コミュニケーション能力を効果的に伸ばす方法
コミュニケーションとは、「人と人が意思疎通をすること」です。双方向で考えを伝え合い、理解をし合うことから、「キャッチボールをすること」にたとえられます。
相手と息を合わせてキャッチボールをできるようにするためには、まず前提として、相手から自分を信頼をしてもらうことが必要不可欠になります。
日常的にコミュニケーションという言葉自体がよく使われていますが、この言葉の本来の意味を理解しておくことが大切です。
コミュニケーションとは
コミュニケーションは、『意思・感情・考え』を言葉使い・声のトーンや、身振りや手振りなどのジェスチャー、顔の表情によってお互いに伝え合います。
ビジネスにおいてコミュニケーション能力を活用し、ビジネスを円滑に進めて成果を最大限に上げていくために、大切である信頼関係を築くためのスキルをお伝えしていきます。
環境・場面・目的に応じたコミュニケーションスキル
コミュニケーションは、相当に奥深いものです。そのため、この能力を伸ばしていくためには、実に様々なスキルがあります。
コミュニケーション能力に磨きをかけ、これまで以上の仕事の成果を出していくためには、ポイントをいくつかおさえておく必要があります。
ヒアリング能力、説得力、交渉力、マネジメント能力などのその時々の環境・場面・目的に応じてコミュニケーションスキルを活用すると大変効果的です。
ビジネスを円滑に進めるための武器として、効果的にコミュニケーション能力を活用するには、コミュニケーションのツボとコツをしっかり押えておく必要があります。
このツボとコツを外してしまうと、どれだけ努力をしても間違った方向に行ってしまい、かえって逆効果になってしまうので、ビジネスで成果を上げることができません。
では、どうしたら、コミュニケーション能力を磨けるのかを考えていきます。
コミュニケーションにおける2つの能力
コミュニケーションには、大きく分けると、以下の2つの能力があります。
1.「伝える(話す)能力」
①言語(言葉)によるコミュニケーション
自分がどのように情報を伝えたかでなく、相手にどのように伝わったのかの視点を持つことが必要です。
自分が話をしながらも、伝える相手の立場になって話すようにします。
客観的に自分の言葉をとらえるようにするために、もう一人の自分が聞く側の立場になって、どのような感じを受けるかを考えて話すようにしましょう。
このように、もう一人の自分が外からの目をもって客観的に自分をとらえることは、それほど簡単なことではありません。
そのために、自分の日頃からの発言、プレゼンテーションが他の人にどのようにとらえられているのか、チェックしてもらうためにも、プレゼンテーションのシミュレーションを繰り返し練習することが効果を生み出します。
このように訓練をすることで、日常的に自分の発している言葉が相手に『どんな風に受けとられているのか』、自分の話していることを第三者の視点でとらえることができるようになります。
②非言語によるコミュニケーション
言語(言葉)以外のコミュニケーションのことをいいます。
声のトーン、身振りや手振り(ジェスチャー)や顔の表情、目線、笑顔、座り方、姿勢等もコミュニケーションの中の大切な要素です。
言語によるコミュニケーションと非言語によるコミュニケーションでは、非言語によるコミュニケーションの方が相手に与える印象が強く残ります。
ですが、多くの人は「非言語によるコミュニケーション」の方にそれほど意識を向けていない傾向があります。
心理学者のアルバート・メラビアンという人が初対面の人に会った時に五感のうち、どこからの情報を優先して受け止めて、話し相手から受ける印象を判断するかのを実験しました。
その結果、視覚からの情報(表情やしぐさ)が55%、聴覚(話し方、声のトーン、話す時の癖など)からの情報が38%、そして言語(話の内容)からの情報はわずか7%ということでした。
つまり、非言語によるコミュニケーションは97%と圧倒的に優先して伝わったという結果でした。
しかも、最初の3秒でほぼその人の印象が決まってしまうということです。
引用:メラビアンの法則
例えば、目の前で、悲しい表情でうつむいた人が(視覚)、暗い口調で(話し方)、毎日が楽しい(話の内容)と言った場合に、聴き手は目の前の人は「悲しい」のだと判断する傾向が高く、時に言葉よりも大きなメッセージとなって相手に届きます。
2.「受け取る(聴く)能力」
ビジネスでは、「伝える(話す)能力」が重視されがちですが、実は伝える能力と同じか、それ以上に「受け取る(聴く)能力」が大切なのです。
ビジネスで相手と円滑にコミュニケーションをとるようにするためには、第一に相手が「安心して話すための雰囲気作り」をすることが重要です。
これをせずに話し始めると、話にすれ違いが起きたり、一方向からだけのコミュニケーションになってしまったりと間違った方向にいってしまうでしょう。
どちらかと言えば、相手の方は自分が聞く立場でいるよりも話す立場で話を聞いてもらうことの方が、皆さんに対して信頼感を抱きます。
人に自分の話を聞いてもらうことで、相手が自分を尊重してくれている、興味をもってくれていると感じて相手に好感を抱きます。
そのため、相手の話をしっかり聞いてあげた後で、自分が伝えたい情報を話したり、交渉をすると円滑に進みやすくなります。
3.質問する能力
相手の話している内容に対し、効果的な質問をすることにより、こちらが相手の話に興味を持っていることが伝わり、そしてさらに、相手の話す内容の中で不明瞭になっていることをなくすことができ、相手と自分の間にある思考のギャップを埋めることができます。
質問を的確にすることにより、相手の話の中で不明瞭なことをはっきりさせ、間違って理解をすることが避けられます。
そして自分が相手に「傾聴」していることを伝えることもできます。つまり相手の話をしっかり聞いていますよという、アピールにもなります。
信頼関係を築くために必要なスキル
①ムードづくりに効果的なスキル「ペーシング」
自分の話を聞いてもらうためには、第一に相手が自分を信頼してくれるようにふるまい、こちら側の話を安心して聞いてくれるような雰囲気(ムード)を作っていくことが重要です。
信頼が構築されていない段階で、いくら良い話をしようとしても、それでは「のれんに腕押し」になってしまいます。
無理に相手に商談を進めようとしたり、自分から情報を伝えようとした結果、不信感を持たれたり、誤解される等のコミュニケーションエラーが生じます。
そのため、説得や交渉をする前の段階で、必ず信頼関係を構築することが重要なポイントです。
長年成果を上げ続けているセールスマンの方は、本題のプレゼンテーションに入る前の段階で、じっくり時間をかけて信頼関係を築きます。
しっかり相手に信頼をされてから、プレゼンテーションに入ります。焦って、ビジネスの話を進めるのではなく、しっかり信頼関係を築くことが重要なのです。
では、次に信頼感を構築するためにどのようなスキルが必要になるのでしょうか?
ビジネスで最大の成果を上げるために、できるだけ早い段階のうちに信頼関係を構築することが必要です。
そのためには様々な技法があります。
ビジネス心理学の中で、NLPというものがあります。NLPとは、神経言語プログラミングのことをいいます。
NLPは「脳の取り扱い説明書」と言われており、最近では最も効果が上がりやすいコミュニケーションスキルとして、ビジネスでも多く活用されています。
能力開発の会社でNLPセミナーを開催していて、多くの人が参加して成果を出しています。
そのNLPの手法の中に「ペーシング」というスキルがあり、大変多く活用され、効果を上げています。
「ペーシング」とは相手の声のトーンや、話す速度、声の大きさ、リズム、身体の動き等のぺースに合わせるようにするスキルのことです。
相手が早口で話す人であれば、自分も速く話し、相手がゆっくりのテンポで話す人であれば、自分もゆっくり落ち着いて話すようにします。
このように相手のペースに合わせることで、相手はこちらに違和感を感じないため、親近感を感じ、信頼感を抱いてくれやすくなります。
相手との信頼関係が築けると、こちらの意見が伝わりやすくなり、ビジネスの交渉などがスムーズに進みやすくなり、その結果として、成果も上がります。
②優秀な営業マンは必ずやっている「傾聴」
営業の仕事において、信頼を構築するために最も重要なスキルは、「傾聴」です。
「傾聴」のスキルとして、「言い換えのオウム返し」があります。これは、相手の行ったことを少し言葉を変えたり、要約して聞き返すスキルです。
先ほども述べましたが、自分の方から商談や交渉プレゼンテーション等のビジネスの話をするよりも、先に相手の話にしっかりと耳を傾けることが大事です。
話の途中で一切、余計な口を挟まずに相手の考えをきちんと理解できるようにしっかりと話を聞きます。
相手の話をしっかりと聞くことによって、相手はあなたが自分の話を貴重な話ととらえてくれ、話に熱心に耳を傾けているというようにとらえますので、あなたに対して信頼感を抱いてくれます。
相手のことを尊重しているということを行動で伝えるためにもまずは「傾聴」するようにしてください。
話を聞いてくれた相手には、無意識のうちに信頼感を抱きやすくなります。そうしてから、自分の方の話を切り出した方が確実に相手が話をしっかりと聞いてくれやすくなります。
良いビジネスコミュニケーションをとるために必要な考え方
WIN-WIN である関係―相手が勝って自分も勝つこと
ビジネスにおいても日常においても、コミュニケーションにとって大切なことは、互いに意思疎通をすることで、お互いにとって良い状態を作り出すことが最も大切です。
前述した技法、スキルによって、コミュニケーションに効果を出すことはある程度まではできます。
さらに、本当にお互いの信頼関係を築くために、自分から歩み寄って相手を尊重し、お互いに利益を得られるようなコミュニケーションを目指すことが大切です。
このような、お互いが勝つ関係をWIN-WINの関係といいます。
長期的にみると、お互いがWIN-WINの関係でいることがビジネスを円滑にしていくために最良の方法です。