「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの症状がある
ADHDは主に「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状があります。
「不注意」は子どもの頃に勉強でうっかりミスが多い、よく物をなくす、興味があることに集中しすぎるなどが代表例で、ADHDの兆候といわれています。大人になると仕事でうっかりミスが多く、忘れ物が多く、時間管理が苦手という症状に変化します。
「多動性」は子どものときに静かにしていることができない、落ち着かないという兆候があります。改善されないと大人になっても落ち着きがないと見られてしまう傾向があります。
「衝動性」は欲しいものがあると親に執拗に要求する、思ったことを気にせず言ってしまうなどの兆候が見られます。
大人になると衝動買いをしたり、状況に応じた適切なコミュニケーションが難しく感じたりします。
大人になると周囲から誤解されやすい
子どもの頃からADHDの兆候がある場合には、本人も自覚があり悩んでいることが多いといわれています。
そのため、努力して改善しようと試みるのですが、大人になってからも症状は改善されないことがよくあります。
大人になり社会人として働きはじめたとき、ADHDの症状が影響して社会生活にうまくなじめなくなり、人間関係に悩んでしまう傾向が見られます。
周囲の人はADHDが原因で悩んでいることが理解できず、意図的にミスをしている、コミュニケーションがとりづらい、などと誤解しがちです。
その結果、ADHDの人は自分が悪いのだと責めてしまうことがあるのです。
ADHDの治療の現状について
ADHDに似たような症状はいろいろあるといわれています。そのため、もしかしてADHDかもしれないと思っても、すべてのケースがADHDであるとは断言できないでしょう。医師の診断を仰いで症状を見極めてもらう必要があります。
さらに、医師の診断の結果、ADHDの症状がある程度認められても、ほかの病気や障害などを併発している場合には、治療方法が難しい可能性があります。
具体的なADHDの治療方法としては、心理社会的治療や薬による治療を組み合わせることが多いようです。
医師は最初に患者の環境を調整して心理社会的治療を行い、客観的に状況判断をします。効果がある程度認められたら治療を継続します。
しかし、心理社会的治療だけでは難しい場合、投薬による治療もあわせて検討します。
いずれにしても、適切なADHDの専門医を見つけ、時間をかけて経過観察することが先決です。そして、周囲の人は、よき理解者、信頼できるサポーターになる覚悟で対応することが大切です。