残業手当の基本
「週40時間、1日8時間」を超えたら25%UP
一週間で40時間、1日で8時間を超えて働けば、「1時間あたりの賃金×25%」が残業手当として1時間あたりの賃金に上乗せされます。
ここでいう40時間や8時間というのは実際に働いている時間を意味します。そのため、休憩時間や遅刻・早退などで働いていなかった時間は含まれません。
また1日の所定労働時間が8時間に満たない人は、8時間以内の残業であれば時給分が残業手当として支給され、8時間を超えると割増分が加算されます。たとえば所定労働時間6時間の人が9時間の労働をした場合、残業手当は3時間分支払われますが、割増になるのは最後の1時間だけということになります。
1ヶ月あたりの残業手当の計算方法
一週間で40時間または1日で8時間を超えて働いた場合の1ヶ月あたりの残業手当を計算するには、次のいずれかの計算式を使います。
①「時給×1.25×残業時間」
②「日給÷1日の所定時間労働×1.25×残業時間」
③「(月給-諸手当)÷(1日の所定労働時間×1ヶ月の勤務日数)×1.25×残業時間」
③の諸手当には、通勤手当、家族手当、住宅手当、賞与などが含まれます。たとえば、月給208,000円(うち、通勤手当2万円、家族手当2万円)、定時が9時から18時まで実働8時間の人が21日間働き、その間に20時間残業した場合は下記のように計算します。
月給208,000円-通勤手当2万円-家族手当2万円=168,000円
1日の所定労働時間8時間×1ヶ月の勤務日数21日=168時間
168,000円÷168時間×1.25×20時間=25,000円
深夜勤務や休日出勤の場合
残業手当を計算する際の基本的な割増率は25%ですが、他のパターンもあるので覚えておきましょう。
こんな時の残業手当はどうなる?
残業手当の計算で端数が出てしまった場合
残業手当を計算しているときに0円未満の端数が生じてしまった場合は、50銭未満であれば切り捨て50銭以上1円未満であれば1円に切り上げて計算を行います。
時間による端数については、1ヶ月間の残業・休日・深夜の労働時間の合計が30分未満の端数があれば切り捨て、30分以上の端数は切り上げて計算できるという規定があります。つまり1ヶ月間の残業時間合計が40時間29分なら40時間とみなして計算しても構わないということです。
ここで注意点が2つあります。
1つ目は、「1ヶ月の合計」の端数処理であって「1日」の端数処理ではないということです。たとえば、1時間15分の残業はあくまで1時間15分であり、これを1時間で処理してはいけません。ただし、就業規則に記載があれば、その限りではありません。
2つ目は、「時間外残業・休日・深夜の労働時間の合計」の端数処理であって、「総労働時間の合計」の端数処理ではないということです。
フレックスタイム制で働いている場合
土日や祝日に休みづらいサービス業や繁忙期がある業界などでは、個々の従業員が自分の勤務時間を好きなように決め、月単位や年単位で定められた勤務時間を満たせばいいフレックスタイム制を導入している企業もあります。
そのような企業では、1日8時間のルールは適用されません。月単位や年単位でみたときに定められた勤務時間内であれば残業手当として加算されません。では、残業手当を請求できないのかというとそんなことはありません。基準は週40時間のルールです。1ヶ月や1年でみたときに一週間の労働時間の「平均」が40時間を超えていないかを確認します。