当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①中東緊迫、ハマスVSイスラエル」「②訪日客数、コロナ前水準に」「③日本、GDP、4位転落」の3つです。

①中東緊迫、ハマスVSイスラエル

10月7日、ハマスがロケット弾による大規模攻撃をイスラエルに対して行いました。併せて、ガザ地区を包囲するフェンスを破り、イスラエル領内に侵入、約200人を「人間の盾」として連れ去りました。

イスラエル側はただちに、ガザを空爆しました。同日、米バイデン大統領はアメリカはイスラエルを支持すると述べ、国連のグテレス事務総長もハマスを最も強い言葉で非難しました。西側主要国もイスラエルを支持。8日には、子供20人を含む400人以上のパレスチナ人が死亡。その後も空爆は続いています。

イスラエルのネタニヤフ首相が「戦争状態にある」と宣言した通り、奇襲から2週間以上が過ぎても停戦の兆しは見えず、双方の死傷者は増えるばかりです。

そのほとんどは、女性や子供など一般市民です。16日にはハマスのSNSで、イスラエル国籍の女性の人質が「早くここから出してください」と訴える様子を撮影した動画が公開されました。22日に、ガザ地区の保健当局が発表した情報によれば、パレスチナ人の死者数は4600人を超え、その4割近くが子供だそうです。

7日のハマスによる攻撃を受けた戦闘が3週目に入る中、イスラエルは22日に局地的な侵入を開始しました。

その後、イスラエル軍は地上部隊が26日にパレスチナ自治区ガザ北部で作戦を展開し、ハマスの複数拠点を攻撃したと発表しました。部隊はその後、撤収したといいます。軍のラジオ局は今回の衝突で最大の侵入と伝えています。軍は声明で、「次の戦闘段階」に備えた侵入だとしており、イスラエルの指導者がハマスを破壊する戦争の一環として警告している大規模な侵攻を指している可能性があります。

イスラエルのネタニヤフ首相は28日の記者会見で「戦争は第2段階に入った」と述べ、パレスチナ自治区ガザ地区での地上戦を今後も継続すると表明した。イスラエル軍は25日以降、イスラエルとガザの境界付近で限定的な地上作戦を実施し、27日には作戦の範囲を拡大しました。今後、ガザ北部の市街地でも戦闘が行われる可能性があります。ネタニヤフ氏は戦闘の目的を「ハマスの軍事・行政能力を破壊し、人質を取り戻すことだ」と主張。今後の地上戦は「長く、難しいものになる」と述べました。また、30日夜には、ハマスとの停戦はないと断言、徹底掃討の考えを改めて強調し、停戦は「ハマスやテロへの降伏だ」と主張しました。

1948年の建国以来、この地では紛争が絶えません。ユダヤ人(教徒)が主導権を持つイスラエルという国家の枠組みの中に、イスラム教徒が暮らすパレスチナ自治区があるからです。これまで両者の間では4度の戦争が起きましたが、いずれもイスラエルが勝利を収めました。奇襲攻撃を仕掛けた10月は、1973年の第4次中東戦争開始から50年の節目となるタイミングでした。この悲しみの連鎖はいつ終わるのでしょうか。

②訪日客数、コロナ前水準に

日本政府観光局が9月の訪日客数を発表しました。218万4300人で2019年の同月の96.1%になりました。新型コロナウイルス流行前の水準をほぼ回復し、栃木や京都の宿泊者数はコロナ前に迫っているようです。反面、25道県は新型コロナウイルス流行前の6割未満にとどまっており、地域で明暗が分かれつつあります。

政府が水際対策を大幅に緩和してから10月で1年、訪日客数全体でみれば着実に持ち直しが続いています。国・地域別では韓国が57万400人で最も多く、台湾が38万5300人で続きました。そして、8月に日本への団体旅行を解禁した中国は3位の32万5600人でしたが、前月比では1割減少しており、戻りは鈍いです。

観光庁が発表した23年7~9月の1人当たりの旅行支出は、19年同期比29.4%増の21万810円でした。消費総額は1兆3904億円となり、四半期ベースとしては過去最高となりました。

一方で国内をみると、回復の足取りには、ばらつきがみられます。EYジャパンによりますと、1~6月の都道府県別の延べ宿泊者数は、栃木や石川はコロナ前の8~9割まで戻したものの、鳥取や鹿児島は3割に低迷したままです。回復率が全国3位の栃木県鬼怒川温泉では、アジアからの団体旅行が再開し、訪日宿泊客が増えつつあります。

また、全国の観光地を支える中小企業の業況が新型コロナウイルス禍の影響を脱し、最高水準にあります。

中小機構は四半期ごとに全国約1万8000社の中小企業景況調査を実施しています。その調査から観光に関わりの深い宿泊・飲食業に絞って分析したところ、業況が「良い」との回答が4~6月に初めて2割を超え、7~9月も維持しています。都道府県別で良いのが割合が7~9月に最も高かったのは山梨県で35.3%。静岡県、長崎県、新潟県、北海道なども3割を超えています。国内での人気回復に加え、1年前の水際対策の緩和を機に、インバウンドが急回復していることが景況改善に繋がっています。

とはいうものの、やはり、訪日客集中度は、東京、京都、大阪を通るゴールデンルートと比較すると地方はまだ低いです。今後、回復の鈍い地方圏は、量と質の両方を担保していく必要がありそうです。

※EY Japan(Ernst & Young Japan)=世界4大会計事務所(Big 4)の1つアーンスト・アンド・ヤングの日本におけるメンバーファーム[要曖昧さ回避]の総称
※中小機構=中小企業基盤整備機構

③日本、GDP、4位転落

日本のドル換算での名目GDPが2023年にドイツを下回って世界第4位に転落する見通しであることがIMFの予測で判明しました。足元の円安やドイツの高インフレによる影響も大きいですが、長期的な日本経済の低迷も反映しているのではないでしょうか。

IMFが10月23日までに公表した経済見通しで示しました。名目GDPはモノやサービスの価格変動を含めた指標で、国・地域の経済活動の水準を示します。一般的な経済規模を示す場合に用いられることが多いのです。

2023年は、日本が前年比0.2%減の4兆2308億ドル(約633兆円相当)、ドイツは8.4%増の4兆4298億ドルとなる見通しなのです。1位の米国は5.8%増の26兆9496億ドル、2位の中国は1.0%減の17兆7009億ドルとなりました。

2000年の時点では日本の経済規模は4兆9683億ドルで世界第2位でした。00年初の円相場は1ドル=105円程度。当時のGDPはドイツの2.5倍、中国の4.1倍でした。10年に日本を抜いて2位の座についた中国は23年には日本の4.2倍になる見込みです。

第一生命経済研究所の熊野英生氏は「円の対ドル相場の下落が影響しているものの、長期的には日本の成長力の低下が背景にある」と指摘しています。

00年からの名目GDPの伸びを自国通貨建てに直すと、中国が12.6倍と突出する一方、日本は1.1倍に留まります。伸びはドイツの1.9倍や米国の2.6倍を大幅に下回っています。物価変動を除いた実質GDPでみても、日本の伸びは米国やドイツよりやや低いのです。

1人当たりの名目GDPでは、日本は23年に3万3949ドルと、IMFのデータがある190の国・地域のうち34位になる見込みです。1位はルクセンブルグの13万5605ドル。日本は英国やフランスなどより低く、35位の韓国(3万3147ドル)に肉迫されています。00年の時点では、187ヵ国・地域のうちで、ルクセンブルグに次ぐ2位でした。

※IMF=国際通貨基金
※GDP=国内総生産

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