2018年4月11日、財務省の財政制度等審議会において、将来的に公的年金の支給開始年齢を現行の65歳から68歳に引き上げる旨の資料(※1)が用いられ議論の対象になりました。

具体的には、2035年以降、団塊ジュニア世代が65歳になることを踏まえて、それまでに支給開始年齢を引き上げようという案が出されました。

今回は、iDeCoの基礎知識をはじめ、公的年金の受け取り開始年齢が引き上げ時の対策としてiDeCoを用いた戦略などをお伝えいたします。

iDeCoとは

まずは、iDeCoの概要を確認してみましょう。

iDeCoの概要

iDeCoは、2017年1月に専業主婦(夫)や公務員を含め、20歳以上60歳未満であれば誰でも使えるようになったことで急速に広まった私的年金のうちの1つです。

職業や勤め先等により掛け金の上限額が異なり、その掛け金を元本確保商品(預金・保険)または投資信託で運用し、将来の備える役割があります。

掛け金の上限額

掛け金の上限額は下表のように定められています。

iDeCoの加入方法

iDecoに加入するには、まず運営管理機関と呼ばれる金融機関を選定しなければなりません。現在、約160の金融機関がiDeCoを取り扱っています。

金融機関ごとに商品数や手数料、サービス内容が異なりますので、よく比較検討して、ご自身にあった金融機関および商品を選びましょう。

iDeCoのメリットとデメリット

iDeCoは60歳以降にお金を受け取ることを原則としています。これがiDeCoのメリットでもありデメリットでもあります。

60歳までお金が引き出せないという不自由さがある代わりに、長期間、確実に資産運用することができます。

他にも、iDeCoは掛け金の積み立て時、運用時、受け取り時において税制上の優遇が受けられるトリプルメリットがあります。

iDeCoを用いた老後戦略

公的年金の受け取り開始年齢が引き上げられる可能性が高いということが分かった今、これまで通り65歳で公的年金を受け取れるというシミュレーションをしていては危険です。

iDeCoを用いた対策について考えてみましょう。

公的年金を65歳受け取り予定にするデメリット

公的年金を65歳で受け取れると予定していたにも関わらず、原則68歳から受け取り開始になってしまうと3年間の無収入期間ができてしまう可能性があります。

公的年金を早めに受給する「繰り上げ請求」をすることも可能ですが、この申請をすると年金額が減額されてしまいます。

現行の制度では、3年間前倒しで繰り上げ請求をすると、本来受け取れる年金額から18%減額されてしまいます。

詳細はこちらの記事をご確認ください。

老後における公的年金の受給金額の計算方法

iDeCoを戦略的に使うには

年金の受け取りが68歳に引き上げられたと仮定して、このiDeCoを戦略的に使うことで、繰り上げ請求をしなくてもよくなる可能性があります。

まずは、運用利回り3%と5%のシミュレーションを確認してみましょう。

<運用利回り3%の場合>

<運用利回りが5%の場合>

毎月の掛け金と運用年数、そして運用利回りに応じて、上記の金額が受け取れます。

たとえば、30年間、運用利回り5%で毎月20,000円ずつ拠出していたのであれば、60歳時点でおよそ1,664.5万円の資産があることになります。

仮に60歳で退職し、その後、公的年金を受け取れるようになるまでの8年間をiDeCoだけで過ごしたとしても、単純計算すれば1年あたり約208万円(1ヶ月あたり約17万円)の収入になります。

60歳であれば、子どもの学費や住宅ローン等の支出から解放されている頃だと思いますので、ギリギリではありますが、なんとか生活していける水準ではないでしょうか。

もし65歳まで働けるのであれば、65歳以降、5年間かけて毎年約333万円ずつiDeCoの資産を取り崩し、公的年金の受け取り開始年齢を68歳から70歳に遅らせる「繰り下げ申請」も可能です。

現行の制度では、2年の繰り下げ申請をすると本来の公的年金の金額よりも16.8%上乗せした年金額が一生涯受け取れます。

※1 財務省 社会保障について

ライタープロフィール

鍛治田祐子 (かじたゆうこ)
鍛治田祐子 (かじたゆうこ)
FPおふぃすプラスめいきっと代表。奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るもトラブルが続き高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。