敬語を正しく使おう!ビジネスメールでやりがちな敬語失敗例
ビジネスメールは、よくやり取りする相手や周囲の言葉使いが伝染することがあります。
特に敬語に不慣れな新入社員は、先輩や上司のメールの敬語使いをよく見ています。
筆者が以前勤めていた職場でも、ベテラン社員がよく使う二重敬語をそのまま使う新入社員が多く、変な二重敬語が社内で乱用されることがありました。
そう、何気ないメールの言葉使い、敬語の使い方は意外と見られているものなのです。恥をかかないためにも、ベテラン社員も新社会人も、敬語の正しい扱い方を振り返りましょう。
よくある敬語の失敗例と本来の正しい使い方をご紹介します。
<ビジネスメールでやりがちな敬語失敗例>
×~各位様、~御中様→〇~各位、~御中
「各位」や「御中」に「様」は不要。「各位」はそれだけで「皆様」の意味を持ち、「御中」は団体や会社などに送る郵便物やメールの宛名の下に付ける敬称。
×御社→〇貴社
「御社」は話し言葉、「貴社」は書き言葉(メールや文書)で用いる。
×ご苦労様です→〇お疲れさまでございます
「ご苦労様」は目下の人に向けて使う言葉。
×了解しました→〇承知しました
「了解」は目下の人に向けて使う言葉。
×とんでもございません、とんでもありません→〇とんでもないことです
「とんでもない」という謙遜の意味を込めて使う言葉を「とんでもございません(ありません)」と使うこと自体が間違った使い方になる。
×お体ご自愛ください→ご自愛ください
「ご自愛」という言葉自体に「自分の身体を大切にすること」という意味が含まれているため、「お体」は不要。
×よろしかったでしょうか→よろしいでしょうか
現在進行形の会話において、過去形の「よろしかった」を使うのはNG。
ただ、過去に聞いたことを再度尋ねる場合は「よろしかった」と使っても問題ないが、そもそもこの表現自体を好ましく思わない年長者も多いため、「よろしいでしょうか」に統一するのがベター。
×会議召集いたします→〇会議招集いたします
「召集」とは、そもそも日本の国会や旧日本軍に対する限定的な場面で使われる(国会の召集など)ため、会議やミーティングで人を集める時は「招集」が正しい。
意外と知らない人が多いのが「御社」と「貴社」の使い分けです。メールや文書の話し言葉では「貴社」「貴店」などと記載することで、より丁寧な印象を与えることができますので、覚えておいてくださいね。
周囲が使っているから、インターネットでよく見かける言葉使いだから、という理由で間違った敬語を使うのではなく、自分で正しいと理解したうえで正しい言葉使いをすることを心がけましょう。
パソコンの漢字変換に気を付けて!漢字で書くのがNGな文章例
パソコンやスマートフォンで文章を作ることが当たり前になってきて、すぐ漢字に変換する癖がついている人や、ビジネスでは漢字を多用した方が良い、と考えている人が多いのではないでしょうか。
しかし、言葉本来の持つ意味を考えたうえで漢字と平仮名、それぞれ適切な使い分けをしておかなければ、メールを受け取る相手に不快感を与えてしまうかもしれません。
また、「言葉を正しく扱えない人」という印象を持たれてしまうかもしれません。
そこで、ビジネスシーンで見かける間違い例をもとに、漢字と平仮名の正しい使い分けを紹介します。
<漢字で書くのがNGな文章例>
×よろしくお願い致します→〇よろしくお願いいたします
「致す」と漢字で書くと、“そのことが原因でよくない結果を引き起こす”という意味の動詞になる(例:不徳の致すところです)。
「する」の謙譲語として用いる場合は補助動詞として平仮名表記にするのが正しい。漢字か平仮名かで意味合いが異なるので要注意。
×有難うございます→〇ありがとうございます
「有り難い」「有難う」などと漢字で書くと「めったにないこと」の意味になり、大仰に感じられる。お礼や感謝の意味で使うビジネスメールや一般表現は平仮名表記でOK。
×~して頂く→〇~していただく
「頂く」と漢字で書くと「何かをもらう」という意味の動詞扱いになる。この文章の場合、補助動詞として使うため平仮名表記が正しい。
[例:〇飴を頂く(もらう) 〇お越しいただく、出席していただく]
×ご確認下さい→〇ご確認ください
「下さい」と漢字で書くのは「物や時間を下さい」という意味で使うときだけで、「~をしてください」とお願いするときは補助動詞のため平仮名表記が正しい。
×~の通りです→〇~のとおりです
「原宿竹下通り」など、名詞として用いるときは漢字で、「下記のとおり」など形式名詞として用いるとき平仮名表記が正しい。
<漢字と仮名の使い分けの基本>
筆者が愛用している「日本語表記ルールブック」では、日本語の現代表記ルールについて、漢字や平仮名の使い分けを下記のように記載しています。
このルールを覚えておくだけでも漢字と平仮名の使い分けがしやすくなるのではないでしょうか。
◇概念を表す場合は漢字→名刺/動詞/形容詞/形容動詞
◇補足的に付く場合は平仮名→活用する語の語尾/接頭・接尾語/助詞・助動詞/形式名詞(こと、ところ、もの、わけ等)補助動詞(あげる、ある、いる、する、なる、みる等)
出典:「日本語表記ルールブック第2版」日本エディタースクール出版
まとめ
ビジネスメールは、今やビジネスに欠かせないコミュニケーションツールです。
正しい敬語や正しい漢字・平仮名使いができるようになると、ビジネスメールだけで洗練された印象を与えることができます。
メールの正しい書き方を知り、洗練されたビジネスパーソンになりましょう。