分散投資
ノルウェー政府年金基金の分散投資
世界の中でも最大級のファンドであるノルウェー政府年金基金は100兆円規模で2017年12月時点で世界72カ国約9,000銘柄に分散投資をしています。
また、ポートフォリオは2018年3月時点で株式66.2%、債券31.2%、不動産2.7%といった内訳です。
分散投資の大切さ
100兆円ほどの資産があれば世界でもトップクラスの資産運用の専門家からアドバイスを受けることができます。下のグラフはノルウェー政府年金基金の一年ごとのリターンをあらわしています。
世界トップクラスのアドバイスを受けても2008年にはリーマンショックの影響を受けていることが分かる反面、あれほど大きな経済危機だったにも関わらず、マイナス23.31%で済んだのは、まさに分散投資の賜物といえます。
たとえば、一般的に景気が悪くなると予想されると、株式を売って、安全な債券を買おうとする動きが見られます。
事前にそのような相関関係のある資産を分散して組み合わせておくことで大きな損失を回避できるのです。
長期運用
長期運用の大切さ
下のグラフはノルウェー政府年金基金の中長期的なパフォーマンスをあらわしています。
一年単位ではマイナス23.31%に見えていたグラフでも、中長期的な視点で見れば、この20年間で資産が約3倍になっていることが分かります。これは年率リターンで考えると約5.6%に相当します。
この間、リーマンショック以外にも、アジア通貨危機、ルーブル危機、インターネットバブル(ドットコムバブル)の崩壊、欧州債務危機(ユーロ危機)といった様々な金融危機が発生していました。そして、そのような金融危機は、おそらく今後も発生します。
しかし、中長期的な運用をすることで、それらの危機を乗り越えられるだけの結果を出すことができます。なぜなら、世界全体の経済を見渡すと中長期的には成長しているからです。
世界のGDPと日本のGDP
下のグラフは過去20年における世界のGDPと日本のGDPを比較したものです。GDPとは、経済の成長を意味します。
日本においては、あまり成長しておらず横ばいになっていますが、世界全体で見れば約32兆円から約80兆円へとどんどん成長してきたのが分かります。これを年率リターンで考えると約4.7%に相当します。
若者だから期待できる世界経済成長率を上回るリターン
世界GDPの年率リターンは約4.7%だったのに対し、ノルウェー政府年金基金の年率リターンが約5.6%でした。
これまで紹介してきた分散投資と長期運用を行うことで、世界の経済成長率を上回るリターンを得られる可能性が高いことをご理解いただいたかと思います。特に長期投資は若者にとっては非常に有利な戦略といえます。
しかし、注意点もあります。それは「長期運用=損する可能性が少ない、と考えてはいけない」ということです。
長期運用においての「リスクの低減」とは平均値に近づけることを意味します。当たり前ですが、運用年数が長くなればなるほど、投資先が破綻してしまう可能性や想定外の出来事が起こる確率は高まります。
積立投資
積立投資の大切さ
あちこちの国の銘柄を保有しようと思えば、必然的に為替リスクがつきまといます。この為替リスクをできるだけ少なくするには、「毎月一定金額で積み立てること」が非常に有効な手段といえます。
積み立てれば為替リスクは怖くない
下のグラフは過去20年のドル円為替レートの推移です。たとえば、アメリカの銘柄を保有している人であれば、2012年の76円台の円高時には資産が減少したと感じたかもしれませんが、割安で追加投資をするチャンスだったとも捉えられます。
海外の銘柄で投資をする人の多くが円高で買って円安で売ろうと考えますが、それが大きく影響するのは一括でドン!と投資をした場合です。
初心者で長期積み立てを考えているのであれば、投資を始めようと思い立った日が円安であったとしても、気にする必要はないでしょう。
なぜなら多くの初心者はアンカリング効果によって、先月と今日、先週と今日、昨日と今日、という具合に短期的な為替しか確認しないからです。
グラフのように中長期的にみれば、短期的な為替の情報がいかに無意味なのかがお分かりいただけるかと思います。
まとめ
もし若者が長い時間をかけてコツコツと積み立て、しっかり分散投資ができたなら、老後貧乏を避けられる可能性が高くなります。
仮に、毎月3万円を年率5%で40年間運用できたなら、約4,578万円ものお金を準備することができます。
長い時間をかける投資は、若者だけの特権です。若いうちから分散投資・長期運用・積み立てを行うことをおすすめします。