スプレッドとは?
スプレッド(Spread)とは、本来「広げる」「広がる」といった動詞や「拡張」「延長」といった名詞として使われます。
そこから転じて、FXの世界では「売り値と買い値の差」という意味で使われます。もっとざっくり言えば「スプレッド=支払手数料」です。
2つの値段
実際にFXの取引画面を確認すると、どの通貨であっても「売り(Bid)XX円」「買い(Ask)YY円」と2つの値段が存在します。
はじめて取引をする人の中には、この画面で戸惑ってしまう人もいるかもしれません。しかし、この2つの値段の意味はFX会社の気持ちになれば、簡単に理解できます。
FX会社に限らず、もっと身近な古本屋さんやリサイクルショップなどで考えてみるのもいいでしょう。お客さんが本やモノを「売りたい」と言ってきたら、お店は安く買い取りたいと思っています。
そして、お客さんがそれを「買いたい」と言ってきたら、お店は高く売りつけたいと思っています。そうしないとお店は儲かりません。
つまり、お客さんからしてみれば、たとえ同じ本やモノでも「安く売って高く買う」という行動になります。
FXで取引するときも同じです。ドルなどを売りたいと思えば、私たちは安い値段で売ることになり、ドルを買いたいと思えば、私たちは高い値段で買うことになります。この売り値と買い値の差がスプレッドと呼ばれます。
少しの差が大きな差になる
FXでは通常「1万通貨」以上で取引します。他にも「1Lot」や「1枚」と表現する場合もありますが、1万通貨とは、1万米ドル、1万ユーロ、1万ポンド、1万スイスフランといった具合に「1万」という言葉の後ろに「その国の通貨単位」をつけることです。
「0.5銭(0.005円)のスプレッドを提供しているA社」と「1銭(0.01円)のスプレッドを提供しているB社」でどれだけの違いが出るか確認してみましょう。
A社:0.005円×1万通貨=50円
B社:0.01円×1万通貨=100円
たったの50円差、大したことないと思うかもしれませんが、FXにはレバレッジという仕組みがあり、取引額も大きくなりがちで、10万通貨以上で取引している人もたくさんいます。
また、デイトレやスキャルピングと呼ばれる短期売買をする人もたくさんいます。仮に、1日の取引回数を10回、1回に10万通貨の取引を30日した場合を計算してみましょう。
A社:0.005円×10回×10万通貨×30日=15万円(1日あたり5,000円)
B社:0.01円×10回×10万通貨×30日=30万円(1日あたり1万円)
A社は15万円、B社は30万円でわずか1ヶ月の間に15万円もの差がうまれました。このように1回限りの1万通貨取引では大したことのない金額でも、取引の仕方によっては大きな差がうまれてしまいます。
スプレッドの伸縮理由
需要と供給の関係
スプレッドはFX会社によっても異なりますし、同じFX会社でも常に一定とは限りません。その理由の1つに為替取引における需要と供給の関係があります。
需要と供給のバランスがよく、たくさん売買されていればスプレッドは狭くなりやすい傾向にあります。逆に売買の取引量が減ってしまうと広くなりやすい傾向にあります。
大事な経済指標や大事件
では、どのようなタイミングで取引量が減りやすいのでしょうか。それは、大事な経済指標の発表前です。特にアメリカの経済指標には注目しておく必要があるといえるでしょう。
たとえば、米雇用統計やFRB(FOMC)の政策金利の発表などが挙げられます。ほかにも、テロなどの大事件が起こると市場はパニックになり取引量が減り、スプレッドは広くなりやすいです。