ビジネスの場では、怒りをうまく扱う必要がある
ビジネスの場でキレて感情的になってしまうと、かなり大きなダメージになります。
だからといって怒りをおさえてばかりいるとストレスがたまり、その結果、パフォーマンスが下がったり、集中力の低下を引き起こして、ビジネスにマイナスの影響を及ぼすことになります。
怒りの感情は、生存本能であって人間に必要なもの。しかし、これがうまくコントロールできていないと、怒りの感情は厄介なものとなってしまいます。
怒りをコントロールできずにぶちまけてしまったことで、後悔した苦い経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その上、怒りの感情が続くと自律神経の働きを乱したり、血液に悪影響を及ぼすので、健康に良くありません。
では、どうすればいいのでしょう?
怒りをコントロールしてどうしていきたいか?
まずは、自ら積極的に問題解決するという姿勢で、アンガーマネジメントに取り組むことが、大前提として必要です。
アンガーマネジメントに取り組むにあたって怒りの原因は相手にあるという「他責」の考えでなく、全ての出来事が「自分に責任がある」「自分次第である」と考え、自発的に問題を解決するように取り組んでいく考え方がベースに必要となります。
「怒り」をコントロールするメソッド アンガーマネジメント
「怒り」の感情をどのように受け止めて、扱えばよいのかを考え、分析し、うまく付き合っていくための実践的メソッドがアンガーマネジメントです。
アンガーマネジメントは、アメリカできた実践法です。そのためアメリカでは、以前から企業が社員研修の中に取り入れていたり、政治家やスポーツ選手もトレーニングに取り入れているほど、一般に普及しています。
最近は、日本でもかなり広まってきており、企業が研修プログラムに取り入れたり、セミナーも多く開催されています。現役活躍中のオリンピックアスリート達も活用しています。
怒りの感情とは自然なもの
アンガーマネジメントは、無理に怒りの感情をおさえつけたり、怒らないようにすることではありません。
前述したように、怒りの感情は出さずにためておいてはいけないものなのです。怒りの感情は自分を守ろうとする、人間の防衛本能から出てくるものであるため、必要なものなのです。
「怒り」は、人間にとってごく自然の感情です。
怒りの感情は、必要
怒りの感情自体は決して悪いものではありません。
「喜・怒・哀・楽」というように人間の様々な感情は、 生きていくうえで必要なものです。つまり、怒りの感情も「嬉しい、楽しい」と同じようにごく自然なものと受け止めることが大切です。
まず、「怒り」は、自分を外敵から守る自然な感情です。「怒り」=マイナスというわけではありません。
怒りの感情の裏側にある本当の気持ち
怒りの感情は、二次的なものです。
怒りの本当の感情つまり、その裏側にある感情は、恐れ、不安、不満、くやしさ、悲しみなどの感情です。
怒りの裏側にある感情を、相手に伝える
その怒りの裏側にある本当の感情を相手にわかるように具体的に自分で伝え、理解してもらうことが必要なのです。
次に、どのように伝えればよいのかをお伝えします。
怒りを単なるリクエストととらえる
シンプルに「怒り」を観察するようにして「してほしいこと」、「してほしくないこと」のリクエストをすることだというようにとらえて、怒りの感情をそのまま受け止めます。
まずは怒りを受け止めることから始めると、怒りの感情をうまく扱えるようになっていきます。
そして、アンガーマネジメントを実践し、怒りの感情に振り回されずに上手に活用するためのトレーニングを続けていけば、怒りの感情もモチベーションに変えていかれるようになります。
「怒り」を適切な方法で表現する
- 自分が何を一番伝えたいかを明確にする
考えを整理し、「何をどうしてもらいたい(してもらいたかった)のか」そして「なぜ、してほしいのか」の理由も 具体的に伝えること
- 主語を「私」にし、冷静に素直に自分の気持ち を伝える
感情的にならない様、冷静に伝えることがポイントです。
- 「私が正しい」という、相手を非難する気持ちで話さない様にする
「~すべき」思考があると、相手より自分が正しいという気持ちになり、感情的にこじれてしまうため、相手を非難する気持ちを持たないようにすることです。
アンガーマネジメントは、心の筋肉トレーニング
アンガーマネジメントは「怒り」を上手にコントロールして、プラスのエネルギー(モチベーション)に変えていくための心の筋肉トレーニングです。
アンガーマネジメントを実践していくと、怒りの感情のために衝動的に出た行動に後悔することがなくなります。
そして、今までは厄介だと思っていた怒りの感情と上手に付き合っていくことができるようになります。そのために、実践的なトレーニングを積んで、「怒り」の感情に振り回されないようにします。
「怒り」をそのまま受け入れること
まずは「怒り」の感情がどういうものかを理解し、それをそのまま受け入れることから始まります。
「怒り」の感情をうまくコントロールできるようになれば、「怒り」をエネルギーやモチベーションに変えることができるというのです。
アンガーマネジメントのトレーニング
「怒りのピーク6秒」をやり過ごす
どれだけ腹が立って、激昂している時であっても、6秒だけどうにかやりすごせば、感情に振り回されることが防げます。
これは「その場セラピー」と言われて、アンガーマネジメントでも最も即効性があるトレーニングです。次に、トレーニングの内容をお伝えします。
アンガーマネジメントのトレーニングで
「怒りのピーク6秒」をやり過ごす方法です。次のような方法により、やり過ごすことができます。
- 怒りを数値化する
- 深い呼吸をする
- 思考を停止し、6秒が過ぎるのを待つ
- 怒りを認知する
1.怒りを数値化する
怒りをうまくやり過ごすためには、怒りを「数値化する」という方法が効果的です。今のこの怒りは、1が最小で10が最大とすると、どの数字に当たるかを考えます。
数値化をする時に、客観的に目の前の状況をとらえるため、理性が働いて、冷静になります。そして、6秒間が過ぎたころには、怒りの感情が落ち着きます。
単に英数字をカウントするという方法も効果的です。その場合、時間をじっくりかけて落ち着いてするために、10からカウントを始めます。
2.深く呼吸する
怒りで身体が緊張状態になっていますので、身体をほぐすためにしっかりと深い呼吸をして心を整えます。
身体の緊張がほぐれるとリラックスできます。
3.思考を停止状態にして、6秒過ぎるのを待つ
とりあえず、6秒間たてば、怒りのピークが過ぎていくので、何も考えないように思考停止して、6秒間が過ぎるのを待ちます。
4.怒りを認知する
まず、「今、自分は怒っているんだ」と自分の今の怒りの感情をそのまま受け止めます。
そして「何が原因で自分はこんなに怒っているのだろう」と自分を客観的に分析し、自問自答することで、少しずつ冷静になっていきます。
この方法は、アンガーマネジメントの手法ではないですが、感情を落ち着かせるために効果的な方法です。
フィギュアスケート選手の羽生結弦選手も自分の感情を落ち着かせるために実践しているそうです。
アンガーマネジメントを実践することのメリット
アンガーマネジメントにより、以下のようなスキルを 身につけることができます。
1.自分や相手の感情を理解するスキル
自分や相手が怒りを感じる理由や気持ちを理解できるようになります。
2.怒りの感情を客観的に理解するスキル
自分が怒りを感じる理由を客観的に理解できたり、怒りのパターンを知ることができたりします。怒りのパターンがわかると、怒りの感情を扱いやすくなります。
「怒り」には、以下の4つがあります。
- 強い怒り(強度が高い怒り)
- 持続性のある怒り
- 攻撃性の高い怒り
- 頻度が多い怒り
上の4つのうち、自分の怒りがどれなのかを考えてみましょう。
「アンガーログ」と言われるものがあり、怒りの直後に自分で記録をつけることを習慣にする方法で、自分の怒りを客観的に観察する視点を持つためのトレーニングになります。
アンガーログには、以下の内容を記録します。
- 日時
- 出来事の内容
- 原因・結果(自己分析)
3.怒りの感情への対処スキル
このようなスキルを身につけられれば、怒ったとしても怒りのために起こした衝動に後悔することがなくなり、自分の怒りの感情を相手に冷静に伝えることができるようになります。
誰も傷つけずに、自分の気持ちを冷静に素直に伝えられるよう、建設的なコミュニケーションの構築を目指すことになるので、それが仕事の成果にげていきます。
怒りのパターンを分析すると対処法が見えてくる!
「怒り」には、以下の4つがあります。
- 強い怒り(強度が高い怒り)
- 持続性のある怒り(根に持つ怒り)
- 攻撃性の高い怒り
- 頻度が多い怒り(日常的な怒り)
1~4のうち、自分の怒りがどれなのかを考えてましょう。
アンガーマネジメント診断法
前でお伝えした通り、怒りには様々なパターンが あります。
自分はどのパターンの怒りなのかを無料で診断できます。下記のサイトで診断してみてください。
まとめ〜相手のバックグランドを想像してみる
自分だけの基準で相手を判断したり批判せず、相手の背景を想像する姿勢を持つことが人間としての器を大きくします。人間関係を円滑にでき、相手を尊重していけば、仕事の成果にもつながっていきます。