最近では結婚しない人生を選ぶ男性も増えましたが、やはりまだまだ結婚する方が多数派といえます。 そして、結婚することが悪い訳ではないものの、中には親世代のマネをしたり、自身の生まれ育った環境を再現したりしている方も沢山見受けられ、少々怖いところです。 今回は、一昔前とは事情が変わってしまった人生の三大資金と対策をお伝えします。

三大資金その1「教育費」  全体的に下落傾向の一方で……

まずは「教育費」です。一昔前なら、結婚したら誰もが「一姫二太郎」などと2~3人の子どもを持つのが普通でした。

またそれだけの子どもを持ったとしても、ただがんばって働いていれば十分に給料がもらえ、しかも年々上がっていたので、簡単に捻出できたのが実情です。

ところが、今や事情は変わりました。今は働いても働いても中々年収が上がらないのが普通といえます。

そして教育費は、実は高校までの学費は政策などで下落傾向にある一方、大学費用は上昇の一途です。その結果、今や2人に1人は奨学金で大学へ通っています。

つまり見方を変えれば、親の2人に1人の割合で、教育費の準備が間に合わなかった訳です。

この状況下で家族計画を無計画に行い、産まれた瞬間から子どもの未来が不幸という悲しい世帯もよく聞きます。

世帯の経済力をしっかり考え、特に大学費用に備えましょう。

三大資金その2「住宅費」 退職金での一括返済が望めない

次は「住宅費」です。一昔前なら、結婚したら誰もが「夢のマイホーム」の名のもとに、子どもが小学校に入るあたりのタイミングで不動産を購入していました。

そして特に住宅ローンの支払いに困ることもなく、定年時の退職金で残額を一括返済できたのが実情です。

ところが、今や事情は変わりました。

一番の違いは「退職金が出なくなった会社が増えた」という点ですが、合わせて結婚する時期、ひいては不動産を購入する時期が遅く、住宅ローンの残額が増えやすくなった点も大きいです。

あなたの場合、いくら残りそうですか?

結婚する時期によっては、住宅ローンどころか先ほどの教育費の支払いも残っている中で定年を迎えてしまうこともあります。

子どものために不動産を購入したはずなのに、教育費のために不動産を売却しなければならない事もありますから、十分な注意が必要です。

三大資金その3「老後資金」 全然違う点に、強く注意を!

最後は「老後資金」です。一昔前なら、結婚したら多くの方が奥さんを「専業主婦」にして、自身の扶養に入れていました。

そしてそれでも当人の稼ぎと退職金、年金があれば特に老後生活にも困ることはなく、定年後は悠々自適に人生を全うできたのが基本的な実情です。

ところが、これも今や事情は変わりました。現役中の年収も上がりにくく、退職金もなく、そして年金も下落傾向です。

その上で寿命だけはドンドン延び、老後生活の途中で資産が尽きてしまう「老後破産」を起こしやすくなりました。今後、その数はさらに増えるでしょう。

唯一のプラス変化は「定年延長」とも言えますが、60歳以降は年収が半減することも多く、しかも延長は65歳までですから、足しにしかなりません。

このため、「定年延長後の働き口や収入源」を考えなければならなくなった変化が、極めて大きいといえるでしょう。

年収が上がらず、準備に時間がかかる誤算

一昔前と比べると、様々な点で経済的に厳しくなっているのが現代です。

そして、経済的に厳しくなっているという事は、それだけ「準備に時間がかかる」という点が、意外と理解しにくい誤算かもしれません。年収もホントに上がりにくい時代ですから、尚更です。

例えば、今のあなたなら1,000万円を貯めるのに、どれだけの時間が必要でしょうか。結婚して子どもがいる身なら、10年程度必要でもおかしくありません。

そしてこの1,000万円が仮に「子どもの大学費用」なら、子どもが8歳頃から貯め始めてギリギリといえます。

しかし、子どもが産まれた時から準備を始めればいかがでしょうか。18年の時間があれば、一年あたりの貯金額は約60万円で貯められる計算です。

昔に比べて経済的に厳しい現代だからこそ、昔以上に早期から未来を見据えて準備を始めることが大切といえます。

教育費は「慎重な家族計画」を!

ここからは対策についてお伝えします。まず教育費については、何よりも「慎重な家族計画」が重要です。

先ほど触れた通り、昨今の教育費は年収が上がりにくい中でも上がっていく支出ですから、高校~大学頃の費用にも対応できる範囲で、子どもを計画的に持ちましょう。

もうすでに出産後であるなら、今度は「慎重な教育費への備え」が大切です。

親の中には「子どもには将来的に苦労してほしくない」といった理由から、天井知らずに塾や習い事にお金をかける方がいます。

しかし、それで学費が不足することになれば、結局困るのは子どもです。

さらに、すでに学費に困窮している方の中には「奨学金や教育ローン」の利用を考える方もいますが、これにも警戒が必要といえます。

返済できなくなれば最悪ですが、返済できたとしても、その分その他の支出が厳しくなりますからね。ぜひ計画的に考えましょう。

住居費は「買わないことも視野に」!

次に、住居費については「買わないことも視野に入れる」ことが大切です。

既婚者の中には、親や周囲の影響もあって「結婚して子どもを作ったら家は買うもの」と盲目的に考える方がいます。

まさしく、先ほども触れたような一昔前の世代をマネしただけの考え方です。

少なくとも、住居は「買った方が絶対的に良い」ものではありません。賃貸の方が立地が駅の近くという事も多いでし、引っ越しも簡単です。

現在の家族構成に合わせて部屋も変えられますし、自然災害に会っても引っ越すだけで生活再建ができることに繋がります。

それに、不動産の価格や金利によっては「生涯に必要な家賃より割高」という事もありますし、固定資産税や火災保険料などは生涯必要です。

このように、住居は買わない選択にも一定のメリットがあり、買うことのデメリットもあるので、慎重に考えていきましょう。

老後資金は「節約・増収・投資」がカギ

そして、老後資金は「節約・増収・投資」が対策のカギになります。ハッキリいって「打てる全ての手段を取る」ことです。

「節約」は、老後生活になってから落としていては遅く、現役中から意識することが大切といえます。一度上がった生活水準は、中々落ちませんから。

その上で、可能な限りの「増収」を目指しましょう。現役中なら出世とともに副業、そして定年後でも働けるような人脈や能力・経験を手に入れておくことが重要です。

こうして生涯に渡って「支出は最低に、収入は最大に」して、超長期にわたる老後生活に備えます。

あとは、上記の差額で得た貯金をさらに増やすために「投資」をしていくことが重要です。

まだまだ日本人は、投資に対して否定的な方も多いですが、貯金だけで十分な資産が築けないのであれば仕方ありません。

十分に勉強を重ね、投資で資産形成を目指しましょう。

「苦しむのが当然」ではない!

初めてお金のことを真剣に考えたり、実際にお金に困窮したりしている方の中には、「現代はお金で苦しむのが当然」と、人生を投げ出すかのような感覚に陥る方もいます。

あるいは、現状を打破するために必要な努力量が圧倒的で、最初から諦めてしまう方もでしょうか。

すでに困難な状況に陥った方だと仕方ない側面もありますが、少なくとも人生は「苦しむのが当然」ではありません。ただ「きっと何とかなる」ものでもありません。

誰もがただ働いていれば生涯安泰の時代は終わりましたが、計画性と事前準備でどうとでもなります。

「お金のことを考えるのがすでに苦痛」ということも多いですが、少なくとも学生相手に「勉強が苦痛ならしなくていい」とはならないハズです。

今や学生の勉強と同等クラスに「お金の勉強」も大事なことですから、これから生涯を通して学んでいきましょう。

少し余談ですが、実は男女は脳からして違い、そして一般的な女性は男性に比べて「数字や計算、計画などの論理性」が苦手です。

このため、一昔前なら「家計管理は女性(主婦)の仕事」でしたが、実は理に適っていない役割のため、女性任せはむしろ危険といえます。

もっとも、夫婦そろって苦手という事も意外と多いですが、理屈だけなら「お金の計算は男性の方が得意」ですから、ぜひ男性として奥さんに代わってお金のことを勉強し、計画的に未来に対して備えていきましょう。

結婚のメリットを思い出そう!

お金のことを考え出すと、「結婚(相手)を間違えた」と、結婚したこと自体を後悔する方もいます。相手の年収が低かったり、相手が浪費家だったりすると尚更でしょうか。

中には本気で離婚するような方もいますが、そういう時は結婚のメリットを思い出しましょう。

なぜ、あなたは奥さんと結婚したのでしょうか。

「好きだったから」だけで結婚した方もいるでしょうが、相応の年齢で結婚したのなら、精神面とともに経済面においても「結婚した方が得」と感じた部分もあったハズです。

すでに共働きなら、尚更ではないでしょうか。

それに、既婚者は色んな税制上のメリットもありますし、何より最終的に「年金が2人分入ってくる」ことになります。

これは「最高の老後対策」です。共働きなら家賃や生活費の一部も折半できる訳ですから、改めて結婚のメリットを思い出し、奥さんを大事にしましょう。

生涯、家族が笑顔で暮らせるように

今は想像できないかもしれませんが、家計が貧困状態に陥ってしまえば、少なくとも幸せを感じて生活しにくくなります。そして今の日本は、誰もが貧困状態に陥る可能性がある時代です。

こど生涯、家族が笑顔で暮らすためにも、早期から未来への準備を始めましょう。

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