つみたてNISAの注目度が低い理由
現行NISAがロールオーバーしても10年間しか運用できないことを考えると、20年間も金融商品を運用できるつみたてNISAは、長期の資産形成に適していると言えます。
なぜなら、現行NISAの「最長10年では売却タイミングによって損失が出るかもしれない」という最大のデメリットをカバーできる制度になっているからです。
デメリットをカバーしているのになぜ、注目度が低い、盛り上がらないのでしょう。
それは、つみたてNISAを通じて金融商品を売る販売会社の「儲け事情」がからんでくるからなのです。
つみたてNISAで運用が認められている金融商品は、現行NISAよりもかなり少なく、株式銘柄は対象外。
一部の投資信託のみの運用になります。
この「一部の投資信託」とは、「投資の初心者にもわかるように、複数の銘柄に分散投資できる投資信託で、かつ長期投資に適していると金融庁が認めたもの」のみ。
その選定基準は厳しく、現在5,000本以上ある公募投資信託の中で条件をクリアしたものは約1%。
ほとんどがインデックス型で販売時手数料は0円、信託報酬はかなりの低率でなければ認められないため、販売する金融機関にとって「うまみがない」商品ばかりなのです。
確かに、販売手数料などで利益を得たい金融機関からすると、儲けがでない商品をせっせと販売するのは(新規顧客開拓のフックにはなるかもしれませんが)面白いことではないでしょう。
これが、つみたてNISAの注目度が低い理由です。
つみたてNISAとiDeCoの比較
前述したつみたてNISAは、金融機関のお財布事情によって注目度が低い制度になっていますが、裏を返せば投資の初心家にもわかりやすく、長期投資を始めやすいという金融庁お墨付きの制度です。
対して、同じように長期投資に向いた節税制度が話題の個人型確定拠出年金のiDeCoです。
似通った制度ながらどこがどう違うのか。
メリット・デメリットをふまえてみていきましょう。
つみたてNISAもiDeCoも、「中長期の資産形成」のための制度なので、現行NISAのようにある程度まとまったお金を投資したり、株式投資したりといったある程度ハイリターンの投資をすることはできない制度になっています。
選べる商品は基本的に「積み立て」がメインのものばかりなので、積極的なリターンを求める投資を楽しみたい人には物足りないかもしれません。
しかし、だからこそコツコツ低リスクで投資をしたい人にはぴったりの節税制度になっているのです。
お金に色をつけないつみたてNISA、税優遇措置が抜きんでているiDeCo
つみたてNISA最大のメリットは、「期間中の引き出し(換金)がいつでもできる」ということでしょう。
iDeCoは60歳以降しか引き出しできないため、「老後資金」としての活用が大前提。
対してつみたてNISAはお金の色を決めずに多様な使い道ができるようになっています。
子どもの結婚祝い、住宅ローンの繰り上げ返済費やリフォーム費用など、10数年後に発生しうる家族のライフイベントと利益が出ているタイミングが重なれば、その時点で換金してお金を使えます。
対してデメリットは投資額が少ないこと。
そのため老後資金というよりは「10数年後に必要になるだろうお金を貯めるためのもの」としての活用が望ましいですね。
そしてiDeCo最大のメリットは、なんといっても積み立てをするだけで所得税が控除されるということ。
年収が上がるほど頭を悩ませる所得税ですが、掛金を拠出するだけで税金が控除されるのでたとえ運用益があまり上がらなくても節税になるのです。
税制上の優遇措置は断然iDeCoの方がお得になります。
対してデメリットはやはり60歳以降しか引き出せないということ。
iDeCoは「シンプルに老後のためのお金を貯めるためのもの」として活用しましょう。
まとめ
つみたてNISAもiDeCoも、それぞれデメリットよりもメリットの魅力の方がはるかに大きく、これから中長期的に資産形成を考えている人にはぴったりの制度です。
どちらが良いというより、「積み立てたお金の使い道とお金を使うタイミング」によってそれぞれ使い分けて両方活用するのがもっともおすすめの方法です。
ただし、つみたてNISAは現行NISAと併用して使うことができませんので、これからの「お金の使い道とお金を使うタイミング」によって制度を賢く使い分けましょう。