住まいを購入した後に、物件の欠陥をめぐるトラブルが発生することがあります。 このようなトラブルにしっかりと対応するためには、売買契約の内容をよく理解し、関連する法制度、保険、アフターサービスなどを知っておくことが重要です。

「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」の意味と期間

住まいを購入した後に、引き渡し時には知り得なかった「雨漏り」や「建物の白アリ被害」のような欠陥など(法的には「隠れた瑕疵(かし)」といいます)が発覚した場合、まずは売買契約に基づいて、売り主へ物件の修補や損害の賠償を求めることになります。(このように物件に隠れた瑕疵があった場合の売り主の責任を「瑕疵担保責任」といいます)

この期間は、契約書に必ず記載されていますので、まずは契約内容を確認しておきましょう。

欠陥などが発覚したときに、売り主の責任期間を超えている場合、原則として、損害賠償や契約の解除などを求めることはできません。

なお、売り主が宅地建物取引業者である場合は、買い主に対して、少なくとも引き渡しの日から2年間は瑕疵担保責任を負うことが法制度で決まっています。

新築物件の瑕疵担保責任に関する法制度

新築住宅の場合で、宅地建物取引業者である不動産会社が売り主の場合は、以下のような法律で買い主を保護しています。

売り主が倒産している、または、売り主に損害金を支払う資本力がない場合でも、保険金や保証金の還付により必要な費用が支払われるようになっています。

●「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、平成12年4月1日以降に新築住宅の引き渡しを行った売り主等は、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、土台、柱、斜め材など)、雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、開口部の戸など)について、引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。

したがって、これらの欠陥については、引き渡しから10年間は、物件の修補請求・損害賠償請求・契約解除(契約解除は売買契約でかつ重大な瑕疵に限定)を求めることが可能です。

●「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により、平成21年10月1日以降に新築住宅の引き渡しを行った売り主等には、確実に瑕疵担保責任を負うことができるように「保険への加入」または「保証金の供託」が義務づけられています。

これは、売り主が、倒産などによって瑕疵担保責任を負うことができなくなった場合でも、保険やあらかじめ供託された保証金により、消費者に対する瑕疵担保責任を履行するという制度です。

中古物件の場合

中古住宅の場合は、新築住宅のような制度はありませんので、売り主の瑕疵担保責任については、契約内容に基づくことになります。

宅地建物取引業者である不動産会社が売り主の場合は、少なくとも2年間は瑕疵担保責任を負いますが、不動産会社が倒産などをした場合、修補等を求めることができない可能性が出てきます。

また、売り主が個人の場合は、瑕疵担保責任を負う期間を短くすることも見受けられます。

したがって、中古物件の場合は、契約前に物件を十分に確認して、欠陥をあらかじめ把握することが重要です。

このため、最近は、買い主が任意で有料のホームインスペクション(住宅診断)を依頼して、建物の状況を事前に確認することも増えています。

アフターサービスについて理解する

瑕疵担保責任とは別に、売り主が一定の不具合を無償で補修するアフターサービスを任意で実施している場合があります。

たとえば、基本構造部分にかかわる雨漏りや漏水、構造強度に影響する亀裂や破損などは品確法と同じ10年、壁の破損や設備の作動不良などは2~5年の期間を設けることが多いようです。

こちらの内容は会社によっても異なりますので、アフターサービス制度の有無やその内容について、しっかりと確認しておきましょう。

瑕疵担保責任とアフターサービスの違い

瑕疵担保責任は法律で定められた責任であり、アフターサービスはあくまでもサービスの一環として、不動産会社などが自主的に実施しているものです。

いずれも消費者保護を目的としている点では共通していますが、責任の対象や期間などが違っている点に注意しましょう。

住宅瑕疵担保責任保険とは

住宅瑕疵担保責任保険とは、新築物件の売り主である不動産会社などが、住宅瑕疵担保責任保険法人との間で締結する保険のことで、その住宅に瑕疵が判明した場合に、その補修費用などを保険金によってまかなわれる制度です。

売り主が倒産していて補修が行えない場合などは、買い主が直接、住宅瑕疵担保責任保険法人に瑕疵の補修等にかかる費用(保険金)を請求することもできます。

こちらの保険は中古住宅でも利用でき、中古住宅の場合には「既存住宅売買瑕疵保険」があります。

この保険は、中古住宅の検査と保証がセットになっていて、住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査に合格することが条件となります。

売り主である不動産会社または個人が、この保険に加入している場合は、売買された中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用などの保険金が不動産会社や検査機関などの事業者(事業者が倒産等の場合は買い主)に支払われます。

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