「コンサルティング営業」の営業手法とは?
一般的な営業は、売り込むべき商品やサービスが決まっていて、それを必要としている企業をターゲットとして絞り込んだ上で、営業活動を行います。
それに対し「コンサルティング営業」は、特定の企業だけをターゲットとすることはありません。
まず初めにクライアントの課題を明確にしてから、そのための解決策を打ちたてて、その上で課題を解決するために必要な商品やサービスを提案していきます。
営業なのだからと、まず売ることがありきなのではなく、クライアントの問題を解決するための提案をすることに注力します。
「コンサルティング営業」は、自分の仕事に「使命」を感じている
自社商品を売って、自分の業績を上げることは営業マンとしては大切なことですが、そこを第一優先として考えるよりも、クライアントの「課題を自分が解決してあげる」という強い使命感が、通常の「御用聞き営業」や普通の営業との大きな違いです。
「コンサルティング営業」をする営業マンは、強い使命感を持っています。彼らは、これまでの経験で培ってきた様々な技法を用いて、クライアントの課題を見つけ、それに対する解決策をクライアントに提供していく営業のことです。
ポイントは、商品を売るのではなく、クライアントにとっての解決策を提案することにあります。
「コンサルティング営業」をするための資質
1.相手のニーズ(課題)を引き出せるヒアリング力
クライアントの話を75%、自分の話を25%位の割合ですることが最適といえるほど、クライアントに質問を投げてヒアリングすることが「コンサルティング営業」の最も重要な点です。
2.強い当事者意識を持って、クライアントの立場に立って、課題を共有できる能力
クライアントにとって障害となっていることは何か、それを取り除くためにこれまでしてきたことは何か、それを取り除くとどんな良いことがどれ程あるのかなど、同じ立場に立ってともに考えていくといったスタンスでクライアントと関わるようにします。
3.クライアントから信頼され、彼らを引っ張っていく事ができるようなリーダーシップ能力
他の人達から人として信頼される人間であるかどうかです。
「人間力」があるかどうかということです。
4.様々な視点から物事をとらえられる能力
様々な角度から見つけ出した1つの仮説をもとにクライアントと議論します。
マーケット全体をみる視点(マクロの視点)とクライアントの社内のデータを社内の人たちからヒアリングしていくミクロの視点をその局面ごとに切り替えることができる能力を持っています。
マクロの視点とミクロの視点の両方を持っていることです。
5.引き出しの数が圧倒的に多い
経験の数や場を踏んできた数が圧倒的にあることが必要です。
専門知識とともに、業界全体をとらえるグローバルな知識が必要とされます。
6.情報収集能力
自社の商品の知識はもちろん、業界全体の知識にも精通し、クライアントの知らない情報を先回りして押さえておくことが必要です。
7.ニーズを引き出すための分析力
当事者意識をもち、課題をクライアントと共有する熱い気持ちを持ちながらも、もう一方では冷静に客観的に分析する能力が必要です。
課題に対して「どうしたら解決できるか」の答えを導き出すための分析力は、「コンサルティング営業」の要となる能力です。
8.提案力
解決策に対してクライアントに納得してもらうための提案力や説得力、プレゼンテーション能力を磨くことが必須です。
9.自分が勝つパターンで提案を進めようとせず、クライアントにとっての最適な方法を見出せる能力
ワンパターン化した提案ではなく、オーダーメイドの解決策を提案します。
自分自身の営業パターンでクライアントの課題解決をしようとせずに、クライアントごとに相手の課題解決策に焦点を合わせてオーダーメイドの提案をするようにします。
自社製品をセールスすることに限らず、クライアントの課題に対して解決(ソリューション)を売り込んでいきます。
クライアントに課題を見つけ、ニーズをひきだす
ヒアリングをしっかり行い、クライアントの課題を全て見つけられたと思っても、以下を確認し徹底的に調査を続ける必要があります。
確認事項は、以下の二点です。
① つかんだのはクライアントの真のニーズであり、部分的なニーズではないこと
② 実際に自分たちのニーズがあることをクライアントが理解し認識していることがはっきりしているか
ニーズを認識してもらうために必要な3つの知識
1.製品の知識
自社の製品やサービスに対する熱意は、圧倒的な知識から生まれます。
製品の歴史、製造方法、その製品は、何をどうするのか、その製品を取り入れることでどんなメリットがどれ位あるのかをクライアントにわかりやすく伝えるために裏付けとなるような情報を集めましょう。
製品をすでに導入して成功している具体的な活用事例があれば、それをしっかり提示できるようにしておきます。
「既存のクライアントの声」や「口コミ」があれば、最大限に活用します。
2.業界の知識
業界についての総合的な知識があればあるほど、課題解決のための重要なポイントをクライアントが理解しやすくなるでしょう。
ここで再度、クライアントの業界のバックグラウンドを振りかえってみます。
業界がどのように現在まで発展してきたのかを理解し、業界の分析を行います。クライアントの業界がこれから5年、10年先にどの方向を進もうと目指しているのかを調査します。
どんな業界にも業界の専門誌があり、特集記事や傾向分析、法的な事に関しての最新情報、広告のアイデア、業界で成果を出して活躍する企業についての最新ニュースが掲載されています。
クライアントを訪問する際には基本的な業界知識が不可欠です。また、クライアントに関して事前に知りうることのできるプロフィールを調査しておくことにより、面会以前に相手を知ることができます。
このような事前準備をしっかりしておくことで、複数の同業他社のライバルたちに差をつけることができるでしょう。
3.価格設定の知識
あなたの提案する商品やサービスまたは問題解決策がクライアントに対して要求するだけの金額に十分見合っているのか、それだけの金額が必要とされているということがクライアントに理解してもらえるかどうか、クライアントの視点に立って考えてみましょう。
あなたが提案している解決策に対し、その金額を要求することが妥当だと思わせるための十分な証拠を用意し、それをどのように提示したらよいかを予めよく考えておきましょう。
提示価格は、様々なことを考慮して決定されます。例えば、厳しい市場の中で利益を最大に確保する、市場に対して適正な価格設定をする、価格戦略を景気の変化に合わせる、クライアントとの交渉によって価格を決める、などといったことがあります。
しかし、営業に携わる営業職の方の全ての方がこれらの価格設定に直接に関わるわけではないかもしれません。
直接関係せずとも、クライアントに対して解決策(製品または、サービス)の支払う価格がいかに適正なもので、なぜそれが適正価格といえるのかを説得力をもたせて提示することに集中すればいいのです。
クライアントの問題解決をしてあげることに集中する
様々な知識や情報を身につけて準備をしっかり整えたら、クライアントに面会し、ヒアリングに移ります。
問題・ニーズをクライアントに気づいてもらい、問題を解決する方向へと向かっていってもらうためには、コンサルティング営業をする側がその解決策を正確にとらえていることが必須になります。
クライアントにとって深刻な問題・課題が発見され、解決されることは、ストレスになっていることを取り除くことになります。
そのため、「コンサルティング営業」の仕事はクライアント企業やその企業の人々を助ける仕事ということになります。
それだけ大きな影響をあたえることになる業務をしていることを十分に認識し、コンサルティング営業に携わっていく必要があるということです。
まとめ
あなたのクライアントはあなたが問題解決のために生み出したアイデアにお金を払うのだということです。
真の「コンサルティング営業」になるために、自分や商品がクライアントそれぞれにどんなメリットをもたらせるのかを常に考えましょう。