株式投資で給料以外の収入を得たいと思っているサラリーマンの方も多いと思います。ひょっとしたら、すでに株式投資を始めている人もいるかもしれません。 もし、給料以外の収入があれば将来も安泰だろうし、余剰資金で旅行にも行ける。そのように夢見ているかもしれません。しかし、株式投資はそれほど甘いものではありません。 それを知っていただく為にも、今回はサラリーマン投資家が経験してしまった株式取引の失敗例について紹介していきます。

利益確定をきめていなかったばかりに・・・

Aさんは、あるバイオ企業の株式を購入しました。チャートを見ると、3カ月ほど前からぐんぐん上昇しています。新薬の試験をクリアしたという明るいニュースもあります。過去の決算書も読み、ここ数年の伸びも確認しています。

この企業は必ず大きく成長する。そう考えたAさんは500万円の貯金から300万円を証券会社の口座に移し、株を購入したのです。

その後、株価はどんどん上昇していきました。株を買った三か月後には含み益は20%を超えていたのです。ここで、一旦利益を確定しようかと悩んだそうです。

半分ぐらい利益を確定して、同額をまた投資しようかとも考えたそうです。

しかし、まだまだ上昇すると判断したAさんは、ここで更に100万円分の株を追加で購入しました。しかし、その後株価は下がり始めたのです。

最初はずるずると下がって

株価の上昇も早かったのですが、それを更に上回る早さで下がっていきました。その後も、株価はずるずると下がっていきました。追加投資をしてから半月後には、ほぼ含み益はなくなっていました。

ここでも一旦手仕舞いしようかと悩んだそうです。しかし、前回と同じように追加投資の道を選びました。残りの100万円を投資したのです。

これでAさんは、全ての資産をバイオ銘柄に投資したことになります。その後、株価は上昇していきました。

保有している株数が多いため、少しの値動きで含み益の金額は大きく動きます。その金額にAさんは惑わされたと言います。

前回の高値まで戻った時の含み益を計算しては気持ちが大きくなっていったそうです。気付けば、支給されたボーナスもほとんど証券口座に入金していました。

振り返ってみると、自分でも冷静さを欠いていたと感じているそうです。

ボーナスで更に買い増した数日後に、ストップ安になりました。Aさんは訳が分からず、保有している企業のニュースを確認したそうですが、なんのニュースもありませんでした。

理由もなく、いきなりストップ安になったのです。Aさんは口座を確認すると、含み損の大きさに唖然としました。

どこまで下がるのか分からないので、一旦損切りした方がいいのだろうかと悩んだそうです。

しかし、理由もないのに暴落したのだから、時間が経てば投資家が企業の価値に気付いて必ず株価を戻すだろうと判断したAさんは損切りを選びませんでした。

どんどん増える含み損

その後、株価はAさんの考えを無視して下げ続けていきました。日に日に口座の含み損の金額は大きくなっていきます。Aさんは、まるで現実感がなかったと言います。

ここまできたら、損切りなんてできない。いつしか、Aさんの頭から損切りの文字は消えていたのです。

株価は少しずつ下がっています。最近では、出来高まで減ってきました。

そんな時、Aさんは車の故障によりまとまったお金が必要になりました。しかし、貯金は全て投資に回していたので、手元に資金がありません。

2週間後には支払わなければいけません。この数日間の間に少しでも株価が上がってくれれば。Aさんは祈るような気持ちで、株価をチェックしていたそうです。しかし、株価は更に大きく値を下げたのです。

Aさんの心は、そこで心が折れてしまいました。やけくそになり、全ての株を売却しました。投じた資金は550万円。戻ってきた資金は200万円程度だったそうです。

Aさんは数カ月の間に6割近くの資産を失ってしまいました。

まとめ

Aさんの失敗は、損切りラインや利確ラインを決めていなかった点にあります。また、全ての資産を投資に回してしまった点にも問題があります。

長期目線での投資なのであれば、待っていればいいのです。それなのに、短期間の値動きの中で、購入を繰り返してしまったのも失敗の原因です。

株式投資をしていると、株価が動くたびに投資家の心理状況も変化していきます、人間の心は揺れやすいもの。

だからこそ、最初に損切りラインや利確ラインを決めておく必要があります。長期投資ならば資金管理と時間軸の設定といったルール作成をしておく必要があるのです。

投資で成功したいのであれば、それだけの戦略が必要になってきます。