昭和の後半の30年はまさに日本の栄華の時代。平成の30年は「失われた20年」のデフレ時代。そして令和の30年はコロナで始まった。

今上天皇はその御年からして少なくとも30年は令和の時代が続くと思われる。令和が始まって1年もたたないうちに、突然世界は新型コロナウイルスのパンデミックに襲われた。

社会経済構造は30年周期で変化するという学説がある。特に日本は30年周期で破壊と繁栄を繰り返してきた。

すなわち1870年~1900年は江戸時代の封建社会の構造が「破壊された30年」。

1900年~1930年は日露戦争から当時の新興国であった日本が第一次世界大戦を経て、先進国の仲間入りをはたす「繁栄の30年」。

1930年~1960年は第2次世界大戦の戦前から戦後の戦争と「破壊の30年」。

1960年~1990年は昭和の後半の時代、高度経済成長からバブルを経て世界のナンバーワンとして、栄華を極めたまさしく日本史上最高の「繁栄の時代」昭和黄金時代である。

そして1990年~2020年平成になってバブルが崩壊し、金融大不況でデフレに突入し「失われた20年」と総称され、おまけに、阪神淡路大震災と東日本大震災と巨大な災害に見舞われ、地下鉄サリン事件で社会も震撼とした「破壊の30年」であったといえる。

それであれば幕開けした令和の時代は当然「繁栄の30年」

ということで東京オリンピック、大阪万博と世界的イベントのシナジー効果も期待してスタートした2020年であった。

それが突然のウイルスの襲来である。

コロナが収束すれば、抑圧されてきた消費行動が一気に盛り上がるという主張がある。いわゆるペントアップデマンド「鬱積需要」が起きるという説である。最近評判の悪い、竹中平蔵氏もこの間のたまわっていた。確かに自粛で抑制された外食、観光には反動があるであろう。

しかし、最近の消費支出は自動車、テイクアウト、嗜好品や不動産関連で家具、家電なども大きく伸びている。逆に言えば、「巣籠需要」の増加である。

人の移動や接触を伴う飲食を含めたサービスの産業が大きく成長・発展したのが昭和の黄金期である。

コロナ禍では人の移動や、接触を減らすことによって、恩恵を受ける産業が、それこそ勃興して、成長している。

いわゆる経済学的な用語である「トレードオフ」の関係である。コロナによってもたらされた新常態は、近い未来への時間を短縮したのかも知れない。デジタル化と、AIを中心としたネットテクノロジーの進化が加速しているのかもしれない。

日本で米アップルの「iPhone」が発売されたのは2008年であるという。13年前に発売されたスマートフォンはあっというまに日常の景色を変えた。13年前にまだ電車の中で新聞や雑誌や文庫本を読む方が主流であった。今は電車の中の全ての人がスマートフォンとにらめっこである。

つまり我々の生活水準はさほど大きく変わっていないのに、スマートフォンという新しいテクノロジーが生活様式を根底から変えてしまったのである。そしてこれからの10年はこれまでの10年の数倍の速さで世界を大きく変えていくだろう。令和の30年を迎えるとき、我々は全て自動化された乗り物に乗り、自動車は自動化どころか、空を飛んでいるであろう。全ての物流は進化したドローンによって運ばれているであろう。もうこれは単なる予想ではなく、必ず起こる事実である。フェイクではなくファクトなのである。

その様な時代の到来があっても、まだ人類は貧困や抑圧、差別、紛争や対立を克服出来ないでいるのであろうか。

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飯塚良治 (いいづかりょうじ)

株式会社アセットリード取締役会長。 オリックス信託銀行(現オリックス銀行)元常務。投資用不動産ローンのパイオニア。現在、数社のコンサルタント顧問と社員のビジネス教育・教養セミナー講師として活躍中。