iDeCoの仕組み
iDeCoは2017年1月からスタートし、20歳以上60歳未満の個人であれば、誰でも加入することができます。iDeCoに加入すると、毎月確定した掛金と、掛金を運用して生じた損益を合計した金額を60歳以後(加入期間による)に受け取ることができます。
ここで、iDeCoで運用する投資対象は、自ら選ばなくてはなりません。どのような商品を選ぶかによって、将来得られる利益や、逆に損失が発生するリスクが変わりますので、銀行や証券会社など、iDeCoに対応した商品を取り扱う金融機関で、複数の商品を比較検討しましょう。
なお、iDeCoの毎月の掛金の上限は、以下のとおり設けられています。
- 自営業者:月額6.8万円
- サラリーマン:月額1.2万円~2.3万円(会社の年金制度による)
- 専業主婦(夫):月額2.3万円
iDeCoの節税メリット①「掛金が所得控除になる」
iDeCoに拠出する金額は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税や住民税の計算上、差し引くことができます。生命保険などの場合、所得控除にできる金額に上限があるのですが、iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になるのがメリットです。
ただし、所得控除とは、所得税そのものから差し引けるものではなく、実際の減税額は、所得控除額に税率を掛けた金額となります。所得税の税率は収入に応じて変動しますので、仮に20%の税率の個人がiDeCoの掛金を年間20万円支払った場合、減税額は20万円×20%=4万円です。
iDeCoの節税メリット②「運用益は非課税」
株式や投資信託など、資産運用で得た利益には、通常、所得税や住民税がかかります。たとえば運用期間中に配当を得たり、売却して利益が出た場合には、約20%の税金が発生するため、手元に残る資金はその分少なくなってしまいます。
しかし、iDeCoの制度を利用した場合、掛金を運用して生じた利益は非課税で取り扱われます。非課税となる金額に上限はなく、いくら利益が出たとしてもすべて非課税という点も嬉しいメリットです。
ただし、iDeCoで取り扱われる金融商品は、元本が保証されているものではありません。市況や物価などによって相場は変動するため、掛金よりも受取額が下回るリスクがある点は注意が必要です。自分の目指すリターンと、許容できるリスクのバランスを考えてiDeCoを利用しましょう。
iDeCoの節税メリット③「受取時にも減税措置がある」
iDeCoで積み立てた金銭と運用損益は、60歳以後に一括か年金で受け取ることができます。ここで一括で受け取った場合には「退職所得」、年金で受け取った場合には「雑所得」として所得税の対象となります。
この受取時にも節税メリットがあります。まず一括で受け取った場合、受け取った金額のすべてが退職所得として課税されるわけではなく、以下の計算によって算定されます。
退職所得=(受取金額-退職所得控除額)×1/2
この算式の「退職所得控除額」は、iDeCoの加入年数が20年以下であれば、40万円×加入年数、20年以上であれば、800万円+70万円×(加入年数-20年)で算定されますので、たとえば、iDeCoへの加入年数が30年であれば、退職所得控除額は、800万円+70万円×10年=1,500万円ですから、1,500万円までは受け取っても税金がかからないということです。
もし退職所得控除額よりも多くの金額を受け取った場合には、その金額に応じて、5%から45%の税率で所得税が算定されます。
一方、年金として受け取った場合にも、「公的年金等控除額」を差し引くことができます。公的年金等控除額は、公的年金の受取金額や年齢により変動しますが、少なくとも1年あたり最低70万円の公的年金等控除額が認められます。
iDeCoで多くの資金を運用していた場合でも、長い年数の年金で受け取ることによって、節税メリットを増やすことができるでしょう。
このように、節税メリットが豊富なiDeCoは、老後資金の準備には非常に有効です。まだ利用されていない方は、豊かな老後生活のために利用してみてはいかがでしょうか。