VRとは「仮想現実」のこと
VRとは「Virtual Reality」の略で、「仮想現実」という意味です。人間の現実世界に存在しない映像や音響を疑似的に体験させるための手法を総じて「VR」と呼ぶようになってきています。
VRを体感するにはさまざまな方法がありますが、定番化しているのは特別なディスプレイを使ったタイプのVRです。
液晶でできたゴーグル型のディスプレイを装着し、目の前に現れる映像を体感します。音響も楽しめるVRヘッドセットもありますが、音響のないVRゴーグルの場合はヘッドフォンや、感触が伝わるグローブなどもあわせて使用すると、より臨場感は高まるでしょう。
かつて、VRといえば映像ゲームなどの娯楽に使われることが主流でした。家庭用ゲーム、テーマパークのアトラクションなどにはVR効果が頻繁に使われています。
しかし、VRは社会のいろいろな場面での応用範囲が広く、急速に展開が早まっているツールだといえます。
主なVRの応用例
VRの活用法として、たとえば教育現場や関係機関での使用があげられます。学校や博物館などで歴史などの文字情報を学んだとしても、深く歴史を理解することはまれでしょう。
また、戦争などの歴史的悲劇への認識や共感を養うためには、事実の理解以外にも被害者への感情移入が求められます。そんなとき、VRを使った歴史的事象の疑似体験は大いに有効です。
企業のプレゼンテーションにもVRは応用可能です。プロジェクトの概要を体感してもらい、プレゼン内容への理解を深めてもらうためにVRは活躍します。
また、医療分野での催眠療法、手術内容の説明や手術練習への応用などにもVRは有益です。
VRがビジネスシーンにもたらすのは「具体性」と「視覚情報の拡大」だといえます。VRによって、これまでの文字情報中心だったビジネスシーンは再編される可能性もあります。
来るべき未来のためにVRを深く学んでおいて損はないでしょう。
進化が止まらない!VR技術の可能性
VR(Virtual Reality、仮想現実)の世界に関しては昔から一定の期待は寄せられていたものの、具体的な形を提示するには至っていませんでした。
しかし、2016年に、PSVR(PlayStation®VR)が発売され、大きな注目を集めることになります。はたしてVRの登場によって私たちの未来はどのように変わっていくのか、その可能性を探っていきます。
360度の仮想空間が生みだす新たな娯楽世界
VR技術の可能性としてまずあげられるのが、娯楽ジャンルでの活用です。
PSVR自体は入手困難な状態が続いていることやソフト不足もあって日本では下火になっていますが、その技術は新しいゲームの登場を予見させてくれます。
そして、ゲーム以上に大きな期待を集めているのがテーマパークでの活用です。視界が360度確保された臨場感あふれる画面によって小さなスペースでも臨場感あふれるアトラクションが可能になりました。
それに、VR装置を使えば、大事故に巻き込まれる心配もなく、安全にスリルを楽しめる点も大きなメリットだといえるでしょう。
さらに、映画界でもVR技術を取り入れた新しい表現の模索が始まっています。
360度に広がった画面は単にストーリーを楽しむだけでなく、映画の中に入り込んだような不思議な感覚を観客に与えてくれます。
新しい表現方法を手に入れ、映画がどのように変わっていくのかは大いに注目したいところです。
あらゆる分野に進出するVRの無限の可能性
VR技術は娯楽だけでなく、より実用的な面でもその活用が期待されています。
たとえばショッピングです。ネットショッピングはすっかり生活の一部として定着した感がありますが、商品の写真だけではいまひとつ実像をつかめないという欠点があります。
特に衣服などのファッション関係は、そのために買い物を躊躇してしまうことも少なくないでしょう。
しかし、VR技術を使って360度の映像を見ることができれば、本物が目の前にあるのと極めて近い感覚で商品を選べるのです。
しかも、臨場感たっぷりの仮想空間に入ることで、家にいながら実際にお店に行ってショッピングを楽しんでいる気分を味わえます。
また、模様替えをする際、買ってきたインテリアを部屋に置いてみるとイメージしたものと違っていたというケースがよくあります。
こういうときも、VR技術を使えば、仮想空間の中でインテリアを自由に置き換えることが可能です。しかも、その中を実際に歩き回れるため、インテリアを置いたときに通路などのスペースが十分確保されているかといった確認も行えます。
さらに、VR技術は不動産の分野でも応用されています。引越をするときはできるだけ多くの部屋を見て、少しでも自分に合った物件を選びたいものです。
しかし、実際に何軒も物件を回っていては時間がかかりすぎてしまいます。そこで、VRを使えば、その場で擬似的に部屋の内見ができるというわけです。
そうして、物件を絞り、最終確認で実物を見るというプロセスを経れば、より効率的に部屋を探すことができます。
そのほかにも、VR技術は教育、職業訓練、医療などさまざまな分野での応用が期待されています。
このように、VRには無限の可能性が秘められており、同時に、新しい技術によるビジネスチャンスが生まれる可能性をも示唆しています。
今のうちにVRについて学び、新たなビジネスの可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
「VR」「AR」「MR」のアプローチの違い
これまでは、現実が唯一の世界でした。しかし、コンピュータの急速な進歩によって、目の前の情景が現実に存在しているのか、新たに作り出されたものなのか区別することが困難になってくるでしょう。
もしかするとVRなどの技術によって、区別する意味さえ失われてしまうのかもしれません。ここでは、VR・AR・MRについて解説していきます。
VRがもたらす未来とは?
Virtual Reality(仮想現実)の頭文字をとったVRは、ゲームの世界でよく利用される技術ですが、やがて現実と区別することができない世界をもたらすかもしれません。
たとえば、人は目の前の情景が現実なのか作られた世界なのか意識することもなくなり、VRによってさまざまな体験を目的に合わせて得られるようになります。
未知の世界や未体験の宇宙を垣間見たり、最新鋭の技術や体験をシミュレーションしたりすることも可能です。これまでなら限られた条件下でしか得られなかった感覚体験が、VRではいつでも何度でもくり返し味わうことができるのです。
ARの登場で目の前の情景に奥行きがプラスされる
Augmented Reality(拡張現実)の頭文字をとったARは、目の前の現実空間にデジタル情報を追加できる技術です。
たとえば見知らぬ場所に立ったとして、方角はもちろん、そこがどのような場所なのか、駅やホテルまでの道のりさえ把握できない状況だったとしても、ARによって必要な情報を瞬時に手に入れることが可能になります。
世界中を旅するときにその地域の歴史や地理の情報を得たり、日常では商店街でタイムセール情報を探したりすることもできます。
目や耳から得た情報に関連させて有益なデータを追加できるので、ARは現実をより身近な存在として感じられるでしょう。
MRは現実と共存することを選ぶ
Mixed Reality(複合現実)の頭文字をとったMRは、VRやARと異なり、仮想空間に現実空間の情報を追加して、相互に影響し合いながら融合させる技術です。
いるはずのない人物が目の前の情景に紛れていたり、実際とは異なる景色が必要に応じて組み込まれていたりと、より複雑な世界を体験できます。
MRによって、まるでSF映画の世界のようなシミュレーションが目の前で展開していきます。
VRとAR、さらにはMRと、それぞれ現実との寄り添い方は異なりますが、そのどれもが未来への可能性を秘めています。ゲームや映画の世界にとどまらず、科学や教育、報道の分野での応用が期待されます。