①新型肺炎、どこまで拡大
原因不明の肺炎患者が中国・武漢市で確認されたのが、2019年12月8日。それ以降、日々、伝えられてきた新型肺炎のニュース。どこまで拡大するのか、現段階では想像もつきません。中国と日本を中心に時系列で経過を振り返ってみます。
中国以外で患者が確認されたのは2020年1月中旬になって。タイ・日本・米国などで、初めて感染が確認されています。
中国では、1月下旬になって、中国・武漢市の交通機関の停止などの措置が取られ、春節の連休が始まりました。李克強首相が武漢に入り、新型肺炎の封じ込めの陣頭指揮を執りましたが、その甲斐もなく加速度がついて、感染者・死亡者が増加していきます。
2月に入り、死者数・感染者数も、2003年に流行したSARSを上回ってしまいます。2月12日現在、中国国内の死者数は1113人、患者数は44653人に達しました。
WHOは、1月下旬に開催した緊急会合で緊急事態宣言は時期尚早と見送りを決めました。その後、WHO・テドロス事務局長は、中国・北京に入り、習国家主席と会談します。
1月末、WHOは、新型肺炎について「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言し2月11日には、新型肺炎を「COVID-19」と命名しました。
日本政府は、1月下旬の閣議で、新型肺炎を「指定感染症」決定します。そして国内で人から人へ感染した日本人患者が確認されます。奈良のツアーバス運転手の方です。
その後、政府が派遣したチャーター機計第4便で、761人が武漢から帰国しました。数名の感染者が、その都度確認されています。2月上旬、日本人男性の死亡が武漢の病院で確認されました。また横浜沖で検疫を受けたクルーズ船では、乗員乗客約3700人のうち、2月12日までに、感染者は、175人という報道がありました。直近では、日本を含め、128国が、中国からの入国を拒否するという事態になっています。
2月12日現在、日本国内感染者数はクルーズ船を含め200人強、中国以外26の国と地域で400人以上の感染者がいると推計されます。まだ、感染のピークを迎えていないと思いますが、早期の終息を祈るのみであります。(死者数・患者数は公表時間で誤差あり)
②株式市場、乱高下
2019年12月に発生した新型肺炎は、株式市場にも影響を及ぼしている。米中貿易交渉が進展したことで、日経平均株価は、2020年1月14日、ほぼ1カ月ぶりに24000円台を回復しました。NY市場では、1月15日、初の29000ドル台に乗せました。ところが、1月27日、急速に拡大する新型肺炎の影響で、NY株式市場は、453ドル安と大幅な下落に見舞われました。日経平均株価も大幅な下落が始まります。1月30日、日経平均株価は401円値下がりし、22977円と23000円の大台を割り込みます。
中国では、春節後の初取引となった2月3日、株式・人民元が急落します。上海株式指数は、1月23日終値比8%安の2746㌽、人民元は、1ドル=7.02元の安値をつけました。
新型肺炎のニュースが大きく取り上げられる中、米国は、今、インフルエンザが大流行。2200万人の感染者、12000人の死者という推計もあります。そんな状況の中、NY市場は、2月4日、大幅上昇し、ナスダック指数は史上最高値を更新し、2月6日、ダウ30種平均も、史上最高値を更新しました。感染症への過度の懸念が薄らいだ為と思われます。
今後も、乱高下は繰り返す可能性はありますが、過去、SARSの流行時も、急落のあと急騰する場面がみられました。恐らく、下値を切り上げつつ長期の上昇トレンドに入るのではないでしょうか。
③英EU離脱、移行期間へ
2020年1月31日、現地時間で午後11時、英国はEUを離脱しました。2016年6月の国民投票から3年半、紆余曲折を経て、EUの前身であるECから47年間にわたる加盟国の地位に幕を下ろしました。年末までは離脱前と同じ環境が保たれる移行期間に入ります。
今後の焦点は、英・EUの将来関係を巡る交渉であります。交渉のポイントは4分野に大別されます。
まずは貿易です。英国はEUとFTAを結びたい意向であります。但し、これまでは不要だった原産地証明や通関手続きが必要になります。
2つ目は金融。EUが英国の金融システムのEUとの同等性を認めなければ、英金融機関がEU顧客にアクセスすることが出来なくなります。
3つ目は漁業。EU各国の漁業権の扱いを盛り込んだ英・EUの漁業協定を7月1日までに締結する予定であります。もし交渉が不調になれば、英海域での周辺国の水産業に混乱をきたすことになります。
最後の4つ目は、規制・ルール。英とEUが規制面で歩調を合わせない場合、医薬品・化学品分野で英・EU双方の当局から販売などの許可が必要となります。
そのほか第三国との交渉もあります。日本・カナダ・トルコなど、EUとEPAを結んでいた約20か国・地域との通商交渉や航空協定・原子力協定の見直し等であります。
移行期間にやるべき課題は山積ですが、何とか、年末までに交渉を決着させて、円滑な 離脱の実現に期待します。
④東京圏一極集中続く
総務省が1月31日発表した2019年の人口移動報告によりますと、東京圏は148783人の転入超過になり、日本人に限れば、24年連続。東京圏への一極集中は進んでおり、反面、名古屋圏・大阪圏は、転出超過となりました。
都道府県別では、転入超過は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・福岡・滋賀・沖縄の8都府県。残る39道府県は転出超過で、最も拡大したのは、広島でした。
政府が策定した地方創生総合戦略では、20年までに東京圏人口の出入りを均衡させるという目標を掲げましたが、達成は難しい状況にあります。例えば、地方の有名大学は学生を集めることはできますが、就職となると東京圏を目指してしまいます。総務省の分析でも「東京圏の企業に就職する為、転入する人が多い」と分析しています。
東京圏の一極集中は、当面の間、続くと思われます。となれば、東京圏、中でも東京 23区は人口減少も他の地域と比べ、タイムラグがあり、また緩やかになると思われます。