相続税がかからなくて済むケースとは?
人が生きていくうえでさまざまな税金がかかりますが、その中の1つに相続税があります。命は限りあるものなので、どんな人でも必ず死期を迎えます。しかし、亡くなった方が保有していた資産(現金、不動産など)はこの世に残ります。そして残された資産を受け取った人に対してかかる税金が相続税です。
しかし、相続税には基礎控除が存在します。遺産が基礎控除以下の場合は、相続税の申告が必要なくなるのです。そのため、人が亡くなって財産を相続する際に必ずしも相続税がかかるわけではないと言えます。
【相続税の基礎控除額】 ※平成27年1月1日から以下の式で計算されます。
3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
ex)法定相続人が被相続人の妻、子ども(1人)だった場合
3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
上記のように遺産の総額から4,200万円を引いた額が課税遺産総額になります。仮に遺産総額が1億円あったとすれば、1億円から4,200万円を引いた5,800万円に対して相続税が課税されることになります。もし遺産総額が基礎控除以下の場合は、基本的には相続税はかかりません。
流れで理解する相続税の仕組み
では具体的に被相続人が亡くなってから相続税を納めるまでの流れについても確認してみましょう。まず被相続人が亡くなったら7日以内に市区町村へ死亡届を提出します。遺言状に関しては自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には速やかに被相続人の住所地の家庭裁判所に提出し、その「検認」を請求します。
次に民法により相続人を決定したら、相続財産を調査し、財産目録を作成。そして、その財産目録にもとづき、そのまま資産も負債も相続する「単純承認」、資産の範囲内で負債を支払い資産が残れば相続する「限定承認」、そして相続のすべてを放棄する「相続放棄」の中から相続方法を3ヶ月以内に選択します。
遺産を相続すると決めた相続人間で遺産分割協議を行い、分割方法が決まればそれぞれの手続きを行ったうえで相続税の申告を行い、納付します。以上をもって相続税納付の一連の流れとなるのです。
相続税は貧富の差を埋めるための税金
相続税は亡くなった人の財産を受け取ったときにかかる税金ですが、相続に税金がかかることに不満を覚える方も少なくないようです。実際、海外では相続税がない、もしくは廃止の予定がある国も少なくありません。
ただ、税金がかからないとなると、多くの富を有する家庭ばかりが裕福であり続ける可能性があることもまた事実です。日本は基本的に自らが働かずして手に入る所得には税金をかけるといった考えがあり、相続税を課すことによって、一部の人にお金が集中することを防ぐ役割を果たしています。そういった意味で相続税は貧富の差を埋め、不公平感をなくすうえで重要な税金なのです。
「人からもらうお金にも何で税金を支払わなければいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、日本という法治国家で暮らす以上、他の方が支払った相続税によって恩恵を受けているということも忘れてはなりません。相続税のルールを学び、必要に応じて税金を納めることもまた国民の義務だと言えるでしょう。