当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①新型コロナウイルス・パンデミック」「②コロナショック、金融・原油市場揺さぶる」「③米大統領選、民主党候補指名争い、バイデン氏リード」です。

①新型コロナウイルス・パンデミック

世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長が、3月11日、世界で感染拡大が続く新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的流行)になった」との見解を公表しました。加えて、新型コロナウイルスの拡大と深刻度、対策不足に対する懸念、感染者の隔離、感染経路の分析など、あらゆる手段を講じるように改めて求めました。3月12日現在、世界の新型コロナウイルス感染者数は、12万4101人に達し、うち4566人が死亡しています。

当初、中国以外の感染比率はわずか1%程度でしたが、現在は約30%まで上昇。特にイタリア・イラン・韓国の3か国で感染が急増しています。また、WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は、日本やシンガポールなどは封じ込めに成功しているとして、対策の成果を評価しました。現在、WHOにはインフルエンザ以外でパンデミックを宣言する公式な規定はありません。WHOがパンデミックを表明しても、各国に何かが義務付けられるものではありません。ライアン氏は、パンデミックになる条件として、国から国への感染が制御できない状態に到達してことをあげています。

何とか、このパンデミック状態からの早期脱出に成功することを祈る次第であります。

②コロナショック、金融・原油市場揺さぶる

日本の株式市場の格言で、「二日新甫は荒れる」というものがあります。月の最初の取引日が2日で始まる月は、乱高下するという意味です。この3月、正に現実のものになりました。株式市場は日米を中心に、ダウ平均、日経平均株価が1000ドル、1000円単位で日々、大きく乱高下する波乱の展開になりました。また、有事の円買いも進み、3月9日、3年4か月ぶりに1ドル101円台まで上昇しました。また、原油市場では産油国の減産に協調がなされず、サウジは一転、増産を決めました。ここで供給過剰懸念がでて、同日の米原油先物は一時、1バレル27ドル台と前週末から34%下落しました。1日で14ドルの下落は、2008年のリーマンショック以来の下げ幅となります。

この波乱展開を受けて、「灰色のサイ(グレーリノ)」という言葉が出始めました。「灰色のサイ」とは、発生確率が高いのに普段は見逃されている重大なリスクを指します。

市場が警戒するサイは3頭いると言われています。

1頭目は、景気後退リスクです。過去最長の米景気がいつ止まるのかという警戒感が強い中で今回の株安に直面しました。米国では家計の金融資産の30%を株式・投資信託が占めるため、株価が消費に与える影響が大きくなります。株安で消費が落ちる「逆資産効果」が長引くと、米景気の土台が揺らぐことにつながります。

2頭目は、超低金利が助成してきた企業・国家の債務バブルが破裂するリスクです。緩和政策が続く限り、市場は債務返済が滞ることはないとタカをくくっていました。しかし、原油価格の急落が、認識の甘さを思い知らせることとなります。低格付け債は、エネルギー企業が多く発行しています。これら企業に信用不安が発生したらリーマン危機の再来になるかもしれません。

3頭目は金融緩和の限界です。今回、米国が緊急利下げをしても「利下げでは、コロナによる需要と供給の落ち込みを止めることはできない」と見透かすように株安で反応しました。

現在、市場の混乱は実体経済に大きな打撃となる目前で踏みとどまっています。企業への金融支援や景気対策など、各国政府の対応のスピードが問われる局面です。主要国 の一部は、既に対策を打ち出しています。その効果に期待したいと思います。

③米大統領選、民主党候補指名争い、バイデン氏がリード

2月3日、アイオワ州でスタートした米大統領選・民主党候補指名争いで、序盤戦、苦戦したバイデン前副大統領が、3月3日のスーパーチューズデーで息を吹き返しました。14州中10州で勝利を収め、サンダース氏を逆転しました。また、3月10日の全米6州で行われたミニ・スーパーチューズデーでも、4州を制し、指名争いで優位に立ちました。獲得代議員数は、バイデン氏・823、サンダース氏・663となりました。

次のヤマ場は、3月17日のフロリダ・イリノイ・オハイオ・アリゾナの4州の予備選です。いずれも、2016年の指名争いでは、サンダース氏は、クリントン元国務長官に敗北しています。フロリダ・イリノイは、バイデン氏が優位と言われています。その次は3月24日、ジョージア州で予備選が行われます。ここも、バイデン氏が圧倒的な強みをみせる黒人の有権者が多いことで知られています。民主党候補指名争いは、いったいどこまで続くのか。このままバイデン氏が逃げ切るのか、サンダース氏の逆転があるのか、興味津々であります。