空前の健康ブームが盛り上がる昨今、世間は健康で安全な製品を求める傾向にあります。その顕著な例が「オーガニック製品」の流行です。食品のみならず化粧品やシャンプーなどでもオーガニック製品は人気が高く、テレビ・雑誌・インターネットではこぞってオーガニックというワードが使われています。 しかし、「体に良いもの」というイメージはあるものの、その実態が何なのかよくわからなかったり、オーガニックの意味自体を誤認していたりする人も少なくありません。 「なんとなく良さそう」という曖昧な理由だけで製品を選ぶのではなく、オーガニックの特徴をきちんと理解したうえで選択できるようにしましょう。

そもそもオーガニックって何?

オーガニックという言葉はテレビや雑誌、インターネットで見聞きするものの、具体的には意味がよくわかっていないという方もまだ多いのではないでしょうか。

オーガニックは、農薬や化学肥料などに頼らず自然の水・太陽・土地などの恵みを生かした栽培方法のことで、「有機栽培」と同義です。

よく「天然由来」や「自然派」などの意味と誤認されがちですが、オーガニックはあくまでも栽培方法を指しているため、これらとは全くの別物になります。

オーガニック食品は、農林水産省によって明確な基準が設けられています。

有機JAS規格の基準は、「農薬や化学肥料は使用しない」「禁止されている農薬や化学肥料を、種まきまたは植え付けの時点からさかのぼって2年以上使用していない水田や畑で栽培する」「遺伝子組み換えを使用しない」「生産から出荷までの管理・記録の徹底」などの基準があり、これらをクリアしたもののみが、オーガニック食品であるとPRすることが許されるのです。

オーガニック食品には化学肥料や農薬が使用されていないため、ケミカルフリーで安全性が高いことはもちろんのこと、肥料を使って栽培した農作よりも栄養価が高いことや地球に優しいという点が、オーガニック食品が選ばれている理由でしょう。

明確ではないオーガニックコスメの基準

オーガニックと聞いてイメージしやすいのは食品ですが、近年ではコスメも注目されています。

オーガニックコスメは、食品同様に無農薬・化学肥料を使わない大地で作られた植物を使って製品化した化粧品のことを指します。そのため、健康志向の女性を中心に爆発的な人気を博しているのです。

しかし、明確な基準が設けられているオーガニック食品に対し、日本ではオーガニックコスメに対する明確な統一基準が存在しません。

実は「オーガニックコスメ」と表記する製品は基準に則って作られたものというわけではなく、メーカーが独自に判断して表示しているのです。

このようにオーガニックの程度は製品やメーカーによって異なるため、非常に曖昧なのが現状です。

ちなみに、海外にはオーガニックコスメの認定機関が存在するため、日本に輸入された海外産のオーガニックコスメのほとんどはその規定に沿って認証されています。

海外産のオーガニックコスメの方が信頼性が高いと言われる所以はその点にあります。

オーガニックという流行りに踊らされないために

基準が曖昧で、消費者の判断に委ねられている現状でも、オーガニックコスメは多くの女性から人気を集めていますが、「オーガニックだから良い物」という安易な考えが先行しているというのもまた事実です。

確かにオーガニック製品には優れた特徴がたくさんありますが、流行っているからと「なんとなく」選ぶのではなく、その意味や現状をきちんと理解した上で目的をもって選択をすることが大切です。

事実を知って賢い選択ができる視点を身につけることは、今後何かを選択する際にも役に立つ大切なスキルの1つになるはずです。