社内価値だけでは探れない市場価値
企業が採用を行う際に、採用担当者は人材の採否の判断基準として市場価値を見定めています。
特にすでに社会人としてのキャリアがある人材である中途の採用においては、社会、業界、市場においてどれくらいの価値のある人材なのかを的確に判断することが不可欠となるでしょう。
転職では転職者が希望する報酬と企業から提示される給与額にギャップがあることも少なくありませんが、そのギャップこそが人材の市場価値と自身が働いていた会社での社内価値の差であると言えます。
社内価値とは、勤務している会社における人材の価値基準です。勤続年数や業績などを他の社員と比較することで評価されます。
しかし、人材の市場価値は業務に関する専門性や普遍的なビジネススキルをどのくらい身につけているかという絶対評価によって判断されます。
前職で役職に就いていた事実があっても、客観的な市場価値が認められなければ、その実績は何のアピールにもならないこともあるのです。
転職先でも前職の年収をキープしたいと考えるなら、商材の売れ行きや勤続年数などによらない、自身の確かな市場価値をアピールすることが必要になります。
市場価値が高い人材だと評価してもらうには、転職する業種や職種に関する確かな専門性や、どの業界でも仕事の肝になるコミュニケーション能力、ストレス耐性、人を育てる力などのスキルをまずは採用担当者に認めてもらわなければならないのです。
市場価値を勘違いする人が多いのが現実
前職での経験は年収や営業成績などの数字ではなく、その数字を出すための努力や、活かした能力の重要性を相手に理解してもらえて初めて価値があるとみなされます。
それは企業の規模も同様で、大企業経験者なら誰もが中小企業でリーダーシップを発揮できるかというと、そうではありません。
反対に本人に圧倒的な実力があれば小さな会社から大企業に転職しても問題ないでしょう。会社のブランド力だけで自身の市場価値が高いと考えると、転職の際に痛い目に遭うかもしれません。
また、専門性を高めるために資格試験を受けることは知識を身につける意味では大切かもしれませんが、その資格を持っているからといって転職が有利になるかというと決してそうとは限りません。
資格取得やセミナー受講で、業務に関わる専門性を高めるだけではコモディティ化した志望者の中で埋もれてしまいます。
既存の人材ではカバーできないような、たとえば語学や法務、業務改善など専門外の知識も身につけている人材のほうが市場価値は高くなるのです。
AIの発展などもあり、正確性やスピードが重視される実務はどんどん機械化されていきます、機械化に至らずともアウトソーシングすることも増えるでしょう。
会社の構成員として必要とされるのは、専門性に特化した人材よりも、自社と他の組織のリソースを動かして新たな価値を生み出せるコミュニケーション力を持った人材です。
その場面では今までの社会人経験で構築した人脈も有効に利用できるため、人とのつながりは引き続き大切にしましょう。
評価が高いマーケットのニーズに合う人材
人材としての市場価値を高めるためには個人の希少性を高めることが大切です。
これからは企画力や営業力などの基本スキルにプラスして、自分にしかできない専門分野を持っている人がますます求められていくでしょう。
転職を成功させるには、5年後10年後はこうなっていたいというビジョンを持ったうえで、「この領域なら誰にも負けない」という得意分野を磨くことが大切です。
企業にとって“代えの効かない人材”になるために自分自身の強みを見つけ、個性を磨きましょう。
自身にどんなスキルがあるかわからない時は、周囲の人に評価してもらうことも手段の1つです。
社内比較における、他の社員より○○であるという長所は社外で通用しないので、1年前と比べてここが変わったなど自身の時系列にそって評価してもらいましょう。
また、自分が短所だと思っていることにも長所は隠れています。せっかちはスピード感、臆病は慎重で丁寧というように言葉を置き換えれば得意分野が必ず見つかるはずです。
今の会社でどんなに評価が高かったとしても、自分にどんなに自信があったとしても、マーケットのニーズに合わなければ市場価値が高いとは言えません。
定量的な数字で示せる実績があり、業界問わず活躍できるバイタリティがある希少価値が高い人こそが市場価値が高い人材なのです。
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