当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①観光客、受け入れ再開」「②出生率、6年連続低下」「③日本の競争力」「④米、0.75%利上げ」です。

①観光客、受け入れ再開

政府は、外国人観光客受け入れ再開の詳細を発表しました。米国や中国など98ヵ国・地域からの観光客を対象に6月10日から受け入れの手続きを開始しました。新型コロナウイルスの感染が落ち着いていて、入国時検査でも陽性率が低い国が対象となります。ワクチン接種の有無にかかわらず、入国時感染検査や待機は不要とします。観光による入国は2020年春以来、およそ2年ぶりになります。

それに先立ち、6月1日から入国時の検査や待機措置の緩和を実施しました。各国・地域をウイルスの流入リスクが低い順に「青、黄、赤」に分類します。「青」に分類した98ヵ国・地域の対処方法は前述の通り。

また、「黄」に分類されたサウジアラビアやウクライナなど99ヵ国・地域はワクチンを3回接種済なら、「青」と同様、検査と待機が不要になります。「赤」に分類されたパキスタンなど4ヵ国は検査・待機ともに継続されます。この緩和措置によって、訪日客の負担を軽減して観光需要を一気に拡大させる狙いがあります。

政府は併せて、入国者数の上限を1日当たり1万人から2万人に引き上げました。とはいっても19年の訪日客が3200万人だったことを踏まえると、まだ強い制限がかかっています。今後は、観光入国再開後の感染状況や観光客のニーズを踏まえ、入国者数のさらなる拡大を検討していきます。


②出生率、6年連続低下

※合計特殊出生率=1人の女性が生涯に産む子どもの数を示します

厚労省が2021年の合計特殊出生率を発表しました。それによると、1.30となり、6年連続で低下しました。出生率は05年の1.26が過去最低で、21年の1.30は前年より0.03ポイント低下し、過去4番目に低い水準です。1.5未満が「超少子化」水準であり、1.3未満はさらに深刻な状態といえます。

出生数は81万1604人と前年比2万9231人減少、6年連続で過去最低を更新しています。厚労省は15~49歳の女性人口の減少と20代の出生率低下を理由に挙げています。

結婚の減少も拍車をかけました。21年は50万1116組と戦後最少でコロナ禍前の19年比で10万組近く減少。婚姻数の増減は出生数に直結します。コロナ下の行動制限の影響で出会いが減少したことが影響したと思われます。

コロナ下で出生数が減少する現象は各国共通ですが、欧米の一部では回復に向かっている国もあります。米国では、21年に約366万人出生し7年ぶりに増加し、出生率も1.66と前年の1.64から上昇しています。フランスも21年の出生率は1.83で、20年の1.82から上昇、ドイツも21年の出生数は増加する見通しです。

前述の増加した国々では手厚い少子化対策が素早い回復を促進したとみられます。例えば、フランスや英国などは不妊治療の費用を全額助成しています。日本でも今年4月から不妊治療への保険適用が始まりましたが、効果は限定的との見方が多いです。また、結婚に至らない理由に経済的な不安定さがあるのも事実です。若年層の正規雇用を増やし、賃金も上昇させ、若い世代が安心してキャリア形成ができる環境づくりが課題と思われます。


③日本の競争力

スイスの有力ビジネススクールIMDが2022年の世界競争力ランキングを発表しました。それによると、デンマークが初めて首位になりました。新型コロナウイルス禍からの経済再開の早さが明暗を分けました。

欧州勢が上位10位のうち6ヵ国を占めました。アジア勢は下落が目立ち、日本は順位を3つ下げ、過去最低の34位になりました。調査対象は63ヵ国・地域。各国政府・世界銀行の統計データと経営者へのアンケートを基に集計したものです。

デンマークは前年の3位から1位に躍進しました。行政のデジタル化の先進国で、生産性や事業効率化などの項目で1位を獲得したことで順位を押し上げました。2位は前年1位のスイスでインフラや政府の効率性が評価されました。また、フィンランドが11位から8位に浮上するなど、コロナからの経済再開のスピードが欧米諸国には追い風に。

アジアでもコロナの影響を抑えた国や地域は順位を上げる傾向がありました。香港が前年から2つ順位を上げ5位に、台湾も7位に上がりました。厳しい政策で感染拡大を抑制し続けたことで、経済パフォーマンスなどが評価されました。

日本は前年から順位を3つ下げ34位、20年と同じ順位で過去最低です。順位を下げた要因としては政府の効率性が挙げられます。また、GDPの2倍を超える政府債務残高も財政の質という面で課題となったようです。

今後は、デジタル庁を司令塔に政府のデジタル化を推進し、債務残高を改善しなければ順位は低迷したままであると考えられます。


④米、0.75%利上げ

※FRB=米連邦準備理事会
※FOMC=米連邦公開市場委員会
※FF=フェデラルファンド

6月15日、FRBはFOMCで通常の3倍となる0.75%の利上げを決定しました。上げ幅は1994年11月以来、27年4ヵ月ぶり。金融緩和の縮小を開始してからもインフレの加速が止まらず、事前に示唆していた利上げペースを上回る強硬策に出ました。

短期金利の指標であるFF金利の誘導目標を1.50~1.75%に引き上げました。同時に発表したFOMC参加者による2022年末時点の政策金利の見通しは3.4%となりました。残り4回の会合で、更に1.75%の引き上げが必要となります。2023年末の見通しが3.8%で、これが今回の利上げの「到達点」となる想定で、2024年末には物価が落ち着き、3.4%に利下げする予想に。

会合後に記者会見をしたパウエル議長は利上げを継続する方針を改めて強調し、次回、7月会合の利上げ幅も「0.5~0.75%になる可能性が高い」と述べました。仮に次回も0.75%の利上げとなれば、9月に0.5%の利上げを実施し、次の11月からは0.25%に戻すなどのシナリオがあり得ます。0.75%の利上げに踏み切った理由については「特にインフレ予測の上昇が顕著だったため、強力なアクションをとることが正当化されると判断した」と説明しました。今回の見通しで示された失業率は24年末時点で4.1%。足元の3%台半ばという歴史的な低水準からは上昇するが、安定した水準を維持できるとの想定です。

また、「経済の軟着陸は可能だ」と強調しつつ、「まだサプライズが待っている可能性がある」と不透明な先行きへの不安もにじませました。いずれにせよ米国のインフレ率の推移を注視していく必要があります。



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