建物を建設するときのルール?
建物を建設する時には、予め決められたルールが存在します。
その一つが用途地域というもの。用途地域を簡単に説明すると、「どのような用途で使用する建物を建てていいのかということを決めたルール」のことです。
例えば、工場や商業施設は土地を購入したからといって、どこにでも建設することはできません。なぜならば、住環境を守っていかなければいけないからです。
あなたが、新築の家を建てた5年後に、突然隣の敷地に工場ができてしまっては大変ですよね?
工場なのですから、安全面での不安もありますし、人の出入りが増えてしまえば、交通事情も大きく変わってきます。また、日当たりの問題もでてくるでしょう。
このように、住宅街に突然工場ができてしまっては、周辺の住人にとってはデメリットが大きくなってしまうのです。
だからこそ、このような事態にならないように、建物を建てる際には、ある程度のルールが設定されています。
その一つが、用途地域。何に使う建物であれば建設可能なのかを設定しているのです。
容積率や建ぺい率ってなに?
建物を建てる時には、自分も含め周辺の住環境を守るために、いくつかのルールが設定されています。
そのルールに大きく関係しているのが、容積率と建ぺい率です。
では、詳しく見ていきましょう。
容積率
まず、容積率。容積率とは、対象となる土地に対して、どれだけの延床面積を持つ建物を建てられるのか?というもの。
土地によって、どれだけの床面積を持つ建物を建てられるのかという上限の数字を表したものとなっています。
建ぺい率
一方の、建ぺい率は、対象の土地にどれだけの割合を使った建物を建てていいのかを表した数字のこと。
このように、土地には建物として使える割合や、どれだけの床面積を持つ建物を建てられるのかという上限が決められているのです。
容積率や建ぺい率をオーバーしている物件
では、容積率や建ぺい率をオーバーしている物件が売りに出ているのは何故なのか?当然、このような疑問が出てきます。
それには、二つの理由が存在しているのです。
一つが、建物を建設した時には、基準をクリアしていたというもの。
つまり、建物が建てられた時には問題がなかったが、その後の法改正などによって、現在の基準で算出した時にオーバーしている物件のことです。
これらの物件は、既存不適格物件と呼ばれています。
もう一つが、建設後に増築したなど、意図的にオーバーした物件。こちらの物件は、違法建築物と呼ばれています。
しかし、どちらの物件に対しても厳格な処罰があるわけではありません。
近隣住民からの苦情が寄せられれば、注意勧告を受けることはあるかもしれませんが、居住権の問題で厳しい処罰を下すのが難しい現実があるからです。
しかし、ルールを守っていないことには変わりません。そのため、今後どうなっていくのかは分からない部分があるのです。
容積率や建ぺい率をオーバーしている物件を購入する前に知っておくべきこと
容積率や建ぺい率をオーバーしているということは、ルールを守れていないということ。しかし、その安さに魅力を感じる人もいるかもしれません。
そこで、ここでは物件を購入する前に、知っておかなければいけないことについて紹介していきます。
増改築や建て替えを考えている場合は注意
違法建築物に関しては、慎重に判断しなければいけない部分もありますが、既存不適格物件の場合は、仕方ない部分もあるので、基本的には厳しく取り締まられる可能性は低いとされています。
ただし、増改築や建て替えを考えているのであれば注意が必要です。当然ですが、増改築や建て替えをする場合には、現在の容積率や建ぺい率を守らなければいけません。
銀行の融資が通りにくい
また、銀行の融資が通りにくいというデメリットについても知っておかなければいけません。
通常、金融機関などで融資を受ける場合には、物件を抵当に入れることになります。
そのため、物件の持つ資産価値が大切になるのですが、容積率や建ぺい率がオーバーしている場合には、物件の価値が低いと見なされる可能性が高くなるのです。
相場よりも価格が低いということは、上記の理由も大きく関係しています。
まとめ
相場よりも安い物件を見つけたけれど、容積率や建ぺい率がオーバーしていると記載されていた場合には、一度立ち止まってみてください。
確かに、相場より安い物件は魅力的に見えます。しかし、安いからといって価格だけで判断してしまうと、後々トラブルに発展してしまう可能性もあるのです。
そのようなトラブルに発展しないようにするためにも、容積率や建ぺい率がオーバーしているとは、どういうことなのか?をしっかりと理解して、デメリットも知っておく必要があります。
不動産投資で成功する秘訣は、物件の価格だけではありません。そのことを忘れないようにしましょう。
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