財布には「紐」や「口」がつきもの
財布の慣用句や諺のなかには「財布の紐や口」が登場するものが少なくありません。たとえば「財布の紐が堅い」とか「財布の口を締める」は、双方とも無駄遣いしないことを意味します。
この財布の“紐”については、具体的なイメージを想像しにくい人もいるかも知れませんね。
かつての財布は、布製の長財布を紐でぐるぐるに巻いて留めておく形状(これには小判が入っていました)をしていたり、巾着袋を紐で縛る形状(こちらには小銭が入っていました)をしていました。
いずれにしても、お金を使うには紐をゆるめる必要があったわけです。この紐は「財布の紐を握る」という慣用句でも登場しますね。
もちろん「家計の実権を握る」ことを意味します。いっぽうでケチな様子のことを「財布の紐が長い」ともいいます。
これはおそらく、布製の長財布に巻いてある紐をほどくのに、時間がかかる様子を表しているのでしょう。
また「財布の紐は首(頸)にかけるよりは心に掛けよ」という諺もあります。
これは、お金を盗まれないように用心するより、無駄使いしないように気をつけなさいという意味です。
財布には「奥」や「尻」もある
よく「有り金をはたく」という言い方をしますね。それとよく似た慣用句に「財布をはたく」とか「財布の底をはたく」という表現もあります。
いずれも財布を逆さにして、なかにあるお金を全部出してしまう様子を表しています。転じて、持ち合わせのお金を全部使ってしまう様子も表すことができます。
この「財布の底」に似た表現には「財布尻」(さいふじり)というものもあります。
これは、物理的な意味での「財布の底」も意味するのですが、それだけなく「財布の中に残った金銭」のことも表します。
この財布尻が登場する慣用句もあり「財布尻を握る」「財布の尻を押さえる」といえば「家計の実権を握る」ことを意味します。
つまりこれらは「財布の紐を握る」と一緒の意味の慣用句ということになります。
「財布」を「何か」を絡める表現
さて財布が登場する諺の中には、「財布」と「何か別のもの」を絡める表現もいくつかあります。
例えば「口と財布は締めるが得」もそのひとつ。これは「お喋りも無駄遣いも、どちらも謹んだ方が得策」ということを述べた諺です。
この場合「財布」と対比されているのは「口」ですね。また「財布の底と心の底は人に見せるな」という諺もあります。
これは「世渡りのためには、自身の経済状況と本心は明かさないほうがよい」と述べている諺となります。
この場合は「財布の底」と「本心」が対比されているわけです。そしてもうひとつ。「秋財布に春袋」という諺もあります。
これは「財布は秋に縫(ぬ)わず、春に縫え」という意味。秋は「空き」(あき)に通じるので、秋に縫った財布は縁起は悪く、春は「張る」(はる)に通じるので、春に縫った袋(財布)は縁起がよいと言っているわけです。
この場合は「財布」と「袋(その実態は財布)」が対比されていることになります。
実は現代でも「財布を買い換えるならば、どの季節にすれば縁起がいい?運気がアップする?」といった話題がのぼることがあります。
そのような言説の背景には、ここで紹介した諺の影響もあるのかもしれません。
ということで今回は、財布が登場する諺や慣用句について紹介してみました。
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