「寄付金をすれば税金が安くなる」という話を聞いたことはないでしょうか。とくにふるさと納税やNPO法人への寄付の増加で、寄付金と税金との関係が注目されています。税金対策として有効な寄付金控除をどう活用すればよいのでしょうか。国や地方公共団体、法人などへの寄付者にどのような税制上のメリットがあるのかをご紹介します。

寄付金控除の対象となる相手先は限られている

税制上、寄付金が控除される仕組みは所得税における所得控除に含まれています。簡単に説明すると、個人で国や団体、法人などに寄付をしたとき、確定申告で所得控除が受けられるのです。

なお、寄付先が国や地方公共団体の場合は「特定寄付金」、それ以外の政党やNPO法人、公益社団法人などへの寄付は単に「寄付金」と呼び扱いが分かれます。

「寄付金」の場合、寄付額の一部について所得控除または税額控除(寄付金特別控除)の2つの選択肢から選ぶことができ、税額控除で確定申告すると一般的に課税所得が低い人ほど節税効果が高くなっていきます。

特定寄付金の相手先とは

公益性の高い寄付先は「特定寄付金」となります。対象となるのは次の通りです。

・国または地方公共団体
・指定寄付金(公益社団法人、公益財団法人など)
・特定公益増進法人
・特定公益信託の信託財産
・認定NPO法人
・政治活動(政党、政治資金団体など)

このように、行政や公益活動、政治活動といった社会に目立って役立つと考えられる寄付先が該当します。

寄付金の節税効果は?

所得税の控除のなかでも、寄付金控除は大幅に優遇されている制度です。寄付金に課税される所得税そのものを一部免除できる場合もあります。

これは、社会全体で寄付を盛んにしようという目的が反映されているためです。

寄付金の相手先によって所得税を寄付金から直接差し引く税額控除、または所得金額から寄付金額をそのまま差し引く寄付控除が選べます。

どちらが有利かは所得金額や寄付金の額によりますが、税額控除なら所得税の25%まで、寄付控除なら所得金額の40%までが対象です。

ただ、所得金額の4割も寄付する個人は極めてレアなケースと考えられため、一般的な計算式である「特定寄付金の合計額−2,000円」で算出します。

ふるさと納税での税金控除の仕組み

2008年にスタートしたふるさと納税。なにかと返礼品の豪華さを競うニュースばかりが目立つものの、もともと地方へ寄付する形で納税して自分の応援する地域を活性化しようというところから始まったものです。

ふるさと納税も税制上は寄付金控除の一種とみなされます。ただ、ふるさと納税ならではの特例があり、一般的な寄付金が所得税の控除のみであるのに対し、住民税控除もできるのが大きな魅力です。

実際にふるさと納税で寄付金控除をするには確定申告とワンストップ特例制度のどちらかを選ぶことになります。

どちらを選ぶかで申請方法や控除額に違いが生まれてくるので、慎重に選ぶことが大切です。

ふるさと納税ならではの控除額計算

寄付金控除であるにも関わらず、ふるさと納税は所得税に加えて住民税の控除も受けられる魅力的な制度。通常、寄付金控除は2,000円を差し引いた額ですが、所得税と住民税からそれぞれ控除されるだけでなく、住民税は基本分と特例分のダブルで控除されるのが特徴です。

ちなみに、住民税控除でこうした特例分が設けられているのはふるさと納税納税のみなので、かなり節税効果の高いものといえます。

ふるさと納税には上限がある

所得税と住民税両方で控除が受けられるふるさと納税ですが、家族構成や収入によって寄付額の上限が決められています。

たとえばふるさと納税をする夫の給与収入が400万円で夫婦世帯ならふるさと納税できるのは33,000円までです。もちろん、それ以上のふるさと納税も可能ですが、控除はできません。

ふるさと納税の寄付金控除も確定申告で

寄付金控除は確定申告で行います。ふるさと納税も同様で、寄付をした年の翌年3月15日までに住所地にある税務署に申告します。

なお、確定申告では添付書類としてふるさと納税の自治体による証明書や受領書、払込控などが必要です。

ちなみに、給与所得者のうち確定申告が不要であり、さらにふるさと納税をした自治体が5つ以内であれば確定申告をしなくても各自治体への申請で住民税からの控除が受けられます。

これを「ふるさと納税ワンストップ特例制度」と呼びます。

まとめ

寄付金には控除制度があり、寄付金額によって大幅な税金対策になることがわかりました。とくにふるさと納税では所得税だけでなく住民税からの控除もできるので、かなりメリットの大きい寄付行為といえるでしょう。

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