GPIFとは
GPIFとは、厚生労働省所管の独立行政法人。正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」という組織です。
元々金融市場での運用は、GPIFでの前身であった年金福祉事業団1986年から始めたもので、2001年度にGPIFが年金資産の自主運用を開始しました。
2001年度の自主運用開始以降、通期の収益率は2.89%と安定した成果を出しており、安倍政権の方針によりポートフォリオを積極運用に切り替えた2014年以降も順調な収益を確保しています。
参照:年金積立金管理運用独立行政法人webサイト「市場運用開始(平成13年度)からの収益額と収益率の推移」
公的年金は破綻するのか
公的年金というと、支給にまつわる日本年金機構のさまざまなトラブル(最近では、委託した業者のデータ入力ミスにより受給額が過少支給されていたことが話題になりました)や、今後の少子高齢化、人口減少による働き手不足などで将来の支給を危惧する声も多く、良いイメージを抱いている人は少ないと思われます。
「年金なんて、どうせもらえないし」「日本の年金制度は破綻している」「払っても意味がない」などといった声は周囲にあふれていますが、本当にそうなのでしょうか。
もちろん、現在受給しているお年寄り世代と比べると支給額は厳しいものになるでしょう。
しかし、144兆円もある世界最大規模の基金が破綻し、将来まったくもらえなくなるというのはイコール日本経済の破綻というくらい、かなり乱暴な説といえます。
少なくともGPIFの運用に関しては、2008年のリーマンショックや2014年のポートフォリオ変更という大きな変化をも乗り越え、累積では順調に収益を上げ続けています。
こうした側面で見てみると、少しは公的年金に明るい展望が持てるのではないでしょうか。
GPIFのポートフォリオを見てみよう
GPIFの基本方針は、分散投資による長期の安定的な資産形成を行うことを目的としており、そのポートフォリオもweb上で公開されているため誰でも見ることができます。
参照:年金積立金管理運用独立行政法人webサイト「基本ポートフォリオ」
自分たちの年金がどのような資産構成で運用されているのか、またプロの投資家たちが効率よく安定的な資産形成を目指すとどのようなポートフォリオになるのかを見てみましょう。
<GPIFの基本ポートフォリオ>
※2014年に債券中心のポートフォリオから変更。
リスク資産の株式50%、安全資産の債券50%という実にシンプルな構成で、逆にびっくりしてしまいますね。
しかし、これこそプロが何万回も試算して出した比率といわれています。GPIFがリスク資産である国内外の株式比率を多いポートフォリオに変更してからまだ4年です。
現段階ではこのポートフォリオの収益性を評価することはできませんが、今のところ順調に収益率は上がり、昨年2017年10-12月期の収益額についても6兆円超。6四半期連続の黒字ですので、今後の運用にも期待が高まります。
いずれにしても、長期投資は単年度でのマイナスやプラスを見ても意味がありません。通期の累積収益率や累積収益額をみて評価するようにしてください。
まとめ
公的年金だけでなく、自分が預けているお金や積み立てているお金がその先にどのような使われ方をしているかを知っておくのは、とても大切なことです。
たとえばあなたがお金を預けている銀行は、集めたお金をどのように運用しているのでしょうか?
預けたお金はただ金庫で眠っているだけではありません。一般企業への貸付に使われたり、株式へ投資されたり、国債の購入にあてられたりしているのです。
私たちが預けたお金でそれほど資産運用をしておきながら、銀行預金の利子はスズメの涙ほどにもならないのが、この超低金利時代なのです。
だからこそ、投資や資産運用の知識を個人でも身に着け、お金は貯めるだけではなく増やしていかなければいけません。
GPIFのポートフォリオや運用成績を見ながら、長期投資とは何か、資産形成とはどういことかを勉強していきましょう。
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