メディアは高配当銘柄投資をお勧めするものの・・・
多くの株に関する雑誌やウェブサイトでは投資対象の企業として「高配当銘柄への投資」を進めています。
ここでいう高配当銘柄とは、投資金額に対して年間の配当のリターンの割合が高い企業を指しています。
たとえば、10万円投資して3,000円配当をもらえる企業より、10万円投資して5,000円配当をもらえる企業の方が高配当で割りがよいということになります。
確かに、配当という一面だけでみると投資効率がよいようにみえますし、配当を大盤振る舞いする企業はさぞかし本業が上手くいっている企業なのではないかと考えてしまうのも無理もないことです。
でも、実際には高配当銘柄の中には長期で投資をするには少々危険な銘柄もあるようです。
高配当銘柄の裏に隠れたカラクリ
先ほどの例で見たような投資金額に対してより配当の大きいな方を選ぶという行為はいわゆる額面のみで判断している投資の仕方といえますが、この額面のみでの判断は時に投資家に対して痛手を与えることがあります。
というのも高配当銘柄の中には業績が悪化しているにも関わらず、高配当を継続している企業があるからです。
例)業績悪化で株価が下落するものの配当がそのままの場合
(配当利率(%)は配当を株価で割った数字に100をかけて求められる)
株価1,000円で配当50円の場合には配当利率は5%
↓
株価800円で配当50円の場合に配当利率が6.25%にアップ!
なんとなくイメージはつかめましたでしょうか?
配当のみに着目してしまうと、業績悪化の株安によって高配当になっている企業の株式までもが買いの対象となってしまうのです。
業績悪化というのは継続することも多く、株価の下落がさらに続くと配当どころか値下がりの損失も大きくなってしまうかもしれません。
ただしこのカラクリさえ知っておけば、危ない高配当銘柄への投資を避けることは十分に可能です。
いまではウェブサイトを少しチェックするだけで配当や業績の推移をしることができます。
高配当銘柄の成功例と失敗例
高配当銘柄への投資を考えたなら、高利回りのみならず業績の安定感や伸びに注目することが大事です。そのためには必ず企業業績の推移をチェックすることです。
業績チェックには企業のホームページに掲載されている有価証券報告書のほか各種ウェブサイトの業績推移情報などが役に立ちます。
業績良しかつ高配当の銘柄の例として「東京エレクトロン」という企業があります。
同社は年々業績を上げるとともに配当を増やす措置(増配)を行ってきました。
そのため業績推移に伴い株価を上げたとしても配当の利率である配当利回りがなかなか下がらないという好循環が生じていました。
逆に業績悪化により高配当だった株式が減少配当によって株価がさらに下がってしまった例としては、「大塚家具」があります。
同社の株式は配当の利率がよかったものの本業の悪さから年々売り上げが減少していきました。
配当も維持していたのですが、結果的に配当を払うのは良くないと企業が判断したのでしょう。残念ながら2015年80円高配当が、2018年予想10円(東洋経済の予想)となってしまっています。
これだけは覚えておきたい高配当銘柄の注意点まとめ
業績好調で、なおかつ高配当銘柄の特徴としては以下の特徴が上げられます。
⑴ 株価が安定して上昇している(上昇トレンドの流れ)
⑵ 企業が配当を増やす措置をおこなっている(増配)
逆に業績不調で高配当銘柄の特徴は以下です。
⑴ 株価が下落傾向にある(下落トレンドの流れ)
⑵ 業績悪化しても配当を減らさない(配当維持)
株価が下がれば、その企業の株を買うために必要な資金が少なくなるということです。
そして業績悪化にともなって配当を下げないということは、相対的に配当の利率だけは良くなるということになります。
もし高配当銘柄に投資していく場合には最低限この点は覚えておきましょう。