依然としてサービス残業が横行している
基本的にすべての労働は賃金という対価で報酬が支払われます。もし従業員が就業時間内に仕事が終わらなかったとしても時間外の労働は残業代を支払わなければならず、未払いなのは法律に反します。
労働基準法の第37条には「時間外労働(残業)、休日に労働した場合は割増賃金を支払わなくてはならない」と明記されています。
ブラック企業によっては「与えられた時間に仕事ができなかったのだから、自己責任で終わるまで仕事をしろ」とか「休日出勤は直接指示したわけではないから給料は払えない」など、あらゆる手を使って残業代を払わないように持っていこうとします。
しかし、もし会社が残業代を払わなければ労働基準法の罰則規定による懲役6ヶ月または30万円以下の罰金としています。
一般的には未払い残業代の可能性が浮かび上がった時点で労働基準監督署の指導が入り、刑事罰になるまでには至らないうちに解決されることが多いようです。
いずれにせよ、「サービス残業や未払い残業代=違法」であると心に留めておきましょう。
こんな場合もサービス残業になる!
たとえ残業代が支払われていても実態に沿って残業手当を受け取っていなければサービス残業に当たります。
最近は、あからさまなサービス残業は社会的な厳しい目もありできなくなってきているので、ブラック企業のなかにはずる賢いやりかたでなんとか残業手当を支払わないようにしているところが増えています。
サービス残業の典型が「定時になると一斉に従業員にタイムカードを押させて、そのまま仕事させる」方法です。
これならタイムカードは就業時間内のみ働いたことになるため、記録上の問題はなくなります。しかし、実態はタイムカードの打刻以降の労働時間に対する残業手当が出ず、未払い残業代が生まれます。
また、中間管理職以上で今でも横行しているサービス残業とは、役職付きにして管理職手当のなかに残業代をすべて含めてしまう方法です。
勤務年数がある程度以上になると名前だけの管理職にさせて、残業代がほとんど付かない会社はいまでも珍しくありません。
未払い残業代を取り戻す方法ってある?
未払い残業代を請求する前に、残業手当や割増賃金とは何かを知っておく必要があります。いわゆる残業手当とは法律上は割増賃金の一種で、時間外労働手当(残業手当)と呼ばれています。
さらに休日労働手当や深夜労働手当を含めてこの3つを広く残業代と呼ぶことが一般的です。
また、残業代とは1日8時間以上、週40時間以上の労働で本来支払われるべき割増賃金のすべてが請求できます。
サービス残業で未払いの残業代を取り戻したいとき、上司や会社側に話しても解決に至らなければ、労働組合や労働基準監督署に相談して会社に支給を働きかけてもらうやりかたがあります。
ただ、強い法的拘束力がないため企業側も本気で支払いに応じない場合も多いのが現実です。
正攻法で残業代の支払いがない場合、最終的には弁護士に依頼して請求することになります。
弁護士と一緒に未払いの残業代を算出して弁護士の名義で内容証明を郵送すると、企業側も心理的な圧力が掛かるため残業代の支払いに応じる場合も少なくありません。
しかし、内容証明でも効果がなかったときは、裁判所で「労働審判」を申し出て会社側と話し合いの場を設けることになります。
「労働審判」という一種の調停の機会でも会社側の対応が不十分であれば、訴訟を起こして実際の裁判で請求を求めていきます。
ブラック企業が問題となるなか、未払い残業代に関わる悩みを多くの従業員が持ち続けています。
残業代を支払われないこと自体が違法であること、残業代を取り戻すためにできることを知っておくことで、万一サービス残業の問題が降りかかったときに助けになることでしょう。