失敗をおそれて投資をしない人の心理
やっぱり現金が安心・安全という思い込み「貨幣錯覚」
世の中には「現金の保有=安心・安全」と思い込んでいる人がいます。特にタンス預金をしている人やインフレリスクを理解していない人に多いのですが、彼らは名目値だけを見て一喜一憂しているのです。
実質値を見ず、名目値だけで物事を判断することを「貨幣錯覚」といいます。
貨幣錯覚に陥る人は、たとえ物価が2倍以上になっていたとしても、給料が2倍になれば、今まで以上にお金を使ってしまう傾向があります。
目の前にある現金の金額だけを信じ、その価値が目減りしていることに気づかないことがあるので注意しましょう。
投資に興味はあっても一歩踏み出せない人たち
私たちは「1万円を手に入れた時の喜び」よりも「1万円を失った時の悲しみ」の方が大きいと言われており、「何が何でも損をしたくない」という気持ちがあります。
これを行動経済学では「損失回避性」といいます。せっかく利益を得るチャンスが訪れても、その裏に潜む損失を過大評価してしまいます。
損失を過大評価すると、「不作為バイアス」によって「投資をして失敗するよりは、何もしない方がマシ」だと思うようになります。
「何もしない方がマシ」と思ってしまうと、それを裏付ける情報だけを集めてしまいます。
今回の例でいえば「あの有名人も投資に手を出して借金を背負った」などの情報です。このように自分が信じたい情報だけを集めてしまうことを「確証バイアス」といいます。
自分にとって都合のいい情報を振りかざしていると、やがて「今までどおり、コツコツ稼ごう。投資なんてしないぞ」という今までと変わらない行動を選択します。これを「現状維持バイアス」といいます。
投資のキッカケを間違えている人の心理
間違った決定打
それまで特別スゴイと思っていなかった友人が投資で儲けているという話を聞くと、「アイツでも儲けられたなら、自分も出来るんじゃないか?」という気持ちや「アイツも既にはじめているのか!」という焦りに繋がることがあります。
この根拠の無い妙な自信や焦りをキッカケにして投資をはじめるのはやめましょう。
行動経済学には「ナッジ(nudge=肘でそっと突く)」という言葉があります。
これは「強制的ではなく自ら望ましい行動を選択するよう促す仕掛け」という意味で使われます。
本来であれば、レジの前の床に足跡のシールを貼ってお客さんを整列させる時などの仕掛けで使われる言葉です。
しかし、今回の友人のように意図せず投資を促してしまうようなことがあります。
根拠の無い自信で投資をはじめてしまうのは、とてもリスクがありますので注意しましょう。
また、周りと同じ行動をとってしまうことを「ハーディング効果」といいます。2017年の夏以降に仮想通貨に手を出していれば、このハーディング効果が原因かもしれません。
投資は、自分で勉強してから実践することをオススメします。
カモにされないための知識「ハロー効果」
「投資の勉強方法が分からないからプロに相談してみよう」と思う人もいるかもしれませんが、プロって誰でしょう?
もし、銀行や証券会社などの金融機関へ相談に行こうとしているなら、やめておきましょう。私たち一般人が銀行などに行って実際にお話をするのは、その金融機関の「窓口の人」です。
よく「銀行や証券会社の人=資産運用のプロ」と思っている人が多いのですが、これは「ハロー効果(目立った特徴に影響され評価が歪められること)や「権威付け(権威のある個人や組織に対して無条件で妄信すること)と呼ばれるものです。
窓口の人が得意なのは、お金の運用や投資ではなく、その金融機関にある商品の販売です。
日常生活でいえば、CMで綺麗な女優さんを起用している化粧品や歯科医が推奨する歯ブラシ、そして、銀行員や証券マンがオススメする金融商品にお金を使うときは気をつけましょう。
まとめ
今回は投資をはじめる前によく見受けられる失敗を紹介しましたが、共感できるものはありましたか? このような合理的ではない行動は、投資だけでなく日常生活でもたくさん見受けられます。
また、これらを逆手にとったマーケティング手法もたくさん存在します。
行動経済学を学べばそうした策略にはまらない賢い消費者を目指せるかもしれません。