改正酒税法とは
酒税法とはお酒の製造や販売、税金に関するルールをまとめた法律で、2016年末に改正が発表され、ここ数年でさまざまな改正が施行されています。
この改正酒税法の大きなポイントは、なんといっても「ビール類の税率一本化」です。
「ビール類の税率一本化」とは、現在税率が異なるビールや発泡酒、第3のビールの税率をそろえて、将来的に54.5円の税率に統一しようというもの。
現在のビールの税率は77円、発泡酒は46.99円、第3のビールは28円です(350ミリリットル缶あたりの税率)。
つまり、改正酒税法ではビールの税率のみが大きく引き下げられるのです。これはビール好きにとってたまらない朗報ですよね。
ビールは減税、発泡酒・第3のビールは増税
お酒の税率変更が始まるのは2020年度からで、各業界への影響を考慮して段階的な変更が予定されています。
<ビールの税率 今後の変更予定>
現行の税率:77円
2020年10月1日以降:70円
2023年10月1日以降:63.35円
2026年10月1日以降:54.25円(発泡酒などと合わせて統一)
段階的な経過措置を経て、最終的に税率が統一されるのは2026年10月以降で、ビールは減税、発泡酒と第3のビールは増税になります。
ビールの税率が少なくなれば、当然小売店や飲食店でのビール販売価格の値下がりが予想されます。今より少しでもビールが安くなる可能性に期待がふくらみますね。
税率改正は税収確保のため?今後も酒税法や業界の動向が見逃せない
ビール値下がりの背景で忘れてはいけないのが、発泡酒や第3のビールの増税による値上がりです。
発泡酒や第3のビールは、税率も販売価格も高いビールの代替商品になるよう、メーカーが試行錯誤のうえに作り出した低価格商品です。
人気低迷のビールの活性化を狙って減税するだけでなく、消費者の満足度を追求して改良を重ね、販売数を伸ばしてきた低価格商品の税率を引き上げるのはなぜなのでしょうか。
実は酒税による税収は年々減少傾向にあり、20年以上右肩下がりの状況が続いています。
税収の減少によってこれ以上の財政悪化が進むことをなんとしてでも防ぎたい政府としては、お酒市場の活性化を目指して酒税の税収を回復させることが、この改正にある意図なのではないでしょうか※。
近年の健康志向や若者のお酒離れもあり、税率変更だけでお酒人気が簡単に復活するとは思えませんが、少なくともお酒を飲む人の選択肢は変わることが予想されます。
しかし、消費者のためにさまざまな商品開発を続けてきたメーカー側が、今後何かしらの低価格商品を打ち出してくる可能性もあります。
改正酒税法によってメーカーの販売戦略がどう変わるのか、今後も業界や酒税法の動向に目が離せませんね。
税率だけじゃない!ビールの定義が変わった2018年
改正酒税法による法令変更は税率の一本化だけではありません。
今年2018年には改正酒税法の一部が施行され、ビールの定義が大きく変わりました。
従来、酒税法によるビールの定義は「水や麦芽、ビール酵母などの原材料から作られているお酒で、麦芽比率が67%以上、副原料は麦や米などわずかな品目のみ」でした。
それが、2018年の改正で麦芽比率は50%以上、新たな副原料として果実やハーブなどの香辛料やかつお節などが認められ、ビールを作る要件が大きく緩和されました。
この改正を機に、今までとはまったく違うビールの誕生に期待が高まりますね。
まとめ
ビール人気が再燃したり、さまざまな種類のビールが登場したりして市場が活性化すれば喜ばしいことですが、お酒の飲みすぎには気をつけないといけません。
そもそも、税率が下がるといってもお酒はほかの飲料より値段も身体への負担も高いものです。
飲みすぎると当然家計にも体調にも悪影響があるため、値下がりだからといって飲む量が増えることのないよう、普段から飲む量や飲む日をコントロールしておきましょう。
毎日の仕事や家事、育児などさまざまな疲れを癒してくれるお酒とは、上手に付き合っていきたいものですよね。
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