サラリーマンができる副業の一つとして、もはや定番になりつつあるFX投資。しかし、FXと聞くと「怖い」「儲かっているのは一部の人だけ」「ハイリスク・ハイリターン投資だからFXはしない」など、マイナスな反応が多い投資方法でもあります。そもそも、FXがなぜハイリスク・ハイリターンといわれるのか?初心者でもわかるFXの仕組みやメリット、リスクを下げる方法についてお話しします。

FXとは何か

FX(エフエックス)=Foreign Exchange(外国為替証拠金取引:がいこくかわせしょうこきんとりひきのことで、異なる2つの国の通貨を売買・交換して取引をすることで、その差益が利益になる投資のこと。

要するに外貨取引になります。

ご存知のとおり、各国の通貨の価格は日々変動していますよね。

そうした価格相場の変動を利用するのです。

<例:1ドル=100のときにドルを購入し、レートが1ドル120のときにドルを手放すことで、20円の差益が発生>

これがFX投資の基本的な利益のしくみで、価格の差を利用して利益を出すという意味では話題の仮想通貨と一部共通するものがあります。

そのほかに、FXは「スワップポイント」と呼ばれる各国の通貨の金利差で利益を得る方法もあります。

<例:金利が0.1%である日本円金利1.5%の豪ドル1万ドル分購入。このとき生じる金利差は1.4%。1ドル=100円であれば購入価格は10,000円。1年間保有することで14,000円の利益が発生>

※ただし、スワップポイントは日々変動するうえ、各国の政策金利によっても大きく変わる可能性があります。一度保有するとスワップポイントが未来永劫受け取れるわけではないので注意しましょう。

FXがハイリスク・ハイリターンといわれる理由は

FXがハイリスク・ハイリターン投資といわれるのは、少ない証拠金(FX会社に預けているお金のこと、いわば自分の元金)で大きな取引ができるという取引の性質にあります。

これが「レバレッジ」(てこの作用を示す)という仕組みで、FXの場合は最大25倍までのレバレッジを設定することができるため、つまりは自分が持っている元金の25倍もの取引ができるということになります。

<例:元金10万円→レバレッジを25倍に設定すると250万円の取引が可能になる>

リターンが25倍になるということは、もちろんリスクも25倍になるということ。

これがFXがハイリスク・ハイリターン投資といわれてしまうゆえんなのですね。

レバレッジを低くすると本当にリスクが低くなるのか?

「レバレッジがリスクを高めるのならば、最初からレバレッジを低くすればリスクも低くなるのでは」という低レバレッジ運用が、注目を集めています。

レバレッジを低くしておけば「ロスカット※」と呼ばれる強制決済で損失が確定してしまうこともなくなり、長期で外貨を保有できるためスワップポイントもつき、為替が一時的に下落しても回復を待つことができる、という理論です。

確かにそのとおりかもしれませんが、下落したままロスカットもされず長期保有(ふくみ損をかかえたまま回復を待ち続ける)できるのは、資金が潤沢にある人だけではないでしょうか。

投資においてもっとも大切なこと

実は、FXにおいても投資という行為全般においてもいえることですが、リスクを回避するために重要なのはまず自分の投資スタイルをしっかり確立させることです。

FXにおいては、自分のリスク許容度(どの程度の損失まで耐えられるかの度合い)に見合った範囲までで投資をすると決めて運用していくことが大切ですので、レバレッジの調整は確かに大切ですが、それだけではなく、損切りと利益確定をどれくらいでするのか明確に決めておくこと。

損失が出るたびに取り戻そうと大きなレバレッジで買ってしまったり、利益が出ているときに「もっともっと待って利益を増やそう」と欲を出して売るタイミングを見失ったりしていては、相場に振り回されるだけです。

投資は冷静な判断力で、決めた投資スタイルを崩さないこと。これがリスク回避のまず最初の第一歩といえるでしょう。

※ロスカットとは、FX口座に預けている資金総額のうち、保有しているポジション(使用中の証拠金)の損益が一定レベルに達したときに、それ以上の損失を防ぐために対象ポジションを強制的に決済する制度のことです。

FXにメリットはあるのか

もちろん、FXにはメリットもあります。

前述した「少ない元金で大きな取引ができる」ということもメリットの一つですが、更に特筆すべきメリットは圧倒的なコストの安さにあります。

基本的に取引にかかる手数料はほとんどのFX会社で無料になっており、唯一のコストが「スプレッド」と呼ばれる買い取引時の為替レートと売り取引時の為替レートの差額の手数料のみになるのですが、このスプレッド、銀行の外貨預金での為替レートにかかる手数料と比較してみましょう。

<外貨預金の為替レート手数料:1ドルあたり2円~4円>

<FX会社の為替レート手数料(=FX用語のスプレッド):1ドルあたり約0.3〜1銭>

外貨預金と比較すると、その手数料は約100分の1程度。日本の銀行が取り扱う外貨預金の手数料がいかに高いかがわかりますね。

日本円の金利の低さや日本経済に対する不安から、投資の一つとして、資産防衛の手段として外貨預金を選ぶ方もいるでしょう。

しかし、外貨預金は銀行が取る手数料があまりにも高く、せっかくの金利差益をあまり享受できません。

資産防衛としてはなりたつかもしれませんが、投資として外貨を取り扱う場合は外貨預金よりもFXの方がコストが安く金利差益を享受できるというメリットがあります。

海外旅行へ行く際の外貨両替時も、両替金額が大きいとFX会社手数料の方が安くなることが多いです。FXにはそういった使い方もあるということを知っておきましょう。

まとめ

取引の性質からハイリスク・ハイリターンにもなるFXですが、投資姿勢を明確に、損失の許容度や利益の目安を決めて冷静にトレードしていけば、十分利益を享受できる投資方法です。

投資をするうえで欠かせないコストの安さというメリットがFXにはありますので、メリットを活かしながら安全な運用を心がけましょう。

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服部椿 (はっとりつばき)

とある金融系企業で10年間勤務する中でFP資格を取得。お金の情報を提供するメディアを運営するかたわら、コンテンツの企画・編集・執筆まで幅広く経験。執筆の楽しさに目覚め、フリーライターとして独立。 「世の中の役立つ情報を整理し、知識や知恵をプラスしてわかりやすく記事にすること」がモットー。 家計/節約/貯蓄/投資/年金/教育/住宅ローン/保険/ビジネス事情など幅広い記事を執筆。 <保有資格> 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)