インターネットを筆頭に情報伝達手段が発達した現代では、どこにいても世界中の情報を瞬時にキャッチできるなどグローバル化が加速しています。 そんな時代背景において、語学堪能なグローバル人材は重宝されており、堪能ではないとしても英語は欠かせないコミュニケーションツールとして重要度が増していることは間違いありません。 グローバル人材の採用が加速する一方、語学は採用や出世を考えるうえでどの程度必要なのでしょうか。

 

ビジネスシーンでも重視される語学力

「日本の企業で働くのだから英語や中国語などの他言語を学ぶ必要はない」と考えている方も少なくないでしょう。しかし、冒頭で述べたようにグローバル化が加速する現代においては、情報収集の手段として海外のトレンドを入手したり、海外拠点とメールや電話でやり取りしたりする機会は格段に増えていると言えます。

外資系の企業や海外展開をしている大手企業への就職を考えるのであれば、語学力の必要性は言うまでもありませんが、一般企業であってもビジネスにおける1つのスキルとして不可欠な要素です。

国外を目指す方だけでなく国内での仕事しか考えていない方でも語学力に関心を持ち、企業から求められる対応力を身につけることが重要になるでしょう。

日本では2008年のリーマンショックを境に他言語に精通した語学力の高い人材採用が活発化している傾向があります。それまで日本企業は生産コストが安価な海外に生産拠点を設けるのが主流でしたが、国内マーケットの需要に限界を感じて海外進出を始めたことにより、グローバル化が加速。

さらに近年では、研究開発や管理部門などを世界各国に置き、機能を分散させる動きも活発化しています。そうした現状を踏まえるとビジネスシーンでの語学力の必要性がますます高まることが想定されます。

企業で働くうえで必要な語学力の基準とは

企業や職種によって求められる語学力の程度は異なります。たとえば、メディカル関係や商社、流通業、メーカーなどは現地での取引など、ネイティブ並の語学力を求められるケースがほとんどです。また、金融、サービス業、ITなどにおいても語学力のある人材が重宝される傾向にあります。

外資系企業の多いメディカル系や海外進出などのあるメーカーでは、外国語でのコミュニケーションが取れなければビジネスすら成立しないでしょう。

語学力必須の外資系企業などではTOEICの受験が推奨され、企業によっては受験を義務づけられていることもあります。TOEICは国際コミュニケーション英語能力テストであり、世界共通で認識されています。

そのため、海外部門の採用ではTOEICの点数を基準に設けており、730点以上というハイスコアを必須としている企業もあるようです。しかし、あくまでもTOEICの点数は採用や評価における基準の1つであることを忘れてはなりません。

実際にビジネスにおいて重要なのはペーパーテストでの点数ではなく、円滑なコミュニケーションを図るための「話す力・書く力」です。どれだけTOEICのスコアが高くても海外のクライアントとコミュニケーションが取れなければ何の意味もありません。

スコアは1つの目安として重要ですが、その点数さえ取得すれば必要な英語力に達するというわけではないことを認識しましょう。実際に採用や評価においては「どれだけ会話ができるか・通じるか」を重要視する企業が増えてきているようです。

夢や目標に応じた語学力を身につけることが大切

英語のみならず、語学力は堪能であればそれに越したことはありません。しかし、語学力さえ身につけていれば“海外でも通用する優れたビジネスマン”であるということではないのです。

語学力はあくまでもビジネスに必要なスキルの1つであり、語学が堪能なだけでその他のビジネススキルに乏しければ、海外での生活は苦にしないとしても、海外での仕事で成功を収めることはできないのではないでしょうか。

また、現状で他言語が堪能でない方が使用の目的も予定もないまま、何となく英会話教室などに通って他言語を学んだ気になっているという状況は一番避けたいところ。重要なのは自身の夢や出世などの目標に必要な語学力を身につけることです。

目的がはっきりしないまま継続していても、その後の仕事に活かせる目処は立ちづらいと言えます。つまり、これからは言語というツールを使っていかにビジネスの役に立てられるかが問われるポイントとなるでしょう。

語学力が採用条件の1つや出世の要因になることは周知の事実です。しかし、ビジネスで求められるのは語学力だけではないので、目の前にある業務に全力を注ぎ、スキルを磨くことにも注力しましょう。

ビジネスにおいて語学力は長所の1つであり、すべてではないとの認識を持つことで、自身の新たな能力開拓における視野が広がるかもしれません。