iDeCoとは
iDeCoの概要
本題に入る前に、iDeCoについて説明しておきましょう。iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金とは別に自分で老後資産の形成することを目的とした年金制度のことです。
毎月、一定金額を積み立て、予め用意されている定期預金や投資信託などの金融商品の中から好きなものを選んで運用し、60歳以降に年金または一時金で引き出します。
iDeCoの税制優遇
iDeCoには3つの税制優遇があります。
- 毎月一定金額を積み立てなければなりませんが、この積立金額はすべて「小規模企業共済等掛金控除」と呼ばれる「所得控除」の対象になっているため、所得税や住民税を節税できます。
- iDeCoを利用しなかった場合、定期預金の金利や投資信託で運用益に対して、20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の課税されますが、iDeCoを利用することでそれらが非課税になります。
- 60歳以降、年金で受け取れば「公的年金等控除」、一時金で受け取れば「退職所得控除」の対象となります。
iDeCoのはじめかた
実際にiDeCoを利用するには、iDeCoを取り扱っている金融機関(銀行や証券会社)を選び、iDeCo専用の口座を開設する必要があります。
お金の置き場所
200万円のお金をどこに置くか
余裕資金200万円があり、そのうち半分を定期預金に、もう半分を投資信託に振り分けたいと考えていたとしましょう。
そして、定期預金の金利が0.15%、投資信託の運用利回りが3.5%だったとしましょう。
これらの条件で、いくつかシミュレーションしてみましょう。なお、計算簡略化のため、税金は20%として計算します。
<パターンA>定期預金も投資信託もiDeCo専用口座を使わなかった場合
定期預金の本来の儲け:100万円×0.15%=1,500円
定期預金に係る税金:1,500円×20%=300円
定期預金の実際の儲け:1,500円-300円=1,200円
投資信託の本来の儲け:100万円×3.5%=35,000円
投資信託に係る税金:35,000円×20%=7,000円
投資信託の実際の儲け:35,000円-7,000円=28,000円
実際の儲けの合計:1,200円+28,000円=29,200円
<パターンB>定期預金のみiDeCo専用口座にした場合
定期預金の本来の儲け:100万円×0.15%=1,500円
定期預金に係る税金:0円(非課税)
定期預金の実際の儲け:1,500円-0円=1,500円
投資信託の本来の儲け:100万円×3.5%=35,000円
投資信託に係る税金:35,000円×20%=7,000円
投資信託の実際の儲け:35,000円-7,000円=28,000円
実際の儲けの合計:1,500円+28,000円=29,500円
パターンAに比べ、約1.03%増額したことになります。
<パターンC>投資信託のみiDeCo専用口座にした場合
定期預金の本来の儲け:100万円×0.15%=1,500円
定期預金に係る税金:1,500円×20%=300円
定期預金の実際の儲け:1,500円-300円=1,200円
投資信託の本来の儲け:100万円×3.5%=35,000円
投資信託に係る税金:0円(非課税)
投資信託の実際の儲け:35,000円-0円=35,000円
実際の儲けの合計:1,200円+35,000円=36,200円
パターンAに比べ、約23.97%増額したことになります。
<パターンD>定期預金も投資信託もiDeCo専用口座にした場合
定期預金の儲け1,500円+投資信託の儲け35,000円=36,500円
パターンAに比べ、25%増額したことになります。
まとめ
今回ご紹介したように、お得な制度を利用することで、リスクを増やすことなくリターンだけ増やすことが可能になります。
既にiDeCoを始めている人はパターンBのような残念なお金の置き方をしていないか確認してみましょう。
まだiDeCoを始めていない人は、加入時・運用期間中の手数料や60歳までお金を引き出せないなどのデメリットも存在しますので、事前にiDeCoの制度をきちんと調べてから資産形成に挑みましょう。
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