例をあげて 業績の上方修正ってなに?
簡略化して例を挙げてみましょう。
ある企業が今年度(4月〜翌年3月末までと仮定)の業績数値は売上高1億円、純利益500万円であると予想したとします。これは会社予想として投資家が毎年、注目する数字です。
でも企業は活動を毎日行っているので、「お!今年は売れ行きがいいな〜、もしかしたら業績が思っていたより良くなるかもしれないぞ!」となることもあるはずですよね。
そんな時に、企業側があらかじめ出していた予想を上ブレさせることがあり、これが業績予想の上方修正です。
さきほどの数字でいえば、売上高を1億2,000万円、純利益を600万円に上ぶれさせるような形です。この場合には20%も利益、売上ともに上がっているので投資家からの支持も増加します。
逆に、事業がうまくいかなかったり、不慮の要因(天候、災害など)、人気の低迷などにより業績が落ちそうだと判断された場合には予想の数値を引き下げる下方修正が行われることがあります。
業績上方修正の具体例 タカラトミーのケース
2018年8月7日、玩具大手のタカラトミーが前日に業績の上方修正のニュースを発表しました。
(タカラトミー IRより転載)
第2四半期とは年間の半分のことをさします。企業の業績は年間4回発表されます。
第1四半期、第2四半期、第3四半期、本決算です。
本決算が最も大事ですが、そこに到達するまでの3ヶ月ごとの業績推移も株価形成に大きな影響を与えます。
このタカラトミーの業績予想の修正では第2四半期の売上が4.8%,純利益が52%増えたことになります。
この発表をうけて同社の株価は、翌日の8日には沢山の投資家の買い注文が集まり株価が大幅に上昇しました。
最近では、タカラトミー社の株価が値下がりの傾向にありましたので、この業績修正は流れを転換させる契機になるかもしれないとして投資家に注目されたのです。
下記は実際にタカラトミー社が発表した第2四半期の業績修正のPDFです。業績修正の理由なども掲載されていますので、一度目を通しておくと良いでしょう。
なかには株価大幅上昇の前触れ的な「上方修正」も・・
上方修正を繰り返し株価を上げていった企業はたくさんあります。例えば求人情報サイト運営のディップ、家電量販店のノジマなどはその典型です。
両社ともに株価は2014年からここ数年で株価が10倍程度になるほどの上昇を演じていますが、いずれも業績上方修正を何度か発表しています。
ほかにも大幅な株価がみられた企業があったら、どこかのタイミングで業績予想の上方修正を行っていると考えて良いでしょう。
これから大きく上がる株を見つけるためにも業績予想の修正の知識は必須なものといえるでしょう。
業績上方修正でも売られる時がある点に注意!
企業が業績を上方修正しても株価が売られる時があります。
投資家は先を見通して投資を行っていくものなので、「この企業は本業が順調そうだ!先に買っておこう!」という思惑で株を買っている人が結構いるものなのです。
ある程度株価が上昇してしまった企業の場合には、業績を先取りしてしまった投資家たちが業績発表と同時に株を処分する場合があり、それが売りの圧力(株価を下げる圧力)になるのです。
逆に業績予想の上方修正を出すことで、株価が上がる企業というのは投資家たちの思惑以上に良い決算、つまりはポジティブなサプライズ決算を出した企業だと言えるのです。
その点でいえばこれまでは株価の下り調子だった企業が業績の上方修正を出してきたりすると、今後の将来的な期待感も大きくなりますよね。
先ほどお伝えしたタカラトミーもまさにそれで、サプライズ決算が出るまでは実は株価も下り調子だったのです。
業績上方修正が発表された時には、その企業の株式がそれまでどんな流れになっているのかを確認することも大事なのです。
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