私たち消費者は、商品を購入したりサービスの提供を受けたりして生活をしています。あまり意識をしていないかもしれませんが、法律上、これは事業者との立派な「契約」として成り立ちます。 世の中のすべての事業者が良いとは言えず、中には悪い事業者も存在し、消費者が無知であるのをいいことに、消費者にとって不利な条件で商品やサービスの購入を促すことがあります。 そこで今回は、賢い消費者になるための知識をクイズ形式でお伝えいたします。あなたは何問正解できますか?

賢い消費者になるためのクイズ

次の契約および条項を「取り消せる」「無効にできる」「取り消しも無効もできない」のいずれかに分類してみましょう。

Q1.「この機械を付ければ電気代が安くなる」と勧誘し、実際にはそのような効果のない機械を販売。

答え:重要事項について事実と異なることを告げたとして「不実告知(4条1項1号)」に該当するため、「契約を取り消す」ことができます。

他にも、事実に反して「溝が大きくすり減っていて、このまま走ると危ないのでタイヤ交換が必要」と告げ、新しいタイヤを販売した場合なども該当します。

 

Q2.日常的に着物を着用することがない消費者に対して、事業者がそのことを知りながら、その消費者が店舗に訪れた際に勧誘し、着物を何十着も販売。

答え:「過量契約(4条4項)」により「契約を取り消す」ことができます。これは、消費者にとって、通常の分量等を著しく超えている場合に適用されます。

アイドルとの握手会への応募券が封入されたCDやDVDを大量購入した場合は、事業者から勧誘を受けたわけではないので適用されません。

 

Q3.将来値上がりすることが確実ではない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売。

答え:将来における変動が不確実な事項について確実であると告げた場合に適用される「断定的判断の提供(4条1項2号)」に該当し、「契約を取り消す」ことができます。

「値上がりする”かもしれない”」と表現していた場合には、営業マンの単なる予想とみなされるため該当しません。

 

Q4.眺望・日照を阻害する隣接マンションの建設計画があることを知りながら、そのことを説明せずに「眺望・日照良好」と説明してマンションを販売。

答え:消費者の利益となる旨を告げながら重要事項について不利益となる事実を故意に告げなかった場合に適用される「不利益事実の不告知(4条2項)」に該当するため、「契約を取り消す」ことができます。

 

Q5.消費者の自宅等において、消費者が何度も帰ってほしい旨を告げているのに勧誘を続けて販売。

答え:「不退去(4条3項1号)」に該当し、「契約を取り消す」ことができます。これは、消費者と事業者との間の交渉力の格差を考慮したルールです。

営業マンが帰ってくれなかったことで消費者が困惑した結果、購入意思を表示した場合に、契約を取り消すことができます。

 

Q6.営業所や販売店等において、消費者が何度も帰りたい旨を告げているのに勧誘を続けて販売。

答え:「退去妨害(4条3項2号)」に該当し、Q5同様に「契約を取り消す」ことができます。

 

Q7.契約書に「当社のソフトウェアの故障、誤作動により生じた障害については、当社は免責されるものとします」と書かれていた。

答え:損害賠償責任の全部を免除する事項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項は「事業者の損害賠償責任を免除する条項(8条)」として、「無効」とされます。

他にも「当スポーツジムは、会員の施設利用に際し生じた傷害、盗難等の人的・物的ないかなる事故についても一切責任を負いません」とする条項などが該当します。

 

Q8.契約書に「販売した商品については、いかなる理由があっても、ご契約後のキャンセル・返品はできません」と書かれていた。

答え:事業者の債務不履行等の場合であっても、消費者の解除権を放棄させる条項は「消費者の解除権を放棄させる条項(8条の2)」に該当し、「無効」となります。

 

Q9.契約書に「家賃の支払期限を過ぎた場合には1ヶ月の料金に対し年30%の遅延損害金を支払わなければならない」と書かれていた。

答え:契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項は「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等(9条)」に該当し、「無効」にできます。

他にも入学を辞退するにも関わらず「いったん納付された学生納付金(入学金および授業料等)は、いかなる事情があっても返金しません」とする条項なども該当します。

 

Q10.掃除機を購入し開梱して中身を確認したところ、注文していない健康食品が同梱されおり、「消費者が健康食品を継続購入しない旨の電話をしない限り、健康食品を継続的に購入する意思があるとみなす」と書かれていた。

答え:「消費者の利益を一方的に害する条項(10条)」に該当し、この条項は「無効」となります。この10条にするためには2つの要件が必要になります。

1つ目は、消費者の権利を制限または義務を加重していること。2つ目は、信義誠実の原則に反し消費者の利益を一方的に害していること。平成28年の改正にて、1つ目の要件が追加されました。

まとめ

今回紹介したように、私たち消費者は不利な条件等を押し付けられた場合に、それらの契約を取り消し、または条項を無効にすることが可能です。

もし、身の回りでそのようなことが起こった場合は、地方自治体の消費生活相談窓口へ相談してみましょう。

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FPおふぃすプラスめいきっと代表。奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るもトラブルが続き高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。