先進国のなかで低さが目立つ日本人の金融リテラシー
リテラシーとは英語で「literacy」と書き、適切に理解・分析をして表現をする能力のことです。先進国のなかでも日本人は金融リテラシーが低いと言われていますが、お金儲けに対して悪いイメージを持っていることが理由のひとつとなっています。
金儲けは悪なのか?
生きていくためにはお金が必要なので、多くの人が必死に仕事をして収入を得ています。しかし、日本人は「金儲け」という言葉に悪いイメージを持っている傾向があります。
それは、人を騙したり、悪いことをしたりしなければ大金を稼げないと考えている人が少なからずいるせいでしょう。
いつの時代からなのかはわかりませんが、日本人の心理のなかに「金儲けは悪である」というイメージが潜在的に存在してしまっていることは確かなようです。
日本人は金融リテラシーが低い?
2015年、アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズが「グローバル・ファイナンシャル・リテラシー調査」を行いました。
その結果によると、金融リテラシーのある日本人の割合は43%と低めだったようです。調査に参加した144カ国中38位という結果でしたが、日本が先進国であることをふまえると低いランクと言えます。
日本人は貯金を好む
OECD(経済協力開発機構)によると、日本人は金融資産のうちの半分以上を預貯金・現金で保有しているというデータがあります。
株式や投資信託を運用している割合は15%ほどです。ほかの先進国では、アメリカが約40%、フランスやドイツなどのヨーロッパ諸国も20%~30%台の数値となっています。
日本人が投資にあまり関心を持っておらず、いかに預貯金を信仰しているかがデータにも表れています。こうした事実は、日本人の金融リテラシーの低さを裏付けていると言えるでしょう。
日本人の「投資=悪」の考え方の要因は教育にあり
日本人の金融リテラシーが低いとして、その原因はどこにあるのかを考えてみると、やはり教育があがります。古くからある考え方は、時には新しい時代に適応することの妨げになることがあるようです。
日本の金融教育は遅れている?
諸外国では中学校・高校で金融や投資の授業が行われる国は珍しくありません。ところが、日本では義務教育はもちろん、高等教育でも金融に関する授業は基本的にありません。
大学では教養科目で金融に関する授業が行われますが、必須科目となっていなければ教養としても学ばないことがあります。専攻によっては金融や投資に関していっさい学ばないということも珍しくないのです。
「投資=悪」「貯蓄=美徳」という考え方がある背景には、日本の金融に関する教育が遅れているということがあげられるでしょう。
投資はギャンブルという誤解
学校だけでなく、親から子どもへの教育でも「コツコツと真面目に働くのが一番」と教えているケースが多いのではないでしょうか。
投資は働いて得る労働収入とは異なりますが、ギャンブルでもありません。将来性のある企業などへ投資をしてその企業が成長すれば社会貢献になることもあります。
しかし「投資はギャンブルと同じ」という偏見を持っている人も多いです。1991年から1993年にかけてのバブル崩壊、2006年のリーマンショックなどのときに投資に手を出して大損をした親は、子どもに「投資には絶対に手を出すな」と教えているケースもあります。
少額からでもまずは投資にチャレンジしてみることが大切
先進国だけでなく、諸外国では資産の一部を投資に回している人の割合は多いです。投資は社会貢献をしながらお金を増やすという側面があるので、現金のまま持っていたり、銀行口座に入れてただ眠らせていたりしては、日本人は取り残されてしまうかもしれません。
豊かな老後を送るために投資が必要
超低金利時代に突入している現状では、銀行や信用金庫にお金を預けているだけでは資産はほとんど増加しません。
それどころか、インフレが起きたら資産は目減りしてしまいます。日本人は預貯金が美徳であると考える傾向ですが、それでは相対的に損をしてしまう可能性も高い時代になっているのです。
少子高齢化が進むなかで、年金も絶対に予定額が受け取れるという保証はありません。豊かな老後を送りたいのであれば、投資などにチャレンジして資産を増やす自助努力をしなければならないのです。
政府も投資(資産形成)を推奨している
投資と一口に言ってもさまざまなものがあります。少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)などは比較的低リスクの投資です。
まずはこういった投資やビジネスにチャレンジしてみるのがよいかもしれません。もちろん、最初から多額の資金を投入することはよくありません。
充分に知識や経験が蓄積されていない状態では失敗してしまう可能性も高いからです。
最初は余裕資金内での少額を投入するようにしておけば、経験不足から大きな損失を出してしまうということを防ぐことができます。
日本政府は「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを掲げています。現在、日本人の資産の多くは預貯金という形で銀行に預けられています。
経済の発展や新産業の育成のためには、株式や債券などのリスクマネーの供給を増やすことが大切であると考えているようです。
知識を身につけ、実践を積むことが重要
日本では金融に関する知識を学校で学ばないまま社会人になる人が多いです。
経済学部などを卒業していれば金融や経済についての知識だけは学びますが、やはり知識だけを教えられ、実際に資産を動かして投資をするといった実践までは行わない傾向です。
学生のうちから投資をして大金を手にする人もいますが、それはごく一部の限られた人でしょう。
金融リテラシーを身につけるためには、預貯金をしているだけでは安心できないという現状を知り、一歩踏み込んで投資などにチャレンジしてみることが大切です。
インターネットの普及により、日本にいながら世界中の情報を得られるので、世界的なビジネスにも投資をしやすくなっています。
投資は悪ではなく必要なこと
日本は民主主義の国なので、多数派が勝つという側面があります。
お金持ちの人の割合はそれほど多くはないため、少数派になってしまうことをおそれて、あえてお金持ちになろうと努力をしないという人もいるかもしれません。
しかし、これからはそのようなゆとりは持てない時代になっていく可能性があります。
日本は主要7カ国に数えられる国ですが「もはや先進国ではない」「先進国からの没落は間近」という声もあります。
日本の優位性は薄れてきているので、経済大国だから豊かな生活が保障されているという考え方は捨てなければならなくなっていくでしょう。
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