世界の経済の流れを大きく変えようとしているのが仮想通貨です。そして仮想通貨を支えるテクノロジーであり、様々な分野に応用が可能だとして、注目を浴びているのがブロックチェーンになります。 今、世界のトップクラスの大学の4割以上が仮想通貨やブロックチェーン技術に関する講座を開設していることが、米大手仮想通貨取引所コインベースの調査で分かりました。

42%の大学が講座開設

この調査は、米誌「USニューズ・アンド・ワールド・リポート」が番付けした世界の大学ランキングの上位50校を対象に、コインベース社が行ったものです。

参照:USニューズ・アンド・ワールド・リポート

ちなみに日本の大学は最も上位の東京大学でも57位で、ベスト50にはどこも入っていないため、調査対象になっていません。

調査結果によると、世界のトップ級大学50校のうち、21校(42%)で仮想通貨またはブロックチェーン技術に関する講座を設けており、このうち11校(22%)には複数の講座がありました。

最多のスタンフォード大には10講座

講座数が最も多いのは、米スタンフォード大学の10講座。

このほか、複数の講座を設けているのは、米コーネル大学が9講座、米ペンシルバニア大学が6講座、シンガポール国立大学が5講座、米カリフォルニア州立大学バークレー校が4講座、同大学ロサンゼルス校とスイスのチューリヒ工科大学が各3講座、米ハーバード大学、米プリンストン大学、米ニューヨーク大学、米テキサス州立大学オースティン校が各2講座でした。

講座開設は米国の大学が先行

仮想通貨・ブロックチェーン講座の開設では米国の大学が先行している傾向がみられました。

世界の大学の上位50校には米国以外から18校がランクインしていますが、このうち仮想通貨・ブロックチェーンの講座を設けているところは5校しかありませんでした。

ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスでは、デービッド・ヤーマック金融学部長が2014年に初めてブロックチェーンと金融サービスに関する講座を開設したとき、受講登録した学生は35人しかいませんでした。

しかし、2018年春までに登録学生数は230人にまで増え、講義を最も大きな講堂に移さざるを得なくなりました。

学生の関心の高まりに対応するため、2018年秋からの新年度では、この講座を前後期の2回開く予定です。

ヤーマック学部長がこの講座を開設したのは、自分自身がビットコインに関心を持っていたためでした。

しかし、その後すぐに、仮想通貨・ブロックチェーンの技能に対する企業からの需要が高まってきたとのことです。

今では同学部長は、自分の講座が学生たちに就職に必要なスキルを身につけさせる手段だと考えており、「学生たちはこの分野の学習で多大な利益を得るだろう」と述べています。

学際的な研究領域に

調査ではまた、仮想通貨・ブロックチェーンの講座にはさまざまな専攻の学生が関心を持っており、各大学が学部の枠を超えた講座を増やしつつある実態も分かりました。

50大学の講座目録を確認した結果、仮想通貨の講座はコンピューター科学部のほか、人類学や金融学などさまざまな学部に設置されています。

これは、さまざまな学部の学生たちが仮想通貨講座を受講したがっているためで、すべての社会科学系の学生のうち半数近くが受講に関心を持っています。

世界のトップ大学50校に開設されている仮想通貨・ブロックチェーン関連の講座は172講座ありますが、このうち、ビジネス、経済、金融、法律の各学部に開設されているものが15%、人類学、歴史学、政治学などの社会科学系学部に設置されたものが4%でした。

仮想通貨・ブロックチェーンの研究に学際的なアプローチを取る大学も増えています。

スタンフォード大学では2018年夏に、さまざまな学部の教授や学生たちが集まって、仮想通貨やブロックチェーンを多様な側面から研究する「ブロックチェーン研究センター」を発足させています。

カリフォルニア州立大学バークレー校のドーン・ソン教授(コンピューター科学)は2018年春期に「ブロックチェーン、暗号経済学、および技術・ビジネス・法律の未来」と題するゼミナールを開講しました。

これはバークレー校のコンピューター科学、ビジネス、法律の各学部の連携によるもので、それぞれの学部から同数の学生が受講しています。

このゼミは学生に絶大な人気で、70人の定員に対し多数の応募があったため、200人以上の受講を断らなくてはならなかったとのことです。

ソン教授は「ブロックチェーンで使われている技術は必ずしも新しいものではない」と述べ、暗号学やゲーム理論など、さまざまな分野の研究成果が集積されて生まれた技術である点を強調しています。

米国では理系より文系の方がブロックチェーンに関心

今回のコインベースの調査には、米国内の学生675人に対するアンケート調査も含まれています。

それによると、仮想通貨・ブロックチェーンの学習に関心を持っている学生の割合を専攻別でみると、社会科学系の専攻では47%に上っており、コンピューター科学および工学を専攻する学生の34%を上回っています。

ただ、実際に仮想通貨・ブロックチェーン関連の講座を受講している学生の割合を専攻別で見ると、コンピューター科学および工学専攻の学生では17%、経済学および数学専攻では15%、ビジネス専攻では11%となっています。

米国の学生のうち仮想通貨を保有している割合は18%に上っており、これは一般の保有率の2倍に当たります。

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