今までお金の勉強をする機会がなかった人が、投資の勉強を始めると、たくさんの専門用語や言い回しなどに遭遇します。 今までに聞いたこともないような難しい用語であれば、真剣にその言葉の意味を調べて正しく理解しようと努めるのですが、今まで何度か耳にしている用語だと「なんとなくこんな意味だろう」と、正しく理解できていないままスルーしてしまうことがあります。 そこで今回は投資の勉強をし始めたばかりの人が勘違いしたままスルーしそうな「リスク」について解説いたします。

「リスク」の定義

「リスク」という表現は、たとえ同じ状況であっても、それが「日常会話で使われる”リスク”」なのか「投資や経済学の会話で使われる”リスク”」なのかで表現が真逆になってしまうことがあります。

日常会話の「リスク」の例

私たちが日常会話で使う「リスク」は、「危ない」とか「損をする」という意味で使われます。

たとえば、0%の確率で値上がりする株式Aは、50%の確率で値上がりする株式Bよりも「リスクが高い」とみなされます。

この場合、株式Aに投資をしても値上がりする確率は0%なので、株価が変わらず「儲からない」もしくは株価が下がり「損をする」という意味で「リスクが高い」と表現することになります。

投資や経済学における「リスク」の例

投資や経済学においての「リスク」とは、価格などの「ブレ幅」や「不確実性」を意味します。

たとえば、0%の確率で値上がりする株式Aは、50%の確率で値上がりする株式Bよりも「リスクが低い」とみなされます。

この場合、株式Aは100%確実に値上がりしないと分かっているため、値上がりするかどうか分からない株式Bよりも「リスクが低い」と表現されます。

長期保有に対する考え方

投資をする上で「長期保有するとリスクが低くなる」と言われることがあります。しかし、日常会話の「リスク」という意味では、長期保有をしてもリスクは低くなりません。

日常会話の「リスク」で考える長期保有

先ほど説明した通り、「リスク=危ない・損をする」と捉えるのであれば、価格変動のある資産の長期保有は「リスクが高くなる」と言えます。

たとえば、どこかの企業の株式を長期保有していた場合、バブルの崩壊やリーマンショックのように市場全体が大暴落する場合もあります。

また、市場全体は落ち着いていたとしてもその企業が大赤字になったり倒産する可能性もあります。

投資をする期間が長くなればなるほど、このような事態に陥る可能性は高くなります。

投資や経済学における「リスク」で考える長期保有

投資や経済学では「リスク=ブレ幅・不確実性」ですので、長期保有をすることでリスクを低くすることができます。

たとえば、どこかの企業の株式を長期保有していた場合、経営不振に陥り大きく下落する年もある反面、業績が好調になり大儲けできる年もあるでしょう。

もし1年だけ保有していれば、運悪く経営不振の年に当たってしまいその企業の株価平均が大きく下落してしまうかもしれませんが、10年・20年と保有し続ければ、その企業の株価平均のブレ幅が少なくなります。

そのため、「長期保有すればリスクが低くなる」と表現されるのです。

まとめ

株式など価格変動のある資産を長期保有することで、ブレ幅は確かに少なくなり「リスク」を低くすることはできますが、倒産する「リスク」があることも否めず、一概に「長期保有=安全」だとは言いがたいところがあります。

もし期待リターンがマイナスの市場に長期的に投資を行えば、いずれ損失は大きくなってしまうでしょう。

しかし、期待リターンがプラスの市場であれば、長期的に投資をすれば配当金や分配金の再投資を行えたり、複利効果が期待できるのも事実です。

投資をしたいのであれば、しっかりとそのリスクを見極め、コントロールすることが大切です。

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FPおふぃすプラスめいきっと代表。奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るもトラブルが続き高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。