当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①コロナ新規感染者数」「②オフィス空室率」「③東証REIT」「④出生数、先進国で激減」です。

①コロナ新規感染者数

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が鮮明になってきました。4月17日、1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)が76万6000人超と昨年12月のピーク時の75万人強を超え、過去最多となりました。

その中でもインドでの新規感染者数が世界で最も多く、4月中旬では、1日あたり26万人超でしたが、その後も増加を続け4月下旬には、1日あたり32万人超、5月に入り40万人超となりました。

日本政府は、インドで流行する新型コロナウイルス変異型「インド型」について、警戒を強めています。厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」が4月27日発表した分析結果では、国内では変異型が広がりつつあり、英国型などが関西で8割の水準になっているとのことです。東京で4割程度、愛知で6割程度など、他の地域でも上昇傾向にあり、今後全国的に置き換わると予想しました。

国立感染症研究所によると、4月20日、国内で初めてインド型の感染例が検出されました。その後も空港検疫では20例見つかっています。インド型の特徴としては、免疫から逃れやすく、感染力が増している可能性があります。

今後、ワクチン接種や感染防止対策などを徹底し、ウイルスの封じ込めを急ぐ可能性があります。

②オフィス空室率

東京都心のオフィス空室率の上昇が止まりません。4月8日、三鬼商事が発表した3月の東京都心5区の空室率は5.42%で2月から0.18ポイント上昇しました。空室が多くなった目安とされる5%を2か月連続で上回りました。新型コロナウイルス禍に伴う在宅勤務の広がりで企業のオフィス縮小が続き、空室率の増加や賃料の下落は当面続くと思われます。

都心5区で空室率が最も高いのは港区で7.3%でした。2月に比べ0.42ポイント上昇しました。募集を残したまま竣工した物件や、既存のオフィス解約が影響しました。渋谷区は2月比0.06ポイント低い5.49%でした。渋谷区はコロナ拡大の初期は空室率の上昇が目立ちましたが、足元では解約の動きは鈍化しています。

都心5区の平均月額募集賃料は3.3㎡あたり2万1541円で、2月比0.56%下落しました。空室増加が賃料の下げ圧力の主因ですが、企業のオフィス縮小のあおりで、築年数が経過した物件が市場に出てきた影響もあります。下落は、これで、8か月連続となりました。

オフィス解約の内容が変化していると指摘する声もあります。三幸エステートによると「当初は中小規模オフィスの解約が中心で空室率を上げてきましたが、足元では大企業が一気にオフィスを縮小する動きが目立ってきた」とのことです。

この大企業のオフィス利用を見直す動きが進めば、空室率・賃料ともに下落が続く可能性が高いのではないでしょうか。

③東証REIT

新型コロナウイルス・ショックからの戻りが鈍かったREIT市場に、海外勢を中心に投資マネーが入り始めました。

東証REIT指数は、昨年3月来の高値圏を回復しました。

世界の投資家はREITへの買いの勢いを3月から強めています。東京証券取引所によりますと、3月の海外勢の買越額は810億円と単月としては2年ぶりの大きさとなりました。テレワークの普及の思惑から割安に放置されていたオフィスREITの見直し買いが背景にありますが、それだけではありません。このタイミングでREITを買い始めたのは、今後のインフレ率が上昇することへの警戒感があるからです。新型コロナからの経済再開に加えて各国の政府・中央銀行が大規模な財政出動や金融緩和をしたことで、物価が上向き始めています。米国の3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.6%上昇と、2年7か月ぶりの高い伸びとなりました。

物価が上昇すると、REITの裏付け資産である不動産価格や賃料も上がりやすくなります。このため、REITはインフレ耐性が高い投資対象とされます。物価上昇への懸念が台頭する中、割安感と相まって投資家の注目が集まっています。

需給面で2020年までREIT市場を支えてきた日銀の買いは実質的に消滅しています。日銀がREITを最後に買いを入れたのは3月5日の9億円、それ以降、東証REIT指数は9%上昇しました。日銀の支えが無くなっても上昇基調に転じたことで海外勢の買い意欲の強さが伺えます。

今後のREIT市場は、世界的な物価動向と海外マネーの行方に大きく左右されると思われます。

④出生数、先進国で激減

先進国で人口成長が鈍り始めています。新型コロナウイルスで経済状況や将来への不安が広がったとみられ、コロナ禍の影響が測れる昨年末から多くの国で出生数が10~20%落ち込んでいる。世界でこの流れが定着すれば、持続的な成長の足かせになると思われます。

20年の米国の出生数は360万5201人で前年に比べ4%減少しました。減少は6年連続で1979年以来の低水準となりました。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.64と過去最低を更新してしまいました。晩婚化や若年層の所得低下による出生数の構造的減少にコロナ禍が拍車をかけてしまいました。トランプ前政権での合法移民の流入も抑制したことも響きました。先進国で例外的とみられていた米国の人口成長は曲がり角を迎えつつあります。人口の伸びが小さくなると、通常、高い経済成長が見込みにくくなると言われます。米国で生産年齢人口(15~64歳)が平均で前年比1.45%増であった1960年代前半は、実質GDPの伸び率は平均で年5%でした。近年は、生産年齢人口の増加率が1%を割り込み、成長率も2%前半~1%未満となってしまいました。

既に人口減少が始まっている日本は更に深刻な状態です。日本は1960年代前半、生産年齢人口は平均1.8%増で、実質GDP年度ベース平均で10%もありました。しかし、生産年齢人口は1990年代後半から減少局面に入り、1995年の8700万人をピークに、2030年には7千万人を下回ると予想されています。政府は不妊治療支援や待機児童解消に注力するほか、企業に従業員が70歳まで就業できる機会を確保する努力義務を課し、労働力減少に歯止めをかけようとしています。

人口を如何に増やすかは米国や日本だけの問題ではなく、欧州などを含めた先進国共通の喫緊の課題です。