税金について解説されている本は数多くあるため、自分に合ったものを選ぶだけでも難しいのではないでしょうか? 今回の記事では、筆者が税務職員時代に利用していたものを、いくつかご紹介したいと思います。

初心者向けの本を国税庁ホームページから無料ダウンロード

税務職員といっても、採用された時点で税金の知識をもつ人はほとんどいません。そこで、採用されて最初の数ヶ月間は「税務大学校」という研修所で税の基本的な知識を身につけることになります。

税務大学校で使用しているテキストが無料で閲覧可能

この研修で使用するテキストが、「税大講本」という冊子なのですが、実はPDFデータが国税庁のホームページに公開されており、無料で閲覧や印刷をすることができます。税大講本は、以下の8種類ありますので、調べたいトピックがあれば、まずは目を通してみると税金の体型的な知識を身につけることができるでしょう。

・税法入門
・国税通則法
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法
・国税徴収法
・間接税法

まったく税金に関しては初学という方は、「税法入門」に目を通し、その後気になる税金の種類に応じたものを見てみると、効率的に習得できると思います。

税大講本を使うメリットは、“毎年加筆・修正される”という点です。税にまつわる法律は毎年のように改正されているため古い書籍を使うと不正確な知識がつく可能性もありますが、税大講本には最新情報が記載されていますので、安心して使うことができるでしょう。

おすすめは大蔵財務協会刊行の「図解」シリーズ

次にご紹介するのが、大蔵財務協会刊行の「図解」シリーズです。こちらも税大講本と同じく、税目ごとに複数のものが発売され、毎年更新されています。

図解シリーズの特徴はその名のとおり、税金の仕組みについて図を使って解説している点です。税法がとっつきにくく感じる理由のひとつには、文字ばかりの情報だと頭に入りにくいという点があると思いますが、図解を使えば、イメージをしながら理解を進めることが可能です。

また、図解シリーズは、さきほど紹介した税大講本よりも幅広いテーマに分けて発売されています。たとえば、「国際税務」、「事業承継税制」、「譲渡所得」、「地方税」など、20を超える種類のものが発売されているため、学びたいテーマが決まっている方には、より効果的でしょう。

出典:amazon.co.jp

税金のプロが使う専門書

ここからは、税の知識をある程度身につけた方が、さらに深く学びたいという場合に役立つ書籍をご紹介します。

税金のバイブル「租税法」

まずは、税務職員や税理士の先生など、いわば税金のプロが必ずといって良いほど使っている書籍。それが、「租税法」(金子宏著・弘文堂刊)です。約1,200ページという大著ですが、税金に関する法律の仕組みや、手続き、歴史など幅広いテーマがまとめられています。

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税法には、ときに解釈が難しく、判断の分かれるようなケースも少なくありませんが、そうした微妙な点についても解説されているため、税務職員も参考にしていますし、税金に関する裁判でも、この書籍から引用した主張がなされることもあるくらいです。いわば「税金のバイブル」と言ってもいいでしょう。

税務職員も読む!「所得税 確定申告の手引」

最後にご紹介するのは、「所得税 確定申告の手引」(田名後正範著・税務研究会出版局刊)です。さきほどの「租税法」と異なり、こちらはタイトルのとおり、所得税の確定申告に特化した書籍。

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確定申告にテーマを絞ってはいますが、そのボリュームは約1,100ページもあり、確定申告に関する問題点は、ほぼ網羅していると言って良いでしょう。

こちらの書籍も、毎年の確定申告に合わせて改訂されますので、税務職員も確定申告の時期には買い換える人が少なくありません。

以上、私が税務職員時代によく利用していた書籍をご紹介させていただきました。いきなり「租税法」のような専門書に当たるのは難しいと思いますので、まずは今回の記事で紹介した税大講本など、比較的易しいものから目を通してみると、スムーズに学習を進められると思います。

ライタープロフィール

小林義崇 (こばやしよしたか)
小林義崇 (こばやしよしたか)
81年生まれ、福岡県北九州市出身。埼玉県八潮市在住のフリーライター
西南学院大学商学部卒。
2004年に東京国税局の国税専門官として採用。以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事する。2014年に上阪徹氏による「ブックライター塾」第1期を受講したことを機に、2017年7月、東京国税局を辞職し、ライターとして開業。実用書や雑誌・WEBメディア記事を多数執筆。