団体信用生命保険とは、通称「団信」と呼ばれている生命保険です。不動産購入の際、金融機関でローンを組むときに加入します。 マイホームだけでなく不動産投資用物件でも加入できます。団信はローン返済中に契約者が死亡または高度障害になった場合、契約者に代わり生命保険会社がローン残高に相当する費用を補填してくれます。 ローン返済は何十年にも及ぶこともありますし、万が一のときに保障が受けられるのがメリットです。団信の内容についてさらに詳しく見ていきましょう。

そもそも団体信用生命保険とは?

不動産は高額な買い物になる傾向があるため、すべて自己資金だけで購入できる人は少ないでしょう。そのため、ほとんどの人は金融機関でローンを組みますが、団体信用生命保険はローン借入の条件として加入が必要なケースが多いです。ここでは団信の役割や仕組みについて紹介します。

不動産購入時にローンを組む人が加入できる!

団信は生命保険ですが、誰でも加入できる保険ではありません。不動産購入時にローンを組む契約者のみが加入できる保険です。

なぜローンを組むときに生命保険に加入するのかというと、契約者がローンの支払いができない状態になったときに契約者に多額の債務が残ってしまいます。

支払いが滞ると物件が差し押さえられることがあり、残された家族が住む家を失う可能性もあります。しかも残債が高額であればあるほど返済が難しくなるでしょう。

団信に加入することで契約者がローンを返済できなくなっても、保障適用範囲であれば保険金で残債を支払うことを可能にします。

金融機関にとって団信のメリットは?

ローン契約者が仮に死亡したり、高度障害状態になったりした場合、融資元の金融機関は保険金を受け取ることができます。

この保険金の金額はローンの残債と同額になる仕組みになっています。そのため、金融機関はローン残債を保険金で補填することにより、残債をすべて回収できることがメリットです。

契約者にとって団信のメリットは?

ローン契約者にとってのメリットは、団信の保険金の支払いで残債が補填されるためローンの残債がゼロになることです。

そのため、月々の返済をしなくても購入した不動産をそのまま所有し続けることができます。万が一、ローン契約者が死亡したとしても、残された家族に残債なしの不動産を残すことができるのです。

金融機関と契約者双方のリスクを軽減できる!

団信に加入すると、融資元の金融機関は資金回収リスクを回避できます。契約者にとっても、残債がない不動産が残ることで家族は賃貸物件として家賃収入を得たり、売却してまとまった資金を得られたりすることができるのです。

いろいろな選択肢が存在することで、将来の不安が軽減されます。団信は金融機関とローン契約者双方のリスクを大きく軽減できる保険です。

3大疾病保障などのオプション付きのケースも

団信が適用されるのは、ローン契約者の死亡、高度障害のときだけではありません。さまざまなオプションがつけられる団信も増えてきています。

手厚いオプションでさらに安心!

ローン契約者は働き盛りの世代であることが多いでしょう。時には何十年にもわたるローン返済が難しくなるような病気になることがあります。

仕事を続けることが難しくなったときに、団信のオプションが大いに役に立つこともあります。加入する前にしっかり検討しておくことが大切です。

3大疾病保障付き団信とは?

従来の死亡や高度障害に加え、3大疾病といわれる「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」と診断された場合には保障が受けられる団信です。

7大疾病保障付き団信とは?

健康に少し不安があるようであれば、さらに手厚い保障が受けられる団信のオプションもあります。3大疾病保障付き団信に「高血圧性疾患」「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」のオプションを追加して7大疾病に対応が可能な団信があります。

8大疾病保障付き団信はさらに安心!

できるだけ多くの保障がよいと考えるのであれば、7大疾病保障付き団信の保証内容に「慢性膵炎」のオプションを追加して8大疾病保障付き団信を検討してみてもよいでしょう。

オプションが増えるとその分だけ保険料は上がる!

団信にはさまざまなオプションが用意されており、保障対象の病気の種類は異なります。安心をお金で買うのもひとつの方法ですが、保障の適用範囲が広くなればなるほど、その分だけ保険料は上がります。

すでに加入しているほかの生命保険と重複していないか、しっかり確認してオプション加入を検討しましょう。

団体信用生命保険で考えられるリスク

団信に加入することは、メリットも多いです。しかし、団信が適用されないといったリスクも存在します。団信に加入したからすべて安心ということではありませんので、注意が必要です。

団信の保障が適用されないことも!

交通事故に遭ってしまったり、スポーツや仕事中にケガをしてしまったりすることもあります。

入院が必要になり長期間働けなくなっても、団信の保障の適用外であればローンは引き続き返済していかなければなりません。このようなリスクに備えて、何らかの方法を考えておく必要があるでしょう。

保障対象だと思っていたのに!

3大疾病保障付き団信に加入していれば、万が一がんになっても安心と考えるでしょう。

しかし、がんには良性と悪性があり、良性の場合には保障対象にはなりません。良性であっても手術で腫瘍を取り除くこともあるため、入院で医療費がかかったり仕事に影響が出たりする可能性もあります。

それでもローンの返済は免除されないので注意しましょう。

告知義務違反

過去に病歴があったにもかかわらず、団信加入時の告知書に病歴を記載しなかったことが理由で保険金が受け取れないという可能性もあります。

告知義務違反にならないように気をつけましょう。もし、保険会社に支払いを拒否されると、仮にローン契約者が死亡したとしてもローン返済は残された家族が返済していかなければなりません。

団信でまかなえないリスクに備えるために!

ケガや病気などで長期的に働けない場合などを想定し、民間の保険や公的保障もあわせて検討する必要があるでしょう。

たとえば、傷病手当金は健康保険から支払われる給付金です。業務中に発生した傷病やケガと認定されると給料の約3分の2の給付金が最長で1年半にわたり支給されます。

団信の免責事項を理解しよう!

団信はローン契約者がケガや病気などで長期就業不能になった際には適用されないので注意しましょう。

オプションをつけたとしても、団信の適用範囲は限定的であることは肝に銘じておく必要があります。保障内容だけでなく、免責事項についても目を通して不明な点がないようにしたいものです。

団信は加入時に保障内容の確認を!

高額で長期間の住宅ローン、不動産投資ローンを組むのは不安に感じることもあるでしょう。しかし、団信はローン契約者の万が一のときを手厚くサポートしてくれるので安心です。

また、さまざまなオプションがついているのでリスクを理解し、しっかりと比較検討をして納得したうえで加入することが大切です。

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