会社員にとって、月に一度の楽しみといえば、やはり給料日ではないでしょうか。でも、その直前に渡される給与明細書をよく見ると、「総支給額」のわりに口座へ振込まれる金額は結構な差があるのに気づきます。この差の金額のことを「控除額」といいますが、控除の中でも目立つのが「○○保険」と書かれた項目です。今回は、保険と名乗りながら給料から引かれるお金の謎についてお伝えいたします。

給料から引かれる保険の種類

給料から引かれる保険は一般的に「社会保険」と呼ばれています。では、社会保険にはどのような種類の保険があるのか確認してみましょう。

健康保険

病院に行って保険証を提示すると70歳未満の人の医療費が3割負担で済むのは、この保険に加入しているからです。

中小企業であれば「協会けんぽ(全国健康保険協会)」、公務員であれば「共済組合」、大企業であれば「組合管掌健康保険」に加入しています。

自身がどれに加入しているかは健康保険の下の方に書かれている「保険者名称」で確認できます。

介護保険

40歳以上で保険料の支払義務が発生します。自身が支援や介護が必要になった際、デイサービス、特別養護老人ホーム、ヘルパー、福祉用具のレンタルなどを1割負担(一定の所得以上の人は2割負担、平成30年8月以降は特に所得の高い人は3割負担予定)で利用するための保険です。

残りの9割(8割、7割)は市区町村や広域連合が介護サービス事業者へ支払ってくれます。ただし、この市区町村等が支払ってくれる金額には上限が設定されており、それを超えた分については全額自己負担になります。

厚生年金

保険という名前はついていませんが、社会保険の1つです。株式会社など法人の事業所、従業員が常時5人以上いる個人の事業所であれば、農林漁業、サービス業など一部の業種を除き、それらの事業所は厚生年金に加入する義務があります。

そのような事業所に勤めていて、且つ、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働時間が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員(正社員)の4分の3以上であれば、厚生年金保険料が給料から差し引かれます。

雇用保険

失業時の失業手当、育児をしなければならない時の育児休業給付、介護をしなければならない時の介護休業給付などを受け取るのに必要な保険で、労働保険の1つです。下記3つの条件を満たすことで加入します。

・31日以上雇用される見込みがある
・契約上、1週間の労働時間が20時間以上ある
・学生ではない(卒業見込み・定時制は除く)

その他

会社によっては、「確定拠出年金」や「生命保険」といった項目が書かれている場合もあります。

給料から引かれる額の計算

健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険などがどのように計算されているのか確認しましょう。

健康保険、介護保険、厚生年金

協会けんぽに加入している人であれば、平成30年4月以降の保険料は全国健康保険協会のWebサイトで確認することが可能です。

一般的には、4・5・6月の給料の平均をもとに計算され、会社と折半して支払うことになります。

たとえば、東京で働いており4・5・6月の給料の平均が20万円の人であれば、「等級17(14)」に該当し、40歳未満は「健康保険料9,900円+厚生年金18,300円=28,200円」を負担しなければなりません。

40歳以上は介護保険料も必要になりますので「健康保険・介護保険11,470円+厚生年金18,300円=29,770円」を負担することになります。

つまり、4・5・6月にたくさん残業をすると、これらの費用負担が大きくなるということです。

雇用保険

雇用保険については厚生労働省から発表されており、平成30年4月から翌年3月までの保険料率は1000分の3(農林水産、清酒製造、建設の事業は1000分の4)です。

雇用保険料は毎月計算されるため、給料が多い月や賞与を受け取った月には負担が大きくなります。

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FPおふぃすプラスめいきっと代表。奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るもトラブルが続き高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。