を入れるだけでなんとなく上の図を理解できるのではないでしょうか。
29年と30年の両方が載っているのは、業績は基本的には単体で見るのではなく、過去の数値との推移や比較でみるからです。
業績が発表されると、「前年同期比に比べて20%営業利益がアップ」のように前年の同じ期間と比べてどうなのかなどが注目されたりします。
またあまりに業績が好調だとそれによってあらかじめ出していた企業の予想を上ぶれさせることもあります。
結局は業績というのは過去の結果ですので、それが将来の株価にどう影響しそうなのかを判断することが業績を見る目的です。
本記事で業績って思うほど難しくはなさそうだな〜と思われた方もいるかもしれません。そんな方はステップアップとして業績や会計に関する基本書を読んでみることをお勧めいたします。
業績を株式投資に使う方法に関してはまた別の機会にお話しできれば幸いです。
