アジェンダとは「やるべきこと」である
アジェンダの意味は、実は“たったの一言”で表現できます。アジェンダとは「やるべきこと」という意味なのです。
アジェンダという言葉の意味に迷った時には、是非とも「やるべきこと」という意味を思い出してください。
この方法を使って、冒頭で紹介した例文を言い換えると、(1)“やるべきこと”に従って議論を進めていこうとか、(2)G7は格差是正のための“やるべき政策”を決定したという風に表現できます。
この段階で、2つの例文が言わんとする意味が「漠然」と推測できたのではないでしょうか。
例文の詳しい意味は後ほど説明するとして、アジェンダの語源について触れておきます。アジェンダは英語のagendaが元になったカタカナ語。
そのagendaの語源はラテン語のagendumで、これは「なされるべきこと」を意味しました(参考:ランダムハウス英和大辞典)。ここではより覚えやすいよう「やるべきこと」と理解しておきましょう。
アジェンダとは「議題」もしくは「行動計画」である
さてこの言葉について、もう少し詳しく覚える余裕のある人は、次のふたつの意味を覚えてください。
アジェンダとは、会議においては「議題」の意味であり、政治・行政においては「行動計画」の意味なのです。両方とも「やるべきこと」という共通点がありますね。
議題を言い換えると「検討すべきこと」ですし、行動計画を言い換えると「実施すべきこと」です。
これを踏まえて2つの例文を言い換えると(1)は「議題に従って議論を進めていこう」となり、(2)は「G7は格差是正のための行動計画を決定した」となるわけです。
実際のところ、アジェンダの意味はこれだけではありません。議事日程、備忘録、日程表、政策などの意味もあります。
しかし一般社会で登場するアジェンダは、おおよそ「議題」か「行動計画」のどちらかでしょう。
ふたつの意味を覚える余裕のある人は、是非「議題」と「行動計画」のふたつの意味を把握しておいてください。
日本語としては、まだまだ目新しい言葉
アジェンダという言葉は、日本語としてはまだまだ目新しいものだと思われます。
少し古い情報ですが、国立国語研究所が2002年から2004年にかけて調査した『外来語定着度調査』によれば、アジェンダの認知率(言葉を聞いたことがある人の割合)は13.4%、理解率(意味を知る人の割合)はわずか4.7%に過ぎませんでした。
新語の掲載に慎重な態度を採ることで知られる『広辞苑』(岩波書店、現段階の最新版は2018年発行の第7版)は、2008年に発行された第6版のタイミングで、ようやく「アジェンダ」を掲載しています。
2009年から2014年にかけて活動していた政党「みんなの党」のように、政策を意味するアジェンダを積極的に発信する試みもありました。
が、率直に言えば、言葉の浸透には至らなかったようです。もしあなたがアジェンダという言葉を使う側に立ったならば「適切な言い換え」を検討するのもよい選択肢でしょう。
冒頭で申し上げた筆者のアジェンダが首尾よく達成できたならば幸いです。
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