企業は世の中にたくさん存在しますが、企業の株を買う人の気持ちとして共通するのは「できるだけお得に株を仕込みたい」ということでしょう。 安く買って高く売るが基本の株式投資では、そう思うのはいわば当然であってこれから株価があがる可能性の高い企業を選ぶ必要があります。 ただ、株式市場に上場している企業は3602社(2018年3月1日現在 日本取引所グループHPより引用)に及び、そこから銘柄を選ぶのは気の遠くなる作業でもあります。 多くの企業の中からこれから上がりそうな企業を選ぶには、一定の基準が欲しいところです。 そこで本記事では、お得(割安)な株選びをできるだけ簡単にするために初心者がまず初めに知っておきたい「PER」について解説していきます。

PERとは株価のお得度合いを知るための指標

PER(ピーイーアール)は株価収益率とも呼ばれていますが、一般的にはPERと英語で呼ばれることが多いです。

この指標は株式がどれだけ割安なのかを判断するために使われています。ちなみに割安というのは、ほかの株式に比べてどれくらいお得なのかということです。

以降はお得ではなく、割安という言葉を使って説明していきます。

株式の割安度合いを測ることのできるPERですが一般的に以下の公式によって算出されています。

PER(倍)=株価÷一株あたりの純利益(予想)

企業の株式には株価が付いていますが、PERは企業が生み出す利益に対して今の株価がどれくらいの割合(単位は倍です)となっているのかを数値で示していることになります。

企業が最終的に出す利益のことを純利益といいますが、それを発行している全部の株式で割った値が一株あたりの利益で、通常は会社が1年間を通しての見通しを発表しています。

この割合は、一般的には数値が低いほど割安で良いと思われています。逆に数値が高いと株価が買われ過ぎていて割高であると判断されるようです。

この時点では少々わかりにくいかと思います。そこで、次は具体的に数字を使ってPERを考えてみましょう。

PERを具体例で理解してみよう

3つの企業があると仮定しましょう。それぞれの株式の株価はいまのところ以下の通りです。

A 自動車 株価 1,000円
B 商事    株価 500円
C 製作所 株価 2,000円

さて、どの株式が一番割安だと思いますかという質問に対して、B商事と答えてしまってはいけません。確かにB商事は株価が一番安いですが、この段階では割安かどうかを判断することはできないのです。

割安かどうかを判断するには株価と利益を使った計算がなされる必要があります。
それぞれの企業の1株あたりの利益を見てみましょう。

A 自動車  1株あたりの利益 50円
B 商事     1株あたりの利益 20円
C 製作所  1株あたりの利益 200円

では、先ほど解説した公式にそれぞれの企業の株価と、1株あたりの利益を当てはめてそれぞれの企業のPERを計算してみましょう。

A 自動車 株価1000円÷1株あたりの利益 50円=20倍
B 商事    株価500円÷1株あたりの利益 20円=25倍
C 製作所 株価2000円÷1株あたりの利益 200円=10倍

こうしてみるとPERがもっとも小さいC製作所が割安な株式といえそうです。

株価が異なる企業でもこうして利益予想で割合を出してみると比較しやすいということがわかります。

ちなみにPERは一般的には10倍程度だと割安な株式だと判断されることが多いようです。

あくまで利益予想をもとに判断した数値ですが、投資判断の一つとして非常に人気のある指標として覚えておきましょう。

ランキングなども活用 低PERの銘柄を見つけるには

では低い数値のPERの銘柄を見つけるための簡単な方法をお伝えしたいと思います。一番簡単な方法は、株式情報を配信している信頼できるサイトのランキング機能を利用する事です。

初心者に馴染みやすいのはYAHOOファイナンス株式ランキングがおすすめです。

YAHOOファイナンス株式ランキング

PERをいちいち計算する必要がなく、低PERを一位から順に列挙しているので筆者もよく利用しています。

リンク先のページを見てもらうとわかると思いますが、3,402社のPERがランキングになって表示されています。もっとも低いものは2倍代からある事がわかります。

では、このランキングページの上位の企業を上から順に買っていけば儲かるのでは?と普通は思う事でしょう。

実際にはそう単純でないのが株式の世界です。

PERは割高な株を買わないための基準としても使える

PERは一種の割安の判断としては使えますが、必ず割安な株の株価があがるというわけではないです。

しかし、そのような割安な企業の株価は事業活動の好転などによって株価の上昇の余地が割高な企業にくらべて大きいはずです。

そういった意味でも、例えばPERが20倍以上の株式は割高水準として株を買う対象から外すというような使い方をするのも良いでしょう。

最後となりますが、PERは応用的な使い方をすることができ、他の要素と合わせることで投資方法の幅が広がります。それについてはまた別の機会にお知らせすることにしましょう。

この記事が、あなたの投資のお役に立てれば幸いです。

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早稲田大学法学部を卒業後、証券ディーラーを経て独立。Yahoo!ファイナンス『投資の達人』2015年のベストパフォーマー賞を受賞。マネーの専門家かつ個人投資家として活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。日経BP社「日本の億万投資家名鑑」などメディア掲載多数。