当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①経常収支、1年半ぶり赤字」「②所得格差、若年層で拡大」「③日銀、金利抑制策を発動」「④円の実力、50年ぶり低水準」です。

①経常収支、1年半ぶり赤字

財務省が発表した2021年12月の国際収支統計によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支は3708億円の赤字となりました。

赤字となるのは20年6月以来1年6カ月ぶり。原油高などを受けて輸出から輸入を差し引いた貿易収支が赤字に転じたことが主因です。

貿易収支は3187億円の赤字。前年同月は9650億円の黒字でした。

エネルギー価格の高騰を背景に、輸入が8兆1159億円(44.8%増)、輸出は7兆7972億円(18.7%増)で共に金額は過去最高になりました。

2021年通年の経常収支は15兆4359億円の黒字で、20年比2.8%減少。

黒字幅の縮小は4年連続、今後もエネルギー価格が高騰を続ければ黒字幅の縮小も続く可能性があります。


②所得格差、若年層で拡大

内閣府は日本経済の現状分析や見通しなどを纏めたリポート(ミニ白書)を発表しました。その中で、25~34歳で労働所得の格差が拡大する傾向にあると指摘し、背景に「男性の非正規雇用の高まり」があると分析しました。

数値が大きいほど所得格差が大きいことを示す「ジニ係数」を算出しました。

25~29歳は02年・0.240から17年には0.250に上昇しました。30~34歳も02年の0.311から17年には0.318に上昇しました。

内閣府は「男性の非正規雇用の比率が上昇し、労働時間が減少した」と説明。

今後も、所得が伸びない若年層が結婚をためらい、結果として少子化が進む可能性があります。結婚後の出産や子育て支援だけでなく、未婚化を防ぐかどうかが少子化対策に繋がるという見方もあります。


③日銀、金利抑制策を発動

日銀が長期金利の上昇を抑制するため「指し値オペ(公開市場操作)」と呼ぶ異例の手段を発動しました。新発10年物国債を対象に、0.25%の利回りで原則として応札分をすべて買い取ります。指し値オペの発動は2018年7月以来3年半ぶりとなります。

背景は、米欧の長期金利の上昇が日本にも波及し、日銀が許容する0.25%に近づいたためです。市場の混乱を事前に抑え、投資家にくすぶる金融緩和縮小観測をけん制する狙いもあります。

注視しなければならないのは、長期金利を低く抑えこめば金利差が広がり、円安が進行する可能性があります。円安は輸入物価の上昇を通じて日本の物価を押し上げます。

物価上昇が日銀の想定以上に進めば、市場で金融緩和縮小観測が勢いづく可能性は残っています。実際、欧米の中央銀行は当初「物価上昇は一時的」と踏んでいましたがこの数カ月で方針転換を迫られました。


④円の実力、50年ぶり低水準

円の総合的な実力が約50年ぶりの水準に低下しました。国際決済銀行(BIS)が発表した1月の実質実効為替レート(2010年=100)は67.56と1972年以来の低水準になりました。

BISは約60ヵ国・地域を対象に実質実効レートを算出しています。

実質実効レートの低下は円安と物価低迷が相まって円の対外的な購買力が下落していること示します。換言すると海外製品を購入しにくくなることを意味します。

原油など国際商品価格も高止まりしており、輸入物価の上昇を通して消費者の負担が増すマイナス面が目立ってきました。

一方、主要国の実効レートは、中国・人民元131.01.米ドル119.75、英ポンド105.15と日本の落ち込みが非常に目立ちます。

今後は、海外工場を国内に戻したり、食料自給率を改善したりして、根本的な解決を目指していくべきだと思います。

併せて、投資先として日本国内の魅力を高めなければ、通貨の実力が下がり続ける可能性も。