当社、編集部が独自に選んだ主要ニュース(出展:日本経済新聞)は、「①投資用マンション・中古マンション」「②オルタナ投資」「③オフィス賃料・空室率」「④脱炭素の波」です。

①投資用マンション・中古マンション

投資用不動産情報サイト「楽待」を運営するファーストロジックによりますと、4~6月期、比較的購入しやすい区分マンションの価格は1771万円となり、過去最高だった前四半期から3%上昇しました。1棟単位のアパートやマンションも値上がりしており、安定収益を求めて不動産市場へ投資する個人が目立ったようです。

価格上昇が続く背景に関して、ファーストロジックの分析では「不動産投資に関心を持つ人が増え、実際に資金を振り向ける投資家の裾野が拡がっている」とのことです。一方、東京カンテイが纏めた6月の中古マンションの平均希望売り出し価格は、首都圏で4114万円となり、5月比で70万円上昇しました。2002年の調査開始以降最高値を2カ月連続で更新したことになります。

新型コロナ感染拡大を契機とした東京周辺部の物件の人気を映し、神奈川・千葉・埼玉の値上がりが鮮明となりました。また、首都圏の中古マンションの在庫件数は、前年同月比、26%減少の3万3641件となり、1カ月連続で前年実績を下回りました。

投資用マンション、中古マンションとも、価格上昇傾向は、当面、続くのではないでしょうか。


②オルタナ投資

米ゴールドマン・サックスは、日本で不動産などのオルタナティブ資産への投資を拡大します。グループで分散していた投資人材を集約し、人材を効率活用することで、幅広い案件に対応します。また、2000年代に活発化していた企業投資も再開する模様です。

ゴールドマンは世界で投資部門の再編を進めています。日本ではゴールドマン・サックス証券の自己資金投資部門と運用会社ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの不動産などの投資部門を統合し、新たに「マーチャント・バンキング部門」を立ち上げます。自己資金だけではなく外部投資家を募り、大型のファンドも計画中です。

会社側によりますと「経済規模の大きい日本はアジアの中でも重点地域。注力するのは不動産で、投資額は従来の年1000憶~1500億円から倍増の2500億円規模になる」とのことです。

まず、関心を示しているのが、リモートワークの普及から首都圏でも横浜など、より住宅地に近い地域のオフィスビルへの投資です。ESGの観点から、ビルを建て替えるのではなく、改装を通じて入居需要を高める取組みを始めます。

もう一つ関心を示しているのが、コロナで大打撃を受けたホテルです。今後、インバウンド需要の回復を見越して、設備投資や外資ブランドとの提携が増えると予測、こうした動きを資金やノウハウの提供で支えます。

ゴールドマン以外の欧米の投資会社も、日本へのオルタナ投資を拡大してくるのではないでしょうか。


③オフィス賃料・空室率

オフィスビル仲介大手の三鬼商事によりますと、都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の7月のオフィス平均募集賃料は、3.3㎡あたり2万1045円で、6月より0.54%下落しました。2020年7月の2万3014円をピークに12カ月連続で下落しました。

一方、都心5区、7月の平均空室率は6.28%と、約7年ぶりの高水準となった6月より0.09ポイント上昇し、供給過剰の目安とされる5%を6カ月連続で上回りました。

賃料を地域別にみると、千代田区が6月比0.34%低い2万2675円で、5区の中で、最も賃料が高くなりました。渋谷区は2万2539円で6月比1.7%(390円)安くなりました。渋谷区は19年8月に千代田区を抜いてから、5区のうち最高額だったのが、2年ぶりに逆転しました。

この1年の賃料下落率は、千代田区の7.81%に対して渋谷区は10.02%でした。渋谷区の下落はコロナ前の高騰の反動が大きいとみるアナリストが多いです。渋谷区は新興IT企業を中心に人気が高く、コロナ禍前は空室率が1%を切った時期もありました。20年4月の賃料は、2万5531円とこの10年で最高でした。ですが、新興IT企業にはテレワーク対応が素早い企業も多く、最近ではDeNAがオフィス縮小に動きました。

一方、渋谷区は退去・縮小する企業がある反面、交通の利便性や街のブランド力から渋谷にオフィスを構えたい企業も存在します。渋谷の賃料が割安になったとみて、積極的に借りる企業もあるようです。こうした動きが支えとなり、7月の渋谷区の空室率は、6.45%と6月比で0.23ポイント低下しました。

渋谷区のほか、新宿区も7月の空室率が低下、都心5区全体の空室率の上昇ペースが6月(0.29ポイント上昇)に比べ鈍る要因となりました。

今後も、賃料並びに空室率の動向を注視していく必要があります。


④脱炭素の波

脱炭素の波が、金融・不動産業界で急速に拡大しています。

日銀は、7月の金融政策決定会合で、金融機関の気候変動対応の投融資を促す新制度の骨格を決めました。脱炭素に繋がる企業向け融資をしたり環境債を購入する金融機関に対して、低利で数年単位の資金を供給します。マイナス金利の負担を軽減する為、利用額に応じて、金融機関の日銀当座預金にかかる金利を0%にします。

また、日本の大手銀行が脱炭素に向けた国際ルール作りに相次ぎ参加しています。

三菱UFJファイナンシャルグループが戦略作りに参画するのは、2050年までに実質排出ゼロを目指す銀行の連盟「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス」(NZBA)です。今年4月に世界43行で設立し、銀行が脱炭素を実現するための戦略を作るほか、取り組みの進んだ銀行と情報共有が出来ます。

みずほファイナンシャルグループが6月、日本勢で初めて加入したのが「PCAF」です。2015年に設立、排出量の算定を巡って、その手法を開発する金融機関の国際組織です。加盟社は3年以内に投融資先の排出量を開示する義務を負います。みずほが加盟後、ニッセイアセット・三菱UFJも参画、三井住友トラストも検討しています。

日本の不動産市場では、REITが脱炭素を牽引する動きが鮮明になっています。上場REITの保有物件で、延床面積などから算出した環境認証の取得割合は、2021年6月で半数を超えました。省電力化に向けた改修も相次ぎ、環境意識の高い海外投資家の資金つなぎ留めを図っています。

資金調達でもESG対応を進め、新たな投資家層をの開拓を狙っています。但し、環境目標の設定だけでなく、実現に向けた継続的モニタリングや改善も必要な為、認証取得で終わることなく、環境対応の効果検証も求められます。

このように多くの業界で脱炭素に向けた動きは、今後、加速度的に拡大していくのではないでしょうか。